OSAKA 08 / AUG / 1998 *SAT*



23時半、終電で関空入り。閑散とした真夜中の空港。明々と照明がついているのは一部の団体カウンターのみ。モンゴルヘのチャーター機にチェックインする人たちがちらほら。
電光掲示板。

     
01:50 TG775  BANGKOK  DELAYED  O7:20

??!
 もう一度よ〜く見る。“DELAYED”の文字が何の申し訳もなさそうに輝いている。そして日本語表記に変わる。

     
01:50 TG775  バンコク  遅延  07:20

なんてこった!! タイ航空のカウンターはどこだ??とキョロキョロすると、一番端のカウンター横に係員の女の人数人とはり紙、そしてその前に数人の旅行客。
“TG775便御利用のお客様・・・ロサンゼルスからの到着便が遅れており機材がないため
5時間30分遅れ、午前7時20分頃出発の予定です。チェックイン開始は午前5時30分を予定しております・・・・”
はり紙を読んでいると係員が、「TG775のお客様ですか?」
ひとしきりの事情説明のあと、
「本日はこのあと、ホテル日航関西エアポートにお部屋をご用意してありますので、出発までお休みくださいませ。ホテルは2階に下りていただいて、JRの改札口前を通りすぎて通路を渡った所にあります。そちらでも係員がお待ちしております」。

とんだ旅の始まり。
5時10分前にモーニングコールをセットする。
バンコクで乗り継いでネパールのカトマンズまで行く人が係員ともめていたけど、どうなったのかなぁ。私の旅の予定は‘明日中にタイに着けばいい’という程度のものだから困ることもないけれど。飛行機って何があるかわかりませんね。





OSAKA >>> CHIANG MAI 09 / AUG *SUN*



5時、再び関空4階へ。中途半端にしか眠れなかったので余計に疲れた感。
搭乗手続。バンコクでタイ航空の国内線に乗り継ぎ、チェンマイまでのフライトを予約してあったのだが、当然予約の便には乗れなくなったので別便に振り替えてもらう。これは実にスムーズ。
ウィングシャトルで搭乗ロヘ。ゲート近くの免税店は我々の便の出発時間に合わせて早朝から営業している。

やっと飛行機に乗れる。バンコクまで4時間50分、時差−2時間のため実際に着くのは午前10時過ぎ。
しかしこのヒコーキ、ロスから遅れて到着して機内を掃除する時間がなかったのか、それとも掃除係がいないのか、床には紙くずにコップ、シートのポケットにもペットボトルや新聞が入ったままという
ゴミ散乱状態なのである(さすがに枕と毛布は交換されていたが・・・)。いくら私でも、水の入ったコップが床に置いてあるのは放っておけなくて、拾ってギャレーに持って行く。そしてこのヒコーキ、時間が時間だけに団体客は皆無。空席も目立つ。朝食はオムライスかお粥、オムライスをいただく。たった5時間でもずっと座っているのは退屈で、よくこれに20時間近く乗って欧米に通ったよなぁ、と我ながら呆れてしまう。

バンコク到着。
乗り継ぎ客は空港係員が案内してくれる。飛行機を降りたところに“CHIANG MAI,HAT YAI,NONG KHAI” “PHUKET” “SAMUI”などと書いた紙を掲げた係員が数人待機しており、目的地を言えば「オーケー、フォロー・ミー」とトランジットカウンターまで案内してくれる。トランジットカウンターでゲート番号を教えられ、2時間を搭乗口前で過ごす。睡眠不足の頭でぼーっと座っていると、ほんの10分の間に空港の係員が入れ代わりたちかわり3、4人「どこへ行くの?」と聞いてきて「チェンマイ」と答えると「ここであっている」とだけ言ってまたどこかへ行ってしまう。この国に着いてまだ間もないが、空港内で働く人間を観察している限り、イタリア人(一部を除く)のように、できるだけラクして生きようと思っている?奴らとは全く違う人種のよう。

チェンマイヘの国内線に乗ったとたん気分悪くなる。たった1時間のフライトだが、もうこれ以上ヒコーキに乗るのは無理、という
限界にきていた。配られたお弁当にも手がつけられない。

