■■ 客船の火災 ■■
 建造中の客船が火災を起こし客室の大半が燃えてしまったとのニュースには驚いた。完成し就航した船舶には絶対と言って良いほど起こり得ない事故である。
 国際航海をする船舶の居住区域は客船に限らず貨物船であっても、海上に於ける人命の安全条約(SOLAS)によって、充分な防火対策が採られている。
  • 居住区内の仕切りや天井などは根太などの固定材も含めて不燃材料を使用する。内装用の壁紙やベニヤなどには可燃材料の使用が認められるが、その厚さは2.5ミリ以内に限定され、その表面は炎が伝播しないように処理してある。
  • 通路は全て上記の防火壁で保護され、それぞれの居室やサービス区域も防火壁での間仕切りがされていて、万一火災が起きても他の部屋や通路に伝播しないようにしてある。従って保護された通路を通って安全な場所に避難できる。
  • 更に客船の場合には一区画が50メートル四方を超えないように鋼製の防火壁が配置されている。
  • 居住区域内には火災検知器が配置され、スプリンクラーによって火災は初期段階で鎮火される。勿論、他の消火設備も完備されている。
 テレビのニュースや新聞記事からの情報だけでは何が起きたのかを断定することはできないが、まず想像をしてみよう。
  • 家具やその梱包材などが持ち込まれていたであろう。
  • 工事用の塗料や揮発性溶剤など引火し易いものも存在したであろう。
  • 通路や客室の防火仕切り壁は家具などを持ち込み易いように一部もしくは全部の取り付けが完了していなかったであろう。
  • 火災検知器やスプリンクラーは設置されていたであろうが、作動はするように成っていなかったであろう。
 以上のような状況であれば、初期鎮火に失敗したらあのような大火事になったのも頷ける。全く不幸な事故だと思う。延焼部分を新替えして完工に向かう計画だとか世界最大級の客船の無事竣工を祈る。
 完成し就航した船舶にも同様な大火事が起きると誤解しないで欲しい。海外旅行を船旅でと計画している方々は安心して楽しんできてください。