長野市(旧鬼無里村)

文道古城(長野市鬼無里)

 08年4月12日(土)のヤブレンジャー&巡城組の信州合宿で、アゼイリア飯綱に宿泊し、夜、翌日のターゲットを決めるため城の資料を見ていた私は思わず、「あっ!」と叫んでしまった。

 『山城探訪』(宮坂武男)の中に、三層の天守が描かれているのが目に入ってきたのである。鬼無里村の山中に、このような三層の模擬天守が人知れず建っていたとは・・・・まったく知らなかった。そういうわけで、すかさず私はこの城に行くことを希望した。そして心優しきレンジャー隊諸君は、みな同意してくれたのである。感謝! たいして遺構など期待できないこの城に来てもらって本当に申し訳ないが、おそらくこの機会を逃したら、生涯でこの城には二度と来ることはないであろう。

 旧鬼無里村中心部から北東1.2kmほどの山中に「ふるさとの館」という施設がある。地図にも載っているが、その辺が城址であるらしい。

 鬼無里の中心部からの比高230mほどというかなり高い場所である。中心部から「ふるさとの館」に向って車で上がっていったのだが、かなり上がった山中にも集落があるのに驚いた。鬼無里は山深い里であるが、あちこちの山の上の方にも集落が営まれていたりする。まるで、隠れ里のような場所である。

 実際の城域は「ふるさとの館」の南側にそびえている、ちょっとした高台がそれであったようである。しかし、模擬天守がどこにも見えない。本当にあるのだろうか。

 そこで城内に入り、3郭、2郭と進んでいくと、2郭から一段降った先端の1郭に模擬天守が姿を現した。やっぱり本当にあったのである。妙に細長いが、けっこうちゃんとした三層の天守が。1郭がけっこう低い位置にあることと、周囲に木立が多いこととで、外からは見えにくくなっているのである、この天守。

 天守の外観は『山城探訪』に描かれていたそのまんまである。今更ながら、宮坂氏の描写の正確さには舌を巻いてしまう。ひょっとして、氏も、このような建造物が好きなのではないだろうか。

 天守内部は展望施設となっている。鍵がかかっていないので自由に内部に入ることができるようだ。入ってみると・・・・1層目の広さは6畳ほどしかない。梯子を上がって行くと、2層目は三畳敷きほどだ。そして、三層目に至っては、なんと、階段スペースを除くと、わずか1畳の広さしかなかった! このような細長い天守は始めてである。洲本城の模擬天守も小さかったが、これよりはかなり勝っている。

 このような小さな天守が風雪に耐えて、人知れずこのような山中に埋もれている、そのことを思うとなんとも切なくなる。この天守を見に訪れる人は、いったい年間にいかほどいるものであろうか。月に一人か二人くらいではないのかという気がする。

 天守の脇は広場になっていて、そこは野外音楽堂となっている。この広場で音楽会が開かれることも、果たしてあったのであろうか。建設当時は物珍しさで開かれることもあったのだろうが、現在ではあまり使用されている雰囲気はない。 

 ・・・・てなわけで、ここでヤブレンジャーライブを行うことにした。ヤブレンジャーの歌をこのステージで歌いまくったのである。しかし、そのため体力を消耗してしまい、この日のこの後の城攻めは、ひたすら、きついものになってしまっていくのであった。朝のしょっぱなから何をやっているのであろうか・・・・・。

城址北側下にある「ふるさとの館」。広さもあり、周囲は切岸で囲まれている。ここも郭であったろうか。 2の郭の城塁。切岸加工されており、唯一、遺構らしく見える部分である。
先端の1郭にある摸擬天守。とにかく小さい。三層目は幅一間しかない。普通の民家よりもずっと小さい。 天守内部三層目で記念撮影。三層目はなんと一畳分の広さしかないので、5人立つのもやっとである。
天守前にある野外音楽堂。人が訪れなくなって久しいといった印象である。ここが音楽堂として活用されることはあるのだろうか。 せっかくなので、模擬天守の下でヤブレンジャーライブを行うことにした。歌い、躍び跳ねるヤブレンジャー!(ワカ殿撮影)
 文道古城は、天文年間、小川城の家老であった大日方(おびかた)金吾直経の居城であった。武田信玄の北信侵攻の際には、大日方氏はこの城に拠って奮戦したが、力尽きて、一族とともに滅亡してしまった、と現地の案内板に書いてあった。
 しかし実際の大日方氏は、その後武田氏に仕えて、ひとかどの勢力となっているので、武田に抵抗して滅ぼされてしまったというくだりは少し眉唾である。むしろ他の一族とは異なり、武田に付くことを納得しなかったので、武田の攻撃を受けてしまった、といったように解釈すべきなのではないだろうか。

 それにしても、城らしい遺構はほとんどない。もともとたいして籠城などできるほどの城でもなかった、というのが実情であったろう。

 しかし、久しぶりに『すごい』模擬天守を見てしまったなあ〜。





































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