チェンマイ空港で晴れて入国。書きかえたばかりの真っ白なパスポートにスタンプが押される。荷物を受け取ったらタイパーツに両替し、タクシーカウンターでホテル名を告げ、市内までのタクシーをお願いする。市内までは一律90B(320円、1B=3.6円)。エアポートタクシーは白いボロいトヨタカローラ(でもタイという国の中ではかなり上等な乗り物だったと後で感じました)。
タクシーに乗ると運転手のおやじ(池野めだか似???なので以後‘池やん’)は、
「チェンインホテル(私が泊まるところ)はバザールのすぐそばでそりゃぁ綺麗でいいホテルだよ。」(池やんはまあまあの英語を話す)
と市内へ出発。しばらく走ってから池やんはこのあと市内観光しないかと言い出した。シートのポケットに彼自らが手作りしたらしい写真入りの‘観光名所ガイド’のような分厚いアルバムが入っていたので見せてもらう。赤信号で停まった隙に、
「ここと、ここと、ここを廻ったらいくら?」
と、郊外のお寺を3ヶ所あげてみた。池やんはう〜んとうなって800B(2800円)と言う。着いたばかりでこの国の物価も、その寺までどのくらいの距離でどのくらい時間がかかるのかもさっぱりわからないが、きっと日本人とみてふっかけてきてるに違いないと疑い、図々しく、
「400Bにしてよ」(いきなり半額!)
と言ってみる。池やんは
「だめだ、だめだ、ワット・ドイ・ステープに行くだけで600Bなんだから」
と首を振るが、ダメと言われると余計に「言い値通りなんて払うもんか!」という気になってきて、
「そりゃ高いゼ、
ディスカウントしろー!
と粘ってみた。結局ホテルヘの送迎と郊外のお寺3ヶ所回って全部で600B(2100円)ということで合意、まぁ交渉はしてみるもんですね。

ホテルは日本から予約して1泊3900円という安さだが(一部屋の値段なので2人で泊まるともっとオトク!)、広いツインルームで朝食付きで大満足。少し部屋で休みたいところだが、池やんが待っているからそういうわけにいかない。彼はそこらの人とだべっていたが、私の姿を見るとすぐ走ってきて車を出してくれた。

池やんは、チェンマイは初めてか、タイは初めてか、チェンマイにはどのくらいいるのか、日本のどこから来たのか、日本は暑いか、雨期はあるのか、このあとタイのどこへ行くのか、スコータイヘはどうやって行くのか、何の仕事をしているのか・・・とひと通り思いつく質問をしきったら、今度は、チェンインホテルはいいよ、バザールのすぐ近くだ、バザールは夕方4時頃から真夜中までにぎやかにやってる、今は雨期でだいたい毎日夕方頃降る、今度来る時はホテルの予約なんざ必要ないさ、500Bでも綺麗でそりゃあいいホテルがあるよ、スコータイヘはバスより飛行機で行くのがいい、飛行機ならすぐだけどバスだと6時間くらいかかる、あれが高速道路でバンコクまでずっとつながっている、この車でも10時間はかかるなぁ、ワット・ドイ・ステープはあの山の上にあるんだ、市内から16kmあるよ、山道だから片道40分はかかるぞ、すごいアップダウンの激しい山道なんだ・・・とまあこんな具合に
べらべらとよく喋る。その間も車はチェンマイの町中を抜けて走っていくのだが、その町中の雑多なこと!!
軽トラの荷台を改造して屋根と長椅子をつけたボッロ〜い赤い乗り合いバス(ソンテウ)にエンジンつき三輪車(トゥクトゥク)、そして普通の薄汚れた乗用車(日本車がほとんど)に大型トラック、その間を縫うようにノーヘルの2人乗りバイクがぶっとばすといった具合で、左側通行ってのは日本と同じだが、速さも大きさも違ういろんな乗り物たちが何の秩序もなく道路に溢れて砂ぼこりを巻き上げている。初めてイタリアに行った時、石畳の狭い道路をちっちゃくて傷だらけのフィアットなんかがそれこそ車間距離5mでブーブークラクション鳴らしながら、すごいスピードでガンガン走っていくのを見て唖然としてしまったが、それに負けない面白さである。
そうこうしているうちに車は山の中に入っていき、池やんが言ってた通り、すんごいカーブにアップダウンの激しい道路を延々上っていく。ヒコーキで80%まで達していた酔いのレベルが戻ってくる!! 
うわぁ気持ち悪くなってきた、車ん中で吐いちゃったらえらいことだわ、なんて考えていたが、なんとか100%に手が届く前に到着、やれやれ。池やんは、
「あそこの駐車場で待ってるよ、車のナンバーは1番さ」。
車を降りてナンバープレートを見て初めて気づいたが、本当に1番であった。小雨が降ってきたので折り畳み傘を貸してくれる。

