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新潟のお笑い集団NAMARA代表・江口歩と高橋郁丸の

  お笑い良寛さま紀行

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  分水町

  国上山

    江口「ここはどこなの?」  
  「国上山です。まずビジターセンターに入りましょう」。  
  江口「へえ。いいとこだね」。  
  「あちらに良寛さまを紹介しているコーナーがあるんですけど」  
  江口「ほー。なるほど」。  
  「あの良寛様の絵なんですけど、良寛さんのお弟子さんの遍澄さんが描いたんですよ。ほかの人は、この遍澄さんの絵をもとに描いていることが多いんですよね」  
  江口「へー。あ、ほんとだ。この顔ね。この絵なんてそっくりだね。 
あっちは売店?あ、郁丸さんの本あるじゃん。あれー。良寛なんて酒あるんだ。蔵元に連絡してみようかな。あっちは食堂?ここ、なかなかいいとこだね。」
 
  「これからのハイキングの時期には人がいっぱい集まるんですよ。じゃ、国上寺に行きましょうか」  
  江口「うん」  
    「ここからは、ちょっと坂になりますよ」  
     国上寺
     
 

江口「ここが国上寺?」

山田光哲御住職「あ、高橋さん」

「あ、どうも…。今日はNAMARAの江口さんをご案内しているんです」

山田「え?NAMARAさんですか?お笑いの?固い話題はあいませんよね…?」

「最近は硬いのもやわらかいのもあるんですよね」

江口「はい。そうなんです。良寛さまもやります」

山田「ああそうなんですか?どうぞお参りしていってください」

江口「本堂に入りますか。お参りしなくっちゃ。…なんかいろいろあるね。お守りが。

  あ、良寛さまだ。この像は誰が作ったのかな。茂木さんか。」

 
   
   
   
   
   
   
       「宮浦中学校にも茂木さんの良寛像があったでしょう」

江口「ええ?…俺、ぜんぜんわかんないんだよね…」

「あれ?そうなんですか。じゃ、五合庵に行きますか。その前に旧国上寺本堂を見ましょう」

江口「うん」

「国上寺はとっても古いお寺なんですよね」

江口「古いってどのくらい?」

「平安くらいかな」

江口「えっ!でも本堂は建て直しているんでしょ。わー。本堂の中にいろいろあるね。この人は誰」
 
 
   
   
   
  「この方は万元和尚さんといって、五合庵を作った人なんですよ」

江口「五合庵を作った?五合庵って何なの。国上寺となんか関係あるの」

「五合庵というのは、国上寺の僧が隠居すると入る庵なんですよ。良寛さんは寺とは関係ないけど、住まわせてもらったんですよ。本当は国上寺は真言宗のお寺で、良寛さまは禅宗のお坊さんですからね」

江口「そうなの。あれは何? 」

「弘法大師の五鈷掛の松ですね。あそこに解説が書いてありますよ。弘法大師が中国から三鈷と五鈷を投げたら、三鈷は高野山に、五鈷はここに落ちたんだって。」

江口「五鈷って何?」

「仏具の一つなんですよね。真言宗は祈祷するので、いろいろ道具があるんですよね」

江口「ねえ、この木、生きてるの。すごいね」

「これだけ中が空洞になっているのに腐ってないですね」

江口「屋根をかけたのがよかったのかな。すごいな」

「あの池は雷井戸といって、雷様が落ちて、お坊さんにつかまえられて、井戸を掘って放してもらったんですよ」

江口「雷様って…。それさ、きっと暴れん坊で、盗みに入ったとか、そういうことをして、つかまってさ、それで井戸を掘らされたんだな」

「縁結びなんて看板がかかってる…と思って行ったら、閻魔様とかショーヅカ婆さんがいました…。ほら、江口さん。あそこにも閻魔様がいます。あそこにもいます」

江口「…俺、閻魔様に見張られているのかな…」

 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
    五合庵
   

「五合庵は、車で国上の集落を回って裏から行ってみましょう」

江口「国上っていいとこだね。どういう人が住んでいるんだろうね」

「昔ながらの集落ですよ。昔からここにいらっしゃる人でしょ」

江口「日本の田舎だねー。いいねー」

「国上の集落の、ここから登ります」

江口「すごい坂だね。車がないときは大変だったろうね」

「それで良寛さまも上り下りが大変になって、まず、この途中にある乙子神社に住んで、その後、和島のほうへ行ったんですよ」

江口「あ、良寛さまの月見坂って書いてある」

「あれはですね、お客さまが来たので、良寛さまが、『近所の家へ行って、お酒借りてきます』と言って家を出て、月がとても美しかったものだから、五合庵にお客様を待たせているのを忘れて、月を見入ってしまったという場所です」

