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「海の日」の東京商船大学

明治丸
7月20日「海の日」の由来となった明治丸

2002年7月20日(土)に、初めて東京商船大学に行きました。
この日は「海の日」の記念行事として、無料で学内を一般公開してくれたのです。
憧れていた大学でもありますし、船にも乗れるというので喜んで出かけました。

最寄駅の「越中島」は、地上までの階段がえらく長い。エスカレーターもなし。
考えてみたら、商船大生を鍛えるのにはこの方がいいのかも。
開始時間の10時に着いたのに、既に「やよい」の体験航海の申し込みに長蛇の列。
結局ここで40分並ぶ。外は猛暑でも、木陰に並んでいられたのは幸い。
他の体験乗船もすぐに受付が終了してしまうほどの大人気。
こんなに商船大のイベントに人気があったとは...。
嬉しいような悔しいような初体験でした。

以下に、参加できなかった分も含め、当日のイベントをご紹介します。

10:00-16:00 「明治丸」特別公開

 上にも書きましたが、「明治丸」は"海の日"のもととなった船です。明治9年に、 明治天皇が北海道・東北から横浜へ戻ってきたのを記念して、1876年に"海の記念日"が定められました。数年前 からは"海の日"として祝日になりましたが、今年はあいにくの土曜日でした。
 明治丸が作られたのは1874(明治7)年。最初は灯台監視船として建造され、のちに皇室に召し上げられ内装が施されました。 建造当時はマストが2本だったそうですが、後から真ん中に1本が加えられて3本(3本マストで横帆の帆船を"SHIP"と呼ぶ) になりました。昭和53年から、国の重要文化財に指定されています。
 
 大きな帆船が水の上ではなく土に埋まっているのは不思議な感じです。外から見ると古さを隠せない船ですが、 船内に入ってびっくり。天窓からの光で中は明るく、内装もきらびやかで、今でも使えるのではないかと思うほど。 部屋の中と廊下側と両方から見える蝋燭ランプは、蝋燭が短くなっても明るさが保たれるような工夫がしてありました。
 勝手に見て回るのかと思ったら、60-70代と思われるOBの方たちが案内をしてくれました。乗船して真っ先に会った方は、 私が横浜の帆船日本丸で総帆展帆のボランティアをしていたときの日本丸の船長さん。思わず声をかけてみたら、 丁寧なご挨拶をいただきました。そういえば、この日も横浜では総帆展帆が行われていたのでした。

 今回は無料でしたが、普段は有料(大人:\280)で公開しているそうです。
建造当時の明治丸  明治丸の船内

10:00-16:00 百周年記念資料館

 明治丸のお隣の大きな白い建物が「百周年記念資料館」。ここは主に1階に機関学関係の展示、 2階に航海学関係の展示物があります。
 1階は、昔の機関が勢ぞろい。機関に疎い私には、歯車を組み合わせることでさまざまな動きができるという模型数個が面白かったです。
 2階は、船マニアにはヨダレが出そうな展示品がずらり。航海や無線に使う器具が山ほど並んでいます。舵輪やプロペラなどの大きいものから 六分儀などまで。ゆっくり見たい場所でしたが、冷房のない室内は熱気がこもって暑いことこの上なし。涼しい時期にまた見学したいものです。
2階の展示

