愛子様アメリカ留学、運命の出会い

 

 

いよいよ愛子様はアメリカに留学されます。
ご家族と別れるのには、少し寂しさも感じられますが、皇太子様に、アメリカでしっかり勉強すると約束され、日本
を発ちます。
皇太子様は、愛子様のご学友を秘書として、アメリカに送ることを提案されましたが、束縛より自由を望む愛子様
は、それを拒絶され、単身でアメリカに渡ります。
尊敬するケネディ大統領の名前を持つJ.F.ケネディ空港に降り立ち、そのケネディ大統領の母校でもあるハーバ
ード大学に向かわれ、
そこで愛子様のアメリカ留学の生活が始まります。

イングリッシュネームは「ジャクリーン」
尊敬するケネディ大統領の婦人から取ったそうです。
愛子様は社会学を専攻。
アレックス教授の下で、毎日熱心に勉強されますが、慣れない異国での生活に少し疲れが見え始めました。
食堂でパンを食べますが、どうも食欲がありません。
そして、まさにこの時、愛子様は運命的な出会いをなされるのです。

愛子は、まだ噛み終えてない口に、もう一度パンを口に運びました。
どうにか昼食を終え、*食堂から出ようとしたその時、突然、ある東洋人とぶつかった。
歩きながら考え事をしていたのが、問題だったようだ。
愛子はこぼれてしまった牛乳びんを見て、そしてその東洋人の男に申し訳なくて、どうしようもなかった。
「すいませんでした。私の不注意で...」
その男は、無表情な顔で愛子を見て
「大丈夫です」
ただそう一言だけ言って、とぼとぼと外に出て行った。
愛子にとって、面識のない男だったが、変にその男に親しみを感じた。
暫くの間、思いにふけたが、午後の授業に遅れるという事実を思い出した。そして、急いで講義室に向かって、駆けて
行った。

 *思いっきりベタベタな展開です...

 

急いで講義室に入った愛子様ですが、既に講義は始まっています。
急いで席に座り、講義に神経を集中しようと しましたが、近くの席に、さっきの東洋人の男も座っています。
愛子様は、講義が終わったらもう一度話をしてみようと思いましたが、講義終了後、愛子様はアレックス教授に呼び止
められ、話を終えた時には、既にその青年はいなくなっていました。
数日後、愛子様はアレックス教授と美術館へ行く約束をしましたが、当日、急用ができたとかで、愛子様に、先に美術
館に言っておいてくれとの連絡を受けます。
1人美術館に向かう愛子様。
愛子様はゴッホの作品に、目を奪われました。

暫く鑑賞していたが、人気を感じ、振り返ってみると、横である男が、ゴッホの自画像を食入るかのように見ていた。
その男は、他でもなく、あの時の東洋人の青年だった。
自分とは、悪縁があるのかと感じられる、その男は、ゴッホの自画像を見ながら、ずっと夢中で何かを考えていた。
無視してしまおうかとも考えたが、それでも何故か言葉をかけたくなった。
そして、青年の近くに寄った。
「あのう....こんにちは。以前お会いしましたよね?」
その東洋人の青年は、愛子をじっと見つめたが、再び、ゴッホの自画像に熱中し始めた。
愛子は、なんとなく無視された気がして、もう一度、勇気を出して
「あのう...東洋の方ですよね?ひょっとして日本人ですか?お名前は?それに御幾つ...?」
青年は愛子をまた見て、にやりと笑い
「ゆっくり、一つづつ言ってください。何か気になることでも?」
愛子は恥ずかしそうにしている。青年は、愛子の気持ちに気付いたのか
「以前お会いした時、ご無礼な点があったのなら、謝ります。
正式に挨拶しましょう。
はじめまして。余ミンヒョクと言います。*イングリッシュネームはジェームスで、韓国人留学生です。あなたは?」
愛子は、韓国人という言葉を聞いて驚いた。
愛子も、韓国人は生まれて初めて見たのだった。
今まで教科書で韓国と日本の微妙な関係に対して習ったことはあった。
具体的ではなかったけれども、なんとなく、二つの国の関係が、あまり良くないような気がした。
それで、その青年に、悪い印象を与えやしまいかと、心配になったが、祖父や父から、
日本人としての自負心を持てとの、いつも聞かされていた言葉を思い出した。
「私は日本人です。名前はジャクリーンです。お会いできて光栄です。
そして、以前の失礼な振る舞いは心からお詫び申し上げます。
謝る時間もなかったので、それで...洗濯代金を...」
ミンヒョクは手を振って
「洗濯代金だなんて....あの日のことは忘れてしまって下さい。
これも何かの縁でしょう。もしお時間があれば、お茶でもご一緒しませんか?」
ミンヒョクは、愛子と一緒に美術館内の喫茶店に向かった。
「なんか....結局来れないみたい」
愛子は、携帯を手にとって遊んでいる。
「誰のことですか?」
「実は、この美術館。担当教授と一緒に来ようとしてたんですけど、でも...」
「でも、幸運にもジャクリーンとこのように知り合えて私は、とても嬉しいです。これもなにか、運命だといえるのかもしれな
い....」