江口「へー。優雅な生活だね。人からお酒をもらうんだ」

「ここが本覚院です」

江口「ここ、お寺なの。いい感じだね。」

「本覚院には、良寛さん、よく来ていたんですよ」

江口「よく来たって、近所じゃん。お隣じゃない」

「いえ、よく交流をしていたんです。御住職と一緒に詩を詠んだり…。これ、弁慶の手堀井戸です」

江口「弁慶ってどこの人だっけ。これ、ホントなの?これはさ、弁慶みたいな人がいてさ、それで、力あるぞーって言って掘ったんだよ」

「ちょっと登りますね。あそこが五合庵です」

江口「あっちは違うの?」

「あちらは宝珠寺。お寺です」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
       江口「上が五合庵なんだね。椿の花もきれいだね。なるほど。これが五合庵か。大正時代の再建なんだね」

「火事にあいましたからね。江口さん、入ってみて、感想はいかがですか」

江口「住みたくないねー。でも、こういうところ、一つ欲しいな」

「何するんですか」

江口「たまに集まってさ、みんなで酒を飲むの」

「いっつも飲んでるじゃないですか…」

江口「ね、ウンコどこでしたの」

「トイレですか。トイレは再建されてないですよね…。その辺にあったんじゃないんですか」
 
 
 
 
 
 
 
 
  江口「だよね。あ、裏にひょうたん池跡、というのがあるよ。ここでしたんだね」

「違うと思いますけど」

江口「あっちは何?」

「お墓です」

江口「墓って、誰の?」

「万元和尚さんの…」

江口「あ、さっきの人ね。あ、ホントだ。なるほど」

「この方は県外の方だったのですけれどね。こちらで亡くなりました」

江口「ふーん。良寛さまはこういうところに住んでいたわけね。風呂とか入れたのかね」

「行水とか…」

江口「行水?風呂は?」

「もらい湯でしょうか。水とか焚物は貴重ですからね。昔の人はそんなに毎日お風呂に入らないですよ」

江口「そうなの。ねぇ、五合米を食べたから、五合庵、ってあるけど、一日に?何人で食べたの?」

「さあ…」

江口「一人じゃないでしょ?五合っていえば、すごい量だよ?」

「そうですね。托鉢で回るから、お腹がすいたんじゃないですか」

江口「それだってすごいよ。すっごくハードな仕事でもしなきゃ、食べられないよ」

「そういえばそうですね。この質素な生活でね。どういう意味だったかな…あ、国上寺から、お米を一日五合支給されていたんだっけ」

江口「あっ、つり橋って書いてある。つり橋近いの?」

「近いですけど…。渡るんですか?」

江口「行こうよ行こうよ。おっ。これかあ」

「あんまり渡りたくないなぁ…」

江口「つり橋って、どんなものかと思ってさ。大したことないね。怖いの?戻る?」

「大丈夫です」

江口「すごい眺めだね。ね、下見ないの?すごいよ?」

「見てます」

江口「そんなトコから見てもだめさ。ほらほら」

「見えてます」

江口「どのくらい揺れるのかな。揺すってみよう」

「やめてください」

江口「はははっ」

「やめてくださいよー」

江口「揺れてる揺れてる」

「勘弁してくださいよ…」

江口「ワイヤーが切れたりしてね。板がはずれたりとかさ」

「…」

江口「東京の施工会社作なんだね。点検とかするのかな。ボルト締めたりさ」

「…しているんでしょうね…」

江口「ねえ、あの川って信濃川?」

「いえ、あれは大河津分水ですよ。人力で掘ったんですよ。信じられないですよね」

江口「あれが大河津分水なんだ。すごいねー」

「ここから車で史料館に行きますね」

江口「うん。それにしても、国上、いいところだね。あ、人がいる。第一村人発見。という感じ」

「のどかでいいところですよね」


 