10:30-, 13:00-, 14:10- 調査・研究船「やよい」の体験航海

 これがこの日の目玉イベントかもしれません。1回の定員は40名。朝10時過ぎに並んだのに1回目は満席 。結局最後の航海を申し込みました。
 「やよい」は次世代船舶もモデルを目指した調査・研究船とのことですが、普段は何に使っているのかよくわかりませんでした。 スピードは23ノットまで出ます。
 景色がよく見えるように船首に行ってみました。危ないからダメと言われるかと思ったら「いいですよ。帽子が飛ばされないよう に気をつけてください」とのこと。学生さんも一人船首に立っていました。スピードが出てくると我々が必死でつかまっているのに、 殆ど直立不動のままで立っていたのはさすが。
 クルーズのコースは、商船大内のポンドを出て晴海運河をちょっと遡り、左折して中央大橋をくぐって隅田川へ。 そのまま隅田川をくだります。佃大橋、勝鬨橋、さらにレインボーブリッジをくぐって東京港の航路へ。
 この頃スピードは20ノットを軽く越えており、船首は風を浴びて爽快!ときどき波で上下に揺られます。途中で出会った商船大のカッターや警察の船に手を振ったり、 揺れながらも写真を撮るので大忙し。 大井埠頭に沿ってどこまでも外海へ向かって快走していると、航路の真ん中に海上保安庁の船「のじま」を発見。 あちらも海の日のイベントなのか、たくさんの見学者を乗せています。
 この辺りでUターンしたあと、今度は晴海埠頭へ。船客ターミナルの前まで行き、そこから再び隅田川に入って、元来たルートを戻りました。
 これで50分。観光船だったら\2,000は取られることでしょう。説明もついたし、なかなかに濃いクルーズでした。これに乗れただけでも 来た甲斐がありました。

 下船してからブリッジの写真を撮ろうとしていたら、中にいらした方がニコニコして「どうぞ」と仰るので、お言葉に甘えてブリッジに 上がらせてもらいました。狭いながらも清潔できちんとしたブリッジでした。ロープで作ったつり革(つり縄?)が天井からいくつもぶら 下がっていたのが印象的でした。
「やよい」  「やよい」の操縦席

10:00-15:00マリンスクール

 今回、全く参加できなかったのが、このマリンスクール。申し込みに行くと「その回はもう一杯です」と言われてしまい、次の時間の1時間前に再び申し込みに並ぶ元気もなく、他の人が参加しているのを見るだけで終わりました。参加するにしても全部はとても無理で、綿密な計画をたてないと時間を有効に使えないようです。内容は以下の通り。

カヌー:学内ポンドで。自分で漕ぐ。一人乗りと二人乗りあり。約20分。
バナナボート:学内を出た豊洲運河で。約6分。
ゴムボート:学内ポンドで。自分で漕ぐ。約10分。
江戸の和船:豊洲運河で。漕いでもらうだけでなく自分でも体験もできる。
       4回制で、それぞれ約20分。
カッター:豊洲運河で。学生に漕いでもらう。約30分。
ロープワーク教室:室内で。4回制。約40分。

和船やカッターは、お客さんを乗せて学生が漕ぐようで、漕ぐ方は大変だなぁ、と思いました。でも、こんな機会、なかなかないかも。船の救命艇と同じですし。 
カッター

13:00-16:00 研究室・実験室公開

 午後からは学内のあちこちで研究や実験の公開が行われるので、ウォークラリーのようにあちこちを回りました。 早い時間に行くと学生さんが熱心に説明してくれるのですが、終了間際にはもう疲れたのか説明もなくただ見るだけでした。内容は以下の通り。
操船シミュレータ室:「船の科学館」などにあるゲーム的なものかと思ったら、いきなり建物の中に本物の船のブリッジとそっくりの 空間が現れてびっくり。窓の外には大きなスクリーンが5枚、半円状に繋がっています。この大型スクリーンに港の様子が映し出され、 操船にしたがって景色が動いていくようになっていました。
 最初はスクリーンの継ぎ目を見つけて笑っていたのですが、なかなかによくできたシステムで、船体のさび加減や岸壁の汚れ加減など 妙にリアル。本物の写真から作ったためそうなったのだとか。
 波形も本物そっくりで、本当に港にいるかのよう。天気が自由に変えられるのには感心するばかり。霧の濃度も何段階にも変えられるため、 濃霧のときの操船がいかに大変なことかよくわかりました。
 ブリッジから出られない分、ウイングに出たときの位置から見た景色を出すこともでき、これで練習すれば着岸、離岸はバッチリかも しれないと思いました。
 残念ながらお客さんは見るだけで操船はできませんでしたが、こんなに面白いものがあるとわかっただけでも良かったです。
 シミュレーションの舞台となっていたのが、見慣れた横浜港だったのも嬉しかったです。「あれ、先週見た景色と同じだ」なんて。
操船シミュレータ室  シミュレータ室の下の制御室