 *韓国の留学生の多くはイングリッシュネームを名乗るらしいです。

 

ミンヒョクとの会話が弾む愛子様。
話題はゴッホについてに変わります。

「ところで、ジェームス?思うんですが、あなたはずいぶんゴッホの自画像に心酔してたみたいだけどなにか、特別な訳で
も?」
「ゴッホの自画像ですか?実は、私はそんなに絵が好きじゃないんですよ。
なんか、画家って裕福な家に生まれ育ち遊んで暮らしながら時間を潰すように絵を書いているような気がして...
それで、アメリカに留学して、ビンセント ヴァン ゴッホの伝記を読んだんです。
ジャクリーンも知っているでしょうけど、オランダ出身の画家で、後期印象派の巨頭であるゴッホの人生は、不幸そのものじ
ゃないですか?
絵もその当時には認めてもらえず...そういうゴッホに、何故か自分の姿を感じるんです。
もどかしい生。憂鬱な人生。どこか寂しげな心、自由を目指す翼の行動....
小さくとも燃え上がる彼だけの情熱を感じられます。それで、ゴッホの作品は、すべて鑑賞しましたね。
そして特に、彼の狂気の象徴である自身の耳を、切り落とした自画像は、僕の心を捉えたんです。
彼は自分の姿を描きながら、一体何を考えていたのか?」
(...こんなうんちくがあと8行。うっとおしいのでカット)
愛子はミンヒョクの言葉にすっかり聞惚れてしまっていた。
この青年は哲学的でありながら、自身だけの独特な色彩を身に付けた、考えが恐ろしく深い人であるように感じた。
彼だけの、秘密めいた雰囲気を感じ、好感も感じられ、何故か、もっと言葉を交わしたく思えたのだった。

 

愛子様とミンヒョク青年はすっかり意気投合してしまいます。
ミンヒョク青年は引き続き愛子様に色々なことを教えてあげます。
ケネディ大統領とその妻ジャクリーンのこと、サッチャー元英国首相のこと、国際貢献のこと...
そして、二人は当日夕食を一緒にすることにしたのでした。