 
 
 
 
 
 
     良寛史料館  
   

江口「これ、みんな良寛さんの書なの?亀田って?」

「亀田鵬斎って言って、江戸の学者さんです。良寛さんのお友だちです」

江口「ふーん。鈴木文台って?」

「この方は、吉田町の方で、長善館という私塾を開いた人です」

江口「いつごろの人なの?」

「江戸時代の終わりから、明治時代の初めくらいまで生きていた人です。長善館からは東京の大学の教授も出ているんですよ。学者さんの家系です」

江口「ふーん。原田鵲斎さんとか、解良さんとか、この人たちは良寛さまの外護者なの。いいなあ。みんなに身の回りのものを世話してもらっていたわけね。俺もそんなになりたいなあ」

「今でも充分なんじゃないですか」

江口「いやいや。良寛さんの字、読めないね。お、天上大風がある。あ、複製かぁ。本物見たいなぁ」

「天上大風、原稿はどこにあるんでしょうね。見てみたいですね」

         
  与板町

 
  与板
 
         
  江口「なんだか雰囲気のある町だね。与板町は、どういう関係なの?」

「良寛さんの弟さんの由之さんが住んでいたんですよ」

江口「ふうん?」

「由之さんは、良寛さんが名主見習いの職を退いたので、…というか、名主の職を継ぐのが嫌で、家を飛び出してしまったので、代わりに家を継がされたんですよ」

江口「だって、出家したんじゃん」

「でも、結局は傾きかけた家を押し付けたかたちになったんです。それで、由之さんは、家を盛り返すためにたいへんだったんです。良寛さんの家は橘屋、という旧家なんですが、その頃、新興勢力の駿河屋という家が、名主の座を狙っていたんですよ。それで焦ったんですね。何かの資金にするために、公金の借金をためてしまったんですね」

江口「えー。あ、そうなの…」

「それで、代官所に訴えられて、有罪、所払いになってしまったんです」

江口「ふーん」

「所払いですから、由之さんは出雲崎にいられなくなって、それで、最終的に与板町に住みついたんです」

江口「良寛さんの家って、橘さんっていうの?」

「はい。橘屋山本家です」

江口「山本さん?」

「はい。橘屋が屋号で、山本が姓です」

江口「山本さんって、普通だね〜。山本さん」
 
 
         
     塩入峠  
         
  「それで、この峠が塩入峠というのですが、由之さんや貞心尼さんは、この峠を越えて和島村にいる良寛さんに会いに行ったのですよ」

江口「へえ。塩ってのは。塩が出るの。岩塩」

「そう、塩が出たらしいですよ。ほら、あそこに塩井と書いてある。塩分を含んだ水がわいたんですね」

江口「なるほど。それにしてもここは楽な坂だね。昔は大変だったのだろうけど」

「そうですよね。この坂を越えると和島村になります。和島村を抜けて、寺泊町を通って出雲崎に行きますね。良寛さんは、帰郷したときに家へ帰らずに寺泊の郷本の空き家で暮らしたんですよ。」

江口「一度、県外に逃げたわけね。俺みたいだね。帰ってきたときいくつ?」

「三十代の終わりです」

江口「ますます俺みたいじゃん」
 
 
         
  和島村

 
  和島村良寛の里
 
         
  江口「へええ、和島って、眺めのいいところだね」

「ここ、路の駅なんですよね。あっちに山が見えるでしょう。国上山がちょっと、見えるんですよね。国上山って、弥彦山系のこちら側の山なんですけれど、お碗を伏せたような形でかわいいでしょう」

江口「へー。今日、平日のせいかな。お店貸切状態だね。何食べようかな。ラーメン食べたいな。すみませーん。今日の定食なんですか?カレー?それにしよう。定食とラーメンお願いします」

