■■ 寄航国による船舶検査 ■■
 ある国の貨物船が富山港への入港を拒否されていることがニュースになっている。この入港拒否の国際法上の根拠を考えてみる。
 海上に於ける人命の安全条約(SOLAS)によると、「各船舶は他国の港にいる間はその国の係官のコントロールの下にある」とある。これを Port State Control と云う。日本もこの国際条約に基づき国内法を整備し入港船の検査を行っている。
  • 旗国(船舶が登録されている国)の有効な安全証書は、以下に述べる状態が確認される限り、受け入れられる。
  • 船舶とその装備品は国際条約の定める規則に合致し良好な状態に維持されている。
  • 安全証書が発行される時点およびその後の定期検査以降に船体構造、機関、装備品などに変更を加えていない。
  • 船舶又はその装備品に不備や欠陥が発見された場合は、コントロールを行った係官は不備が改善されるまで、或いは修理港へ安全に直行できることが判明するまでは出航を差し止める手続きを執らなければならない。
 テレビのニュースや新聞記事によれば、問題の貨物船は博多港で Port State Control による船舶検査を受け、救命艇や非常用照明の不備など14項目の欠陥が発見されたという。本来これらの欠陥が改善されるまでは出港を差し止められるべきだと思う。おそらく、これらの欠陥を改善するために修理港に直行するという条件で出港許可されたものであろう。
 
 Port State Control による改善命令を無視して、再入国を試みることは国際条約に対する重大な違反行為である。たとえ国際条約非加盟国であっても日本に寄港する以上、日本国内法の規定を遵守しなければならない。
 
 数年前 Port State Control の制度が実施された当初は世界のいろいろな港で出港差し止めが頻発した。特に、カナダ、アメリカ、オーストラリア及びヨーロッパの諸港では厳しい検査が行われている。旗国の検査機関やその代行をする船級協会にとっては、この出港差し止めは恥になるので、安全証書の発行検査や定期検査に充分な注意を払うようになり、船主も良好な状態の維持に努めるようになった。