戊辰戦争百話・会津

第十六話:伝習第一大隊長、秋月登之助

秋月登之助(のぼりのすけ)は、田島代官江上又八(十六石三人扶持)の嫡男。
太郎と称した。勇志に富み、将の器であった。
 幕末、江戸にあって広く幕府や他藩の要人らと親交を結び、会津藩の名誉回復に
つとめたが事ならず、幕軍の七連隊に転入した。大鳥圭介らとは、かつて江戸城に
立て籠り義兵を挙げて西軍を江戸から追い払おうと計画したが、これも果たせなか
った。
 やがて大鳥圭介が幕軍二十余名を率いて会津へ向け北上することになり登之助は
推されて伝習第一大隊長となり、新選組副長土方歳三は彼の下にあって参謀役を務
めた。総野の戦、とくに宇都宮城の攻防戦において大いに活躍した後、藤原口から
田島に入り、若松城に入った。八月二十二日、母成峠破れ西軍が若松の城下に殺到
した際、登之助は二ノ丸にあって馬上から「君恩に報ずるのはこの時である。婦人
は内へ、男は外へ出て戦うぺし」と絶叫しながら友軍を叱咤激励する姿を間瀬みつ
に目撃されているが、その後の消息は知られていない。
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