ミンヒョクと一緒に車に乗って、到着した場所はボストンの最高級レストランだった。
それこそ、富豪の中の富豪だけ来る場所だ。
レストランの前には、フォルクスワーゲンからベンツまで、高級車が櫛の歯のように並んで駐車されていた。
レストランの中は、人々の服装、または正装にに宝石をちりばめた人たちが大多数だった。
「僕がアメリカで*恋人が出来たら、最初に来たかったのがこのレストランなんだ。
勿論留学生だから、予算ぎりぎりだけど、美しきジャクリーンの為だったら....」
愛子は顔を赤らめた。
ミンヒョクは予約された席に雌小牛の肉と17年物のワインを注文した。
見晴らしの良い窓だった。
暫く窓の外を眺めた後、ミンヒョクはゆっくりと口を開いた。
「此処、雰囲気がとても良いでしょう?ボストンでも一番いい場所に位置してるから」
愛子は同意するように頷いた。
少しして、注文した料理が出てきた。
こじんまりとした雰囲気の中で食べる料理は、それこそ幻想だった。
ミンヒョクと愛子は、お互い言葉を交し合い、微笑みの花を咲かせた。
愛子は、アメリカ留学生活で、気になっていたことについて、集中的に尋ねてみた。
夕食を終え、ついでに風に当たりに行こうと、愛子を車に乗せるように言った。
愛子は、少し遅い時間だったけれども、気分転換にはちょうど良いと考え、車に上がった。
ミンヒョクは、愛子が車に乗るや、速度を上げて、どこかに急いで向かって行った。
暫く車を走らせ、車をとめたのは黒人がいっぱいいる貧民街だった。
ハーレムと呼ばれるこの場所には、ホームレスが酷く多かった。
いたる所に、売春婦や幼い少女達が客を呼び寄せていた。
愛子は、ミンヒョクがどうしてこのような場所に連れてきたのか怪訝に思いながらも、ひっそりとして陰鬱なこの場所を怖く
感じた。
「ジャクリーン?僕がどうして君を此処に連れてきたか、気になるでしょ?
この人、なんでこんな夜遅くに犯罪と、 不法が溢れるこんな場所に連れてきたんだって....
ねえ、ジャクリーン、あっちを見てごらん。こんな寒い日に新聞紙一枚で寝ているホームレス達を。
あの人たちは、最初からああだったと思う?
今はいくあてもない立場だけど以前は全て問題なく家族と団欒してきた幸福だった人たちでした。
でも不況の影響で職場を追い出されて、それで、苦痛に苦しめられ、家庭からも捨てられ、今のような姿になったのでしょう。
今夜ウォッカや、きついウイスキーで寒さに耐えようとする彼ら。
そして、あっちも見てごらんよ。客寄せしてる少女達が目に入るでしょ?
彼女達は、最小限の生活費もなく学校にも行かなければならない歳なのに、夜中中、暗く、最低の境遇の中で徘徊してるよ。
彼女達は、黒人という理由で、ただ、幼く貧乏だという理由で、あのように捨て子になって、何の助けもなく、壮絶な、下水の
たまりの人生を生きているんだ。」
愛子はミンヒョクの言葉を聞き、粛然としてきた。
「僕がジャクリーンを、先にボストンの最高の富豪が集まるレストラン。
彼らはその名の通り、天国で、楽園の姿を見せているでしょう。
彼らは金を自由に操り、贅沢と浪費を楽しんで生きているのです。
でも、ここの人々は、毎日、飢えと寒さに震え、死んでいくよね。
世の中は、そういうものです。日向があれば日陰もある。
でも...ジャクリーン?僕たちはこの日陰に明るい光を放つ、そういう仕事をしなければならない。
(以下中略)
愛子はミンヒョクの言葉に深い感銘を覚えた。
自分が見過ごしてきたこと、本を通した理論を学ぶより、直接見て経験することが、この世の中で学ぶべき知識であることを。

 *今日会ったばかりでもう恋人ですか...

 

ミンヒョクの影響もあって、国際貢献や貧民救済にも興味を広げた愛子様ですが、この後ミンヒョクと共に社会と文化に関心を
持つ学生を集め、「世界平和推進会」という団体を発足させます。
この集まりを通して、愛子様は
中国人ヤンヤンを始め、数多くの友人達とめぐり合います。
このように、愛子様はミンヒョク青年と親しく付き合い、ある日校内デートをすることになりました。
ハーバード大学のキャンパスは、大変大きいので、構内でも、十分デートが出来るのです。
また、校内にも色々な伝説などがあり、ミンヒョク青年は、校内デートを通じて、ハーバード大学を案内します。
そして、夕方になり、キャンパスに流れるチャールズ川の土手で二人は言葉を交わします。