没入型移動体シミュレータ:名前は難しいですが、要するにディズニーランドの「スターツアーズ」やフライトシミュレーションのようなもの。一人が椅子に座って好きなように操縦すると、目の前のスクリーンの景色が動き、椅子も動きに併せて複雑に動きます。座っている人は本当に飛行機に乗って操縦しているような気になることでしょう。でも…酔いそう。時間もかかりそうなので見学だけにしました。

内燃機関実験室:船舶用ディーゼル主機関と同じ自動化装置と高圧燃料噴霧燃焼装置を公開、とのことですが、後者は実験時間が決まっていたようで見られませんでした。中は船の機関室そっくりで、A重油とC重油の違いがわかるよう展示されていました。

ターボ動力実験室:究極の省エネルギーシステムの紹介とのことですが、私には???でした。説明もなし。

船舶運航性能実験水槽:長さ54m、幅10m、水深2mの水槽で、浮体の波浪中の動揺を計測する実験とのことですが、これも実験時間に行けず説明もなかったのが残念。大きなプールを眺めて「涼しそう」と思ってきました。

大学キャンパス内史跡めぐり

 大学の敷地内に、いろいろな史跡があるので自由に見てください、というもの。全部は見ませんでしたが、 貴重そうなものが雨ざらしになって草陰にあったりして、なんだかもったいないような気がしました。
 数年前まで使われていたという「第一観測台」は、ファンタジーの世界に出てくる家のようで気に入ってしまいました。
 他には、一号館、G.E.O.ラムゼー功徳碑、第二観測台、菅船長像、復水器と循環ポンプ、駆逐艦「あけぼの」のシリンダー、全天候型救命艇、明治天皇聖跡記念碑など。
 学内には緑が多く、猛暑の日であったにもかかわらず、日陰では外で過ごすのも苦ではないほどの涼しさ。いかにも大学らしい大学、 という感じでした。
第一観測台

11:00-14:20 大学食堂

 昼食は大学食堂で食べました。食堂は小さくて2-30人で一杯になってしまいそう。メニューは4つ。商船丼、麻婆丼、カレーライス、ババンチー冷やしそば。 カレーが\300で他は全部\350という安さ。
 ババンチー冷やしそばというのは、冷やし中華で、あっという間に売り切れ。商船丼はニラと肉の炒め物がご飯に乗っている ようなものらしいですが、現物を見るチャンスがありませんでした。
 私は麻婆丼を選びましたが、値段を考えたらこんな感じかな、という味(^^;)。一口もらったカレーの方は、予想外においしかったです 。野菜のエキスが出ているというか、具は殆ど見えないのですが、何杯でも食べられそうなおいしさでした。
麻婆丼 

その他、気づいたこと

学生さんが親切!
 「明治丸」や百周年記念資料館ではたくさんのOBが活躍していましたが、「やよい」やマリンスクール、研究室・実験室では 学生さんが白い制服姿で対応してくれました。皆さん、とても親切で、照れながらも一所懸命説明してくれる姿がまぶしかったです。 暑い中、休日返上で頑張ってくださって感謝。

女子学生が多い
 当日は見かけなかったのですが、いまや商船大には女子学生が当たり前のようにいるようです。何気なく見た学内の掲示板で、 少なくとも20人以上の女性の名前を目にしました。女子トイレも男子トイレと同じだけあるようです。
 昔は、商船大に女性が入学したというだけでニュースになっていましたが、今はもう女性がいるのが普通になっているんですね 。嬉しいです。実習などでは男性の力に及ばないことも出てくるかもしれませんが、頑張って欲しいと思いました。


以上が初めて行った東京商船大学でのイベントでした。
長蛇の列ができたときの対応などで不備な点も感じましたが、大学をあげて一所懸命歓迎
してくれて、誰もが親切だったのが良い印象として残りました。
勝手に押しかけただけなのに、たくさんの資料や「明治丸」のマウスパッドもいただき、
すっかり得した気分になりました。
特に良かったのはやはり「やよい」の体験航海。
また来年もこんな機会があるのなら、行ってみたいな、と思いました。


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