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お医者さんの違い



 ニュージーランドに来てすぐに、あるクリニックに GP(ホームドクター)をお願いに行き、当然ですがお医者さんとお会いしました。そのときには簡単に子どもの診察もしてくれました。
 先日、娘が発熱して、なかなかおさまらないので電話をしたんですが、その先生は休暇中でした。留守番電話で別のクリニックの電話番号が案内されていたので、そちらに電話をかけ直し、その先生に予約を入れ、診ていただきました。
 2人のお医者さんに子どもを診ていただいて気がついたことがあります。それは、日本のお医者さんとは様子が全く違うということです。ニュージーランドで大きな病院に行ったことがないので、そういうところのお医者さんのことはわかりません。しかし、ニュージーランドの GP は日本でいえば、内科・小児科・外科などの開業医に当たると思うんですが、それが大きく違うんです。

 日本でお医者さんに診てもらいに行くと、診察は受付順で、当然かなり待たされます。しかし、ニュージーランドでは電話で予約をして指定された時間に行くことになるので、あまり待たされることはありません。したがって、待合室で待っている人も少ないです。
 日本でも歯医者さんなんかは時間を指定してきますが、時間どおりに見てもらえることはまずないと思います。これは1時間あたりに見る患者数の違いでしょう。ニュージーランドのお医者さんは、限られた人数しか診察しません。わたしの GP は、急患を除けば1時間に4人しか予約を取らないそうです。だからこそ、患者はまたなくてもよくなるわけです。

 この点に関連して、興味深い新聞記事を最近目にしました。ニュージーランドの医学部の学生の多くが、海外での就職を希望しているという内容でした。理由は簡単で、ニュージーランドの GP では満足のいく収入が得られないというものです。在学中の学生ローンを返せないという意見もあるそうです。
 ニュージーランドのシステムもいいことばかりではなさそうです。

 さて、受付で名乗ると、名前などを確認されて待つようにいわれます。受付はパソコンが置かれていて普通の事務室のようでした。初診だったので個人情報を入力したようでした。しばらく待つと、お医者さんが部屋から出てきて名前を呼ぶので、診察室までついていきました。このとき呼びに来るのは看護婦さんではありません。お医者さんです。というか、看護婦さんの姿はどこにもありませんでした。
 お医者さんは白衣を着ていません。普通の背広姿です。これだけでも、日本のお医者さんとはかなりイメージが違います。診察室のドアを開けて、我々が入るまでノブを持っていてくれました。患者さんはお客さんのようです。部屋に入ると椅子をすすめてくれますが、まずは握手を求められました。初対面の挨拶としては常識的ですが、日本での医者と患者の関係は、何だか違う気がします。
 部屋には大きなデスクがひとつ。その上にはパソコンがドカンと置いてあって、聴診器なんかもありました。部屋の隅にはカーテンで仕切られた診察台が見えていました。書棚もあって医学書らしきものが並んでいますが、看護婦さんはやはりいません。
 娘の具合を説明すると、さっそく診察してくれました。デスクのこちら側に来て、耳やのどを診て、まぁ風邪かな、といった感じでしたが、驚いたことに聴診器は使いませんでした。1分後にはデスクの椅子に戻っており、パソコンになにやら入力しはじめました。症状などをカルテに相当するデータベースに入力しているのでしょう。そして、薬の処方について口頭で説明しながら、さらに入力を続けます。するとプリンタから小さな紙が出てきて、それを手渡されました。それが処方箋でした。それを薬局に持っていって、薬を買うわけです。
 この間のお医者さんの様子は、まるで旅行代理店の担当者か何かのようでした。日本なら看護婦さんに言ってやらせることを、すべて自分でするかパソコンにさせているわけです。

 診察後、再度握手をして部屋を出ました。お医者さんに診てもらったという気は、まったくしませんでした。ちなみに、診察料は $22、薬代は $10 でした。



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