「食べ終わったら、あそこにある、良寛美術館に行きましょうね」
 
         
     良寛の里美術館  
     
  江口「素敵な施設だな。この向き合った像いいね。ねえ、このときこの二人、いくつといくつ?」

「七〇歳と三〇歳ですね」

江口「ありうるな」

「何がですか」

江口「ねえ、H誰としたの」

「良寛さんですか?誰ともしていないと思います」

江口「うっそぉ。ウソだろー」

「それが修行というものです」

江口「俺は堪えらんねぇな。我慢できない」

「そうですか?」

江口「『一二三』と『いろは』がある」

「これは一般の人でも読みやすいように書かれたものなんですよね」

江口「そうだったね。これは、一…あ心か。残念。これは…なかなか読めないね。良寛、なんて書いてあるの」

「良寛書、ですね」

江口「体験コーナーなんてあるよ。筆と墨汁がある。何か書いてみようかな。何書こうかな。『にほへ』あそこの続きだよ。あとは、『天上大風』と、何かいいものない?」

「『心月輪』とか『愛語』はいかがですか?」

江口「輪て車へんだよね。愛ってどう書くんだっけ。江口歩書。いいなあ」

「すごい。いいですね。私も何か書こうかな。じゃ、四五六、と」

江口「四五六もいいな。じゃ、貼っていこう」

「いい記念になりますね。ちょっと役場にご挨拶に行きましょう」

                        

 

 
     
     和島村役場  
         
  早川「こんにちは。観光課の早川です」

「こちら、NAMARA代表の江口さんです」

早川「始めまして。お噂はかねがね伺っております」

江口「えっ。マジで。こちらまで」

「学校のほうに来ていただいたことがあるようです」

江口「ああ、そうでしたか。お世話になりました。学校って何校あるんですか」

「小学校が2校の中学校が1校です」

江口「手毬とか子どもに学校で作らせてさ、あちこちに送るというのはどうかな」

「おもしろいですね」

「年中行事にするといいかもしれませんね」

江口「この特産品のワラみたいなのは何?」

「畳ですね。小型で、花瓶敷きや置物を置くのに使うんです」

江口「これと手毬セットにして売り出せばいいじゃん。酒蔵はあるの?」

「久住酒造があります」

江口「久住酒造ってここなの。すごいなあ。俺なら良寛さまとセットで売り出すね」

「なんだか…NAMARAの営業みたいになってしまってすみません」

「いえ。参考になります」

江口・郁「どうもお世話になりました」
 
 
         
  出雲崎町

 
  時代館
 
            
 
江口「出雲崎だねー。『天領の里』って…?」

「代官所があって、幕府が治めていたんですね」

江口「良寛さんの家は何をしていたの」

「名主さんです」

江口「いや、職業さぁ、職業は何してたの」

「だから、名主さんです」

江口「だからさ、何かを作っていたとか、金を稼いだりしていないの?」

「あ、商売もしていましたね」

江口「時代館、入る?」

江口「へー。何なのこの船。東回りってなにさ。あ、北前船ね。東回りと西回りがあるんだ。一年に二回しか来ないの。ふうん。意外と回数少ないんだね。…?」
 
  「あ、ですね」

江口「この船は?御奉行船?」

「あ、佐渡奉行が乗ったんですよ」

江口「へえ。あ、あれなんだろ。あ、ジグソーパズルみたいな遊び。魚を組み合わせるんだね。えーっと、砂時計を引っくり返して…と」

 *江口氏、必死に並べる。

江口「わかんないや。あれ?あれ?」

「これ、ここじゃないですか」

江口「出来上がり図を見るなんて、汚ねーな。できた。…バカだねー。俺。こんなに夢中になって。あ、あれは?のぞきからくり。ふーん」

「あ、面白いですね」

江口「ねえ、これ、どうなってるの?江戸の人たち?新潟弁じゃないよ。江戸弁じゃん」

「そうですね。でも、出雲崎のことでしょ。東京の会社が作ったんじゃないですか。今回出来た良寛さんのアニメでも、平山知事さんが新潟弁を東京弁に直すように言われたそうですよ。」