「ジャクリーン、これ知ってる?チャールズ川の伝説....
昔愛する二人の恋人がいたんだって。
でも女は貴族の娘で、男は牧童で、当然、家のほうでは、二人の仲を反対するよね。
それで、二人は現世の実らぬ恋を、次の生涯に導こうと誓ってこの川に、手をつないで身を投げ出したんだって。
その後、恋する恋人達が、実らぬ恋に胸をいためる時、チャールズ川行って、川に向かって、相手の名前が書かれた石を投げ
込むんだって。こんなふうにね。
(そう言ってミンヒョクは石に何かを書き、川にそれを投げ入れた)....
そうしたら、実らないはずの恋を実るよう導いてくれるっていう伝説があるってね。
信じれるのやら...どうなのかな?ジャクリーンも、一度やってみたら? 願いを込めて」
愛子は、最初拒否したが、ミンヒョクがちょっとした遊びだからやってみたらと、石を握りしめた。
そして、自分の望みを考えてみた。
「私の望みってなんだろ?私の望みは...この人と...」
愛子は、何か確信したかのように、力を込めて、石を川に投げ込んだ。
「このように、二人が投げたい石が、川の中で一緒になり、二人の愛は、永遠になるらしいんだってまるで、約束の証拠のように
ね...」
ミンヒョクは、愛子に何を祈ったのか聞いたが、愛子はノーコメントだと、話を断ち切った。
そして、二人は、お互い何かを隠しあうかのように、ぎこちない笑顔をした。

 

二人の川岸でのデートはまだ続きます。

「ところでジャクリーン?僕は今までジャクリーンに対して、あまりにも知らないことが多すぎる気がする。
正直、君について知っている事といえば、君が日本人だってこと。
そして、イングリッシュネームがジャクリーン。
そして、社会学を専攻しながら世界平和を夢見る素敵な女子大生ってことだけ...」
ミンヒョクの言葉に、愛子は慌てたのか、少し口篭もって
「いきなり...いきなりどうしたの?」
「ただ、なんとなくだよ。もうジャクリーンは、他人だとは思えない。
それにわがままかもしれないけど僕は君のことをもっと知りたい」
愛子は、困って、自分が日本の皇女であることを告げなければならないかのかと悩んだ。
でもそうすれば、今のミンヒョクとの関係は、よそよそしいものに変わってしまうだろう。
「だだの...普通のごく平凡な日本人なだけだけど」
「違うよ。ジャクリーンは明らかに何かが違うよ。普通の人、普通の女の子じゃないみたいだよ。
僕は日本人を良く知らないけれど、ジャクリーンは絶対普通じゃないよ。そんな気がする。(一部省略)」
愛子は酷く慌てた。
もしや、ミンヒョクは自分が、日本の皇女だと気付いたのではと、焦りを感じ始めた時
「ジャクリーン?、ジャクリーンは絶対日本の皇族のはずだよ。新聞でちらっと読んだことあるけど、
日本の皇太子に娘がいるよね?ひょっとして、その人がジャクリーン....」
愛子は既に血色を失っている。
こんなことなら、むしろ皇女としてはっきり言ってしまおうと口を開いた瞬間、
「冗談だよ。冗談!そんなに驚かないで。もし君が皇女だったら僕みたいなのに近づかないよね...」

 

このようにして、結局愛子様の正体も、ミンヒョクにばれませんでした。
日は既に落ち、辺りも暗くなって来ています。寒さも一段と増し、ミンヒョクは愛子様に、自分のコートを愛子様に羽織らせます。

そして、学校の寮に向かって歩き出した。
ハーバード大学は夜景もまた綺麗だった。
寮に到着した二人は、寮の休憩室に座り、コーヒーを分け合った。
「ジェームス、今日は本当に楽しかった。ありがとう。一緒に食べた綿飴も、ほんと美味しかった」
「僕のほうこそ、ジャクリーンとこういうふうに、一緒にいれて嬉しいよ。
それと、なんか、体の調子も良くないみたいだから、ゆっくり休んでね」
こう言って、各自寮の部屋に向かって歩いていたが、ミンヒョクは、愛子の肩に被さるように、突然、愛子を抱き締めた。
そして、ミンヒョクは、ゆっくり愛子の唇に口を押し当てた。  
愛子にとっては、初めてのキスだった。
愛する男性と交わす初めての経験.... この感覚、この息遣い...
愛子は、自身を取り巻く障壁をすべて取り払った気分だった。
もう、自身を邪魔する障害物など、これ以上存在しなかった。
うっとりとした。そして、永遠に記憶したかった。
この青年のことを、自分に、*愛という言葉を胸の奥深くに植え付けてくれたミンヒョクを...
寮に帰っても、躍る胸をどうすることも出来なかった。
これがあの愛というものなのかしら?
愛子は、生まれて初めて感じる愛という言葉にすっかり浸ってしまった。
頭の中が混乱し、躍るこの胸。そして精神のすべてが真っ白になるこのジーンと来る感覚。
そして胸の奥深くで発散される愛という名の暖かい温気が、彼女をより成熟させた。
お母さんが言っていたのは、正にこのことなのかしら?
お父さんを初めてみた時感じたこの気分、この感覚、この感情...
まるで、自身がエロスの愛の矢で射られたプシュケのように感じた。
愛、愛、愛!よく分からないけど、一度浸ってしまいものが、愛じゃないかしら....
愛子は寮の扉を開く瞬間まで、愛という言葉に、浸っていた。

