図書館で借りた超対照的な二つの本

図書館で手にとった以下の二つの本 偶然にも対照的なのには驚かされた。
 


●一つは、「やった。」〜〜〜4年3ヶ月も有給休暇をもらって世界一周5万5000キロを自転車で走ってきちゃった男〜〜〜 (坂本 達 ミキハウス刊)

という、リストラにおびえるサラリーマンにとって、いかにも神経逆なでするスーダラ節的な憎たらしいタイトルだが(ミキハウスの社長に認められ旅の間も本当に給料をもらっていたそうだ)

そこまでの待遇にこぎつけるには、とうぜん苦難の連続。会社で積極的に率先して働き自分の夢を勝手にビジネス企画に絡めたりもした。しかし、会社は取り合ってくれなかった

彼の会社での働きぶりにもかかわらず反応がなく、こうなったらミキハウスを辞めようかと思ったところに社長の支援がきたのである。

会社で通訳も率先していただけあって英仏日・・と3,4ヶ国語を流暢に操り、それで未開のジャングル、高地、灼熱、極寒の極地、道中では病気のデパートのように多種の病気にかかり、体当たりで世界中を這うように旅したのである。
我がアフロあきらの世界一周をはるかに超える旅の領域ゆえに、まさにスーパーマンと言う以外に何といえるか。

そんな濃厚な冒険の旅を極めた一言の一つに、
「開発途上国でも女は強かった。肉体動労は男の仕事だが、酒や賭け事に興じるのも男。女は男よりも忍耐力、生命力、適応力、包容力が勝っている・・・
海外協力隊や教会などきびしい環境で逃げ出さず現地の人としぶとく活躍していたのは、やはり女性が多かった気がする。男が環境や気分など精神的なものに左右されがちなのに対して女はどんと構え本能で生きる術を嗅ぎ分けている感じ。
・・・・女性は大地であった。厳しくも優しく包んでくれる温かさ。母なる大地と言われる所以であろうか」

と、彼は旅の本質、どんな環境にも生きる人間の本質と言うものを、しっかり見抜いているところに感服せざるをえなかった。


 
●もう一冊は、「オートバイで行こう!」〜〜BORN TO BE CHEAP〜〜
(栗原裕考 論創社)

彼は自転車世界一周男とは反対的に、ホンダスパーダ250を車の後をコバンザメのようにトロリトロリと走り、雨の日や夜は乗れないだの遠出なんか絶対出来ない!と、自転車よりも速いオートバイに乗っているにもかかわらずめちゃくちゃスケールの小さなバイクツーリングを目指していた。

私が高校を卒業してすぐの事。雑誌モーターサイクリスト96年5月号の中の読者のツーリングレポートコーナーで、「幻の東京を見た〜元旦の小さな旅〜」(当書にも掲載)と言う内容で、それを見て従来のツーレポの内容とは一線を架す新鮮ともいえる内容がやけに印象的であった。だからこの著者の名前も覚えていた
が、彼の雑誌に投稿したレポートを一冊にまとめたあたりがまた今日ビックリした。

内容としては、泉麻人のバイク版、といった感じであろう。
著者の住む東京近辺、奥多摩秩父。遠くても信州や静岡という、小さな小さな旅行記が何篇も納められている

バイクで日本中、そして世界に足を伸ばす人も多いようだが、この本で小さな旅ゆえバイクに乗り始めたあの時の新鮮さのようなものを感じ取れる事だろう。


★DOHCツインカムターボのような猛烈エンジンででっかく地の果て文明の果てまで旅し尽くした人間と、かたや冒険とは無縁の、カタツムリのように小さな小さな旅を好んだ人間。

だが、このあまりにも両極な2人に、意外な共通点があった。それは自分の臆病さと気の小ささを自ら認めている、ということだった。

前者の自転車マンは講演等で観客に「ガッシリ無骨な人間かと思ったけど」と言われていた。
臆病さを認め、純粋に個性をストレートにさらけ出したほうが説得力より勝っていたということだ


この両者、180度対照的に見えて実は根本的には共通した心を持っている。その意外さと奥深さを追求すると、やはり旅はやめられないのかも知れないな。

2003年5月著