江口「そうだってねー…。でも、新潟の言葉でしゃべってほしいね」

「あそこは、江戸時代の街並みですよ」

江口「あ、やっぱり遊郭あるじゃん。やっぱりな」

「下には、職人さんのお店があります」

江口「紙風船と凧。紙風船屋はさ、家(新潟市)の近くにもあるよ。ねえ、妻入りの町並みを見に行こうよ」

「その前に、良寛さんの像を見ましょうよ。建物の海側にありますよ。良寛さんが子どものときの話なんですが、お父さんに叱られて、良寛少年が上目遣いでお父さんをにらんだら、お父さんが、『そんな目で親を見ると鰈になるぞ』と叱ったのですよ。そしたら、良寛少年は『鰈になったら水がなければ死んでしまう』と思って海辺に行って水面を眺めている、という像です。ほら、あれです」

江口「え!ちょんまげついているよ」

「そうですよ。江戸時代の人だもん」

江口「ちょんまげってさ、大変そうだよね」

「じゃあ、妻入りの町並みを見に行きましょうか」

江口「うん」
 
 
         
     獄門跡  
         
         「昔ながらの道は、狭いですね。でも、道路、きれいに整備してありますね」

江口「まず、端まで行ってみない?」

「あ、獄門跡だって!」

江口「獄門跡?」

「罪人が、ここで処刑されたんですよ。名主は立ち会ったそうです。良寛さんは名主見習いのときに、処刑に立ち会って、それが心の痛みになって出家した、という説もあるんですよね」

江口「そうなの…。じゃ、俺がそいつらのオーラを吸い取ってやろうか」

「…」

江口「うぉーっ」

江口・郁 *お地蔵様に合掌*
 
         
   くるま屋旅館  
              江口「あっ、旅館だ。ちょっと寄ってくるね」

「じゃあ、車方向転換しておきます」

江口「ねえねえ、いろいろすごいものがあるんだって。見せてもらおうよ。良寛さんの弟さんの書があるんだって。知ってた?」

「そうなんですか?…お邪魔します」

ご主人「うちの祖父が、加藤貫一郎といいまして、良寛さまには詳しかったのですが…。展示室があるのでどうぞ」

「わあー。すごい。あ、由之さんの書だ。あ、お父さんの以南さんの書も。あ、良寛さんの書も!」

江口「これって、本物なんですか?レプリカ?」

ご主人「本物なんです」
 
 
「ホントにすごいですね。あ、亀田鵬斎さんの書もある…」

江口「あの、旅館も見せていただけますか」

ご主人「どうぞご覧ください」

江口「へぇー。感じいい宿だね。今度泊まりに来よう」

「雰囲気がありますね。床の間に良寛さまの絵の掛け軸が…。玄関のところにある良寛さまの絵、遍澄さんですね」

江口「あそこに面白いのがあるよ。三角形の家。三角堂だって」

「わぁ〜。ホントだ。畳まで三角形…。ありがとうございました」

江口「ありがとうございました。今度泊まりに来ます」

ご主人「お待ちしております」

江口「これが俺流の旅だよ。地元の人とちゃんとお話しするのさ。俺、エピソード作りの天才だから。テンション高いときほどエピソード作れるんだけどさ、今日はちょっとテンション低くてさ」