 *えーと... なんだか背中がかゆくて仕方ないんですが...

 

ミンヒョクとのファーストキスにときめく愛子様ですが、現実に戻される事件が発生します。
なんと、明仁天皇が危篤であるという手紙を受け取ったのです。
愛子様は慌てて帰国の準備をし、ミンヒョクに事情も告げないまま、日本に帰国します。
日本に帰国後、すぐに皇太子様の元に行き簡単に帰国の挨拶。
久しぶりの親子の再会ですが、喜ぶ間もなく、愛子様は天皇陛下の病室に足を運びます。

愛子は、明仁天皇の部屋に行く途中、部屋の横のテーブルで、言葉を交わす二人を見た。
(中略)
「しかし...大変なことになりました。陛下は今日明日ともいえないとは...」
軍人のようなその男が話した。
「そうそう、持病があるとは聞いていたが、よりによってこんな時に悪化するとは...
チェッチェ.. これは、今後の大日本帝国の未来がどうなるやら...」
白髪の男が話した。
「それで、殿下。どういたしましょうか?もしこのまま陛下が逝去なされたら、次の皇位は...」
「フッフッフ...何を言っておる?陛下の崩御を望んでいるのか?
それに、もし、陛下が逝去あそばしても、当然、現皇太子、徳仁が皇位を継承しないとな。何か言いたいことでも?」
「そこです。万が一徳仁皇太子の即位で、すぐに新しい改革と、新進勢力の台頭をどうやってけん制すればよいのやら」
「心配するな。勿論皇太子が、今までの古い皇室と、かつての軍国主義の残滓に対して、不満に思い、これを、改革1
号対象と思っているのは、よく知っている。だが、たった一人で、たやすく変わるわが国、日本の体制であるか?
どんなに皇太子を立てて、新しい改革を主導する奴らも、その影響力は大きくはない。
それに私がいる間は、そういうことは微塵もない筈だ。
私が誰だと思っている?陛下の次に年長ではないか?勿論今は取るに足らない親戚に過ぎないが...」
「そうでございます。わが、大日本帝国は、殿下の、この間のご活躍に対し、何より感謝申し上げ、尊敬申し上げるだけで
ございます....(以下中略)」

 

怪しげな二人の会話の聞きつつ、愛子様は天皇陛下の病室に入ります。
非常に衰弱された陛下のお姿に驚く愛子様ですが、お二人は、何とか会話を交わします。
数分の面談の後、病室から出た愛子様は、母、雅子妃殿下と再会します。