ワット・ドイ・ステープ。ワット=寺、ドイ=山、ステープは山の名前、つまリ “ステープ山寺” の意。

本堂へ行く階段の下で車を降り
あとは自分の足で階段を上って本堂へ行く

香川県の“こんぴらさん”のような
すさまじい階段ではないが
にわか乗り物酔いの身には結溝キツイ
欧米人観光客もゼーゼーいいながら上っている

でも、お寺の門構えも、龍だか蛇だかわからないがそういうたぐいの装飾も、過去に見たことのない種類のもので、
タイなんだ!と実感し嬉しくなってくる。

ワット本堂内は日本と同じで土足厳禁、靴を脱いで入る
短パンやミニスカート(膝上)の人は
サロンを借りなければならない
これはどんな小さいワットでも同じ
しかしここは屋根のない石の回廊で囲まれていて
雨のせいで廊下は水浸し
濡れている石の上を裸足で歩くっつうのは滑りそうで怖いし
ペたぺた音がしてあんまり気持ちいいもんじゃない
が、ワットじたいは眩しいほど
キンキラ
(本当に黄金なのかメッキなのかは謎)
しかし全然下品ではなく
お寺というだけあって静かでなかなか雰囲気もよい

30分ほど見学して再び階段を下り駐車場へ行くと、池やんはすぐ気がつき手を挙げて合図してくれた。
最悪だった気分もやや回復。ワット・スアンドーク、ワット・チェット・ヨートと2つのお寺を見てホテルヘ帰る。今日見た3つのワットはそれぞれに雰囲気も建物も古さも、全く違っていて面白かった。初日にしては満足。タクシー代はディスカウントさせたが、一応池やんには少しばかりチップをあげておいた。

少し休んで、今度は歩いて町の散策に出かける。歩いてみて、地図で見るより実際の町が広いのに戸惑う。少し歩くだけでトゥクトゥクの兄ちゃんやおやじが何人も、プップッ、乗らないかい?って感じでクラクションを鳴らし声をかけてくる。歩いてワット・チェンマンに行こうとするが、町の至る所にワットがあり、しかも入口にはタイ語表記しかないからさっぱりわからなず、諦めてホテルに戻る。途中、本屋で絵ハガキを買う。
「切手もいるの?」
「うん」
どうやらハガキは1枚5B(18円)、日本へのエアメイルは1通12B(43円)らしい。
町を歩いていると実にいろんなものが目に飛び込んでくるし、いろんなニオイが漂ってくる。仏像屋、金物屋(この2つはガラクタ屋にしか見えない)、本屋、果物屋、干物屋(道端で七輪で魚の干物を焼いている)、食堂に屋台。たまにこぎれいな建物があるかと思えば銀行かスーパー。ゲストハウスという安宿の1階はだいたい食堂になっていて、暇そうな欧米人バックパッカーや日本人ビンボー族行者(さすがアジアだけあって日本人の方が周りに溶け込んでいる)が、何を食べるともなく何をするともなく、ただ居座ってぼーっと外を見てたりする。
物価をチェックすべくam・pmに潜入。500mlミネラルウォーター8B(30円)、コーラ1缶10B(36円)、カップヌードル12B(43円)といったところ。シャンプーや歯ブラシは輸入物なのでタイの物価からするとかなり高く、日本と変わらないか少し安い程度。このコンビニで大音量で安室奈美恵の‘太陽のseason’がかかっており、最初は何も意識しなかったが、気がついてしまうと気になり始めた。それから2日ほどの間、音楽といえばこの‘太陽のseason’が頭の中をぐるぐるまわって