「はあ…」

江口「もう少し行って、…あそこのお店でお昼食べようよ」
 
         
    星のまきば  
         
  江口「こんにちは〜」

ご主人「お好きなところにどうぞ」

江口「えーと、何食べようかな。スパゲティにしよう」

「私もそれで」

江口「あ、良寛講座だって。張り紙があるよ。ライバルだな」

「私たちのイベントのチラシも張っていただきますか」

江口「そうだね。すみません。あの、イベントのチラシ、こちらに張っていただけますか?」

ご主人「ああ、いいですよ。何でも張ります」

江口「あの、チラシいくらか置いていってもいいですか」

ご主人「入口のところに置いていいですよ」

江口「ありがとうございます。実は良寛さまのイベントをするんです」

ご主人「これ、新潟で行なわれるんですね」

江口「ちょっと遠いですから、情報だけ、ということで」

ご主人「うん、出雲崎は良寛さまの出身地だから、こういうイベントがあることだけでも知っておきたいですからね」

江口「あの、妻入りの町並みって、すごくいいんですけれど、村上市の『人形さま』のようなイベントはしないんですか」

ご主人「イベントですか…」

江口「お祭りはないんですか」

ご主人「一月二日に、あちこちで獅子が出るよ」

「飴獅子ですか?」

ご主人「飴獅子じゃなくてね。全町の獅子が勢ぞろいするんですよ。それで町中回るんです。お祝儀貰うのも早い者勝ちですからね、競って回るんです。この日は、雪が降っても何が降っても獅子が出ますからね。カメラマンの格好のモデルですよ。カメラマンがたくさん来ます。飴獅子は十二日ですね。あれは住吉町の獅子です。八月十五日は漁師さんの祭りがあります。この祭りはね、船に乗れるんですよ。遊園地やテーマパークなんかに負けない迫力ですよ」

「本物ですからね!」

ご主人「そうなんですよ。人気がありますよ。それから、十月の第二日曜は、天領祭りです。この時は、お奉行さまの行列があるんですよ。この時も、お姫様役や、殿さま役を募集するので、新潟からも応募があったりするんですよ」

江口「ふーん。あの、『人形さま祭り』では、普通の家、町家を回ったりするんですよ。こちらの妻入りの町並みも、独特だから、やってみたら人が集まるんじゃないかな、と思って…」

ご主人「今、そういう計画があるんですよ。天領祭りの時に、公開しないかって。くるまやさん、家、大黒屋さん、あと何軒かで考えています」

江口「ああ、そうなんですか。絶対いいですよ。それ」

ご主人「その時に、また来てくださいね」

「面白そうですね。来たいですね」

ご主人「あの、家のこと知っていたんですか」

江口「いえ、さっき見つけて入ったんですよ」

ご主人「そうですか。あんまり自然に入ってきたから、知っていたのかなと」

江口「ね、やっぱり昼食べるのは町並みの中が良かっただろ。これ、俺流の旅」 
 
 
         
     大黒屋  
                                             
  江口「こんにちはー」

大黒屋さん「いらっしゃいませ」

江口「良寛さんにちなんだお菓子ありますか」

大黒屋「そうですね、白雪こうでしょうかね」

江口「それください。あの、実は、良寛さまにちなんだイベントを、行なおうと考えているんですよ」

大黒屋「は?そういえば、どこかで見たお顔ですね。テレビに出ていらっしゃいます?」

江口「はい。新潟のお笑い集団NAMARAです」

「あ、『世界不思議発見』の色紙ですね」

大黒屋「そうですね。何年か前に、良寛さま特集をやりまして、そのときにこのお菓子が紹介されたんです。あの、これ、はね出しのおせんべい、食べてください」

「あ、良寛さまの書が焼き付けてあるんですね。ありがとうございます」

江口「ごちそうさまです」

大黒屋「今、どちらかを回っていらっしゃったんですか」

「はい、あの車屋旅館さんを…」

大黒屋「イベントの取材ですか」

江口「まあそうなんです」

大黒屋「じゃあ、今日はお泊まりになるんですか」

江口「今日はこれで帰るんです」

「あの、月のうさぎのお菓子は…」

大黒屋「あいにく今日はないんですよ。注文いただければお送りしますので」

江口「じゃあ、今後もよろしくお願いいたします」
 
 
         
    良寛堂  
         
      江口「ふーん…。ここに家があったんだね」

「あちら、海のほうに良寛像がありますよ」

江口「この顔…。こんな顔していたのかな」

「橘屋は、良寛さんの弟さんの代で所払いになってしまったのですよね。それで、さっきいってきた、与板で暮らしたんですよ。お父さまの出身地で」

江口「えっ。所払い。いったいどうしたの」

「出雲崎代官所の高札場が橘屋の前にあったんですけど、そのころ、隣町の尼瀬に高札場や港を取られてしまったんですよ。それで、出雲崎側の立場が悪くなって、出雲崎名主の橘屋さんも金回りがだんだん悪くなって、借金がたまってしまったんですよ。弟さんの時代に…。それで、いろいろあって橘屋、おとりつぶしというか、消滅してしまったんですよ」