外に出ると、雅子皇太子妃がいた。
母は、愛子を抱き締め、
「アメリカの生活は大丈夫?一人での留学とはいえ、今まで何もして上げれなくてごめんね
あっちでは、たぶん食べ物で苦労していることでしょう。
勉強で忙しいはずなのに、帰って来いと言ってしまって本当にごめんなさい」
「そんな...お母さん、当然帰ってこないと。おじい様が危篤なんですから...
それはそうとさっき二人の老齢の男性を見たんですが、あれは一体どなたなんでしょう?」
「男性?えっと...ああそう言えば、いましがたヒタチノ親王殿下と、田中前外相がいましたが多分、あの方々でしょう」
「ヒタチノ親王殿下といえば、ずっとタイに住んでおられるおじい様の弟様ですよね?」
「そう、お父様が御危篤だと聞いて、こうして来られたみたいです。私も結婚式の時以外では、殆どお会いしてないんだけど...
ともかく愛子、疲れているはずだから、ゆっくり休まないと。
まだ時差ボケも直っていないでしょうし...」
愛子は、ヒタチノ殿下という言葉を聞いて、気になった。
愛子が生まれる以前から、ずっとタイに住んでいるという明仁天皇の弟、ヒタチノノミヤ親王。
滞在中、*1タイに愛人がいるなど、すべからく贅沢と汚職でスキャンダルを主導してきた人。
良くない噂のせいで、皇室内の人間や、家族との間も良くない存在だ。
特に祖父、明仁天皇との関係が良くなく、日本には殆ど足を踏み入れないほどだった。
そして、田中前外相。
彼は、軍国主義時代の総理で、戦犯として処刑された東条英機の養子だった。
その聡明さと、背景によって、*2二十代で参議院に当選し、そして90年代の軍国主義復活政策により外相に上り、約20年
間日本の外務省の主人だった。
現在は、外相を退いているが、その背景と、人脈は、いまだ日本の政界を、思いのままに出来る権力者中の権力者だった。
軍国主義煽動の二人の巨物との対面...いずれにせよ尋常でない兆候だった。

 *1一体誰をモデルにしたんでしょう?
 
*2参議院の被選挙権は30才からです。

 

この後、ミンヒョクが韓国に帰国する前に、日本を訪門。
愛子と会いたいと言い出し、愛子様はこっそりと皇居を抜け出し、近衛隊をうまく言い含めて二人での東京でのデートを楽しみます。
ミンヒョクの、思いがけない訪問で、天皇陛下の容態が気になりながらも、
*1東京ディズニーランドデートを楽しんだ愛子様です。
ほんの一瞬ですが、普通の女の子として、東京でデートできたのです。
しかし、家に着いた時には、天皇陛下は、正にお隠れになる直前という状態にまで様態が悪化していました。

愛子は、明仁天皇の部屋に入った。
明仁天皇の部屋には、臨終を待つ天皇の姿を、最後まで見届けようとする人々でいっぱいだった。
現総理のイキコ他、参議院議員、外務省幹部、そして皇族とヒタチノ殿下、田中前外相まで、有名な人物が集まっていた。
皆は、息切れを起しながら震える天皇を見つめながら、涙を流していた。
「天皇陛下!御気をしっかりと...陛下」
明仁天皇の意識は、徐々に失われて行く様であった。息切れをおこしながらも、微かな声が聞こえて来た。
「あ..愛子...いるのか?...あ...い...こ...」
明仁天皇が、愛子を呼ぶと、愛子はおじい様の懐に抱かれ、震える二つの手を握った。
「おじい様...御気をしっかり...」
明仁は、震える声で
「あ...愛子...お前に何もして上げれなくて、本当にすまなかった。
私が元気になれば、お前と一緒に、か...韓国に行こうと考えていたのだが...
かの地に一度、足を踏み入れたかったのだが、...到底...出来そうにないな...
あ...愛子、お前は、か..必ず...必ず!....」
明仁天皇は、そのまま目を閉じた。
とても平安なお姿だった。
全ての懸念と心配事、そして、世の中に対する恨みと偏見、怒りが消え去ったあまりにも温和で幸福そうなお姿。
太初の人間...そして、いつも厳格で怖かったおじい様、明仁天皇の本当の姿ではなかったのだろうか。
*2「でも...おじい様はどうして韓国に行きたかったのかしら?」

 *1お前は金正男か!!
 *2もっともな疑問です。私もそう思いました。

 

明仁天皇の葬礼は3ヶ月間に及んだ。
(中略)
天皇、継宮明仁天皇は、軍国主義の象徴、裕仁天皇の代を継いで皇位に就き、穏健主義、平和主義日本を引っ張った先鋒だった。
不景気の時には、天皇が直接模範を示そうと節約した
そして剛直だった。
多少、保守的な部分も多いが、世界化に対する批判的視覚で、文化的交流も少なかったが、それでも、国をうまく維持した天皇で
あると、日本人は記憶した。

 

 

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