江口「そうだったの…」
 
 
         
    良寛記念館・夕日の丘公園  
         
  江口「夕日の丘というのが見たいんだよね」

「記念館の裏なんですよね。こっちです」

江口「へー。こんなところなの」

「海がよく見えるでしょう。ほら、あそこが良寛堂」

江口「ねー。俺がここの子どもだったら、間違いなく石投げてさ、下の家の瓦をほとんど割っていたね。このへんの子はやらないのかな」

「やらないでしょー」

江口「あー。投げたい」

「もう行きましょうね」
 
         
     心月輪(良寛記念館前)  
         
  「あ、お土産屋さんがある」

江口「よっていく?」

「ちょっと入ってみます」

男性客「俺、良寛さんの彼女の本でも買っていくかなー」

江口「あのー。その漫画描いた人、その人ですよ」

男性客「えー?」

「あ、どうもありがとうございます」

男性客「それなら、サインしてもらおうかな」

江口「今ならもれなくサインがついております」

男性客「じゃあ、一冊買うわ。サインしてね」

女性客「私は良寛さんの漫画買おうかな。サインしてね」

「ありがとうございます」

男性客「おれはスケベだから彼女のほうだ」

江口「スケベなんですか」

男性客「ヒゲがある男はスケベなんだよ」

江口「あ、俺もヒゲが…」

男性客「あんたのヒゲのほうが濃いから、あんた、大スケベだな」

江口「あ…。そうですか…」

「どうもありがとうございました」

江口「よかったねー本が売れて。埼玉県の人だって」

売店の人「私もびっくりです」

「良寛さまのイベントをするために、勉強に来たんです」

売店の人「あの人、どこかで見たことあるんだけど…」

「あ、NAMARAの江口さんです」

「そうですよねー。テレビに出てますよねー」

「そうなんです。あ、冷やし飴があるんですね。江口さん。飲んでいきませんか」

江口「あー。俺、ところてんも食べようかな」

「はい、どうぞ」

江口「美味しいね。これが氷飴?」

「あ、冷やし飴です」

江口「ここ、いいねー。海がよく見えるし」

「最近、佐渡が全然見えなくて、沈んだんじゃないかって笑い話になっているくらいです」

「ホント。佐渡が見えない。もやが出ているせいでしょうか」

「春先から、全然見ていないんですよ」

「そういう現象もあるんですね…」
 
 
         
     出雲崎文化センター  
         
  江口「一応、教育委員会にもご挨拶していこうかな」

「そうですね」

江口「俺、行って来るから待ってて」

「はい」

江口「郁丸さん郁丸さん。郁丸さんのこと知ってる人がいるよ」

郁「は?」

徳永「どうも。良寛サミットの時はお世話になりました」

「あ、どうもお久しぶりです。今度NAMARAさんとイベントすることになりまして…」

徳永「私どもも、良寛さんのアニメの上映会がありますので、いろいろと考えているんですよね」

江口「NAMARAもなにげによろしくお願いいたします」

出雲崎町職員「成人式とか…。おいくらくらいでやっていただけるものですか?」

江口「ピンからきりまでありまして…」
 
 
         
     *****  
         
  江口「良寛さんのおかげで、仕事が入るなあ」

「よかったですね」

江口「知れば知るほど良寛さんはNAMARAだね。ひきこもりだし、こわれものだし、落ちこぼれだし」

「そういう考え方もありますね」

江口「もうちょっと、勉強しよーっと」

「はい。今後とも、よろしくお願いいたします」


                                 ―良寛紀行―

★ 平成15年「お笑い良寛講座・良寛さまお笑い寺子屋」のための調査&宣伝旅行の一こまでした(^-^)。

   イベント宣伝のために作っておいたのですが、諸々あってUPが大幅に遅れてしまいました(T T)。

   江口代表さま、お世話になりました。また何かしたいですねー。

★ 「良寛さまお笑い寺子屋」(NAMARA with 郁丸)

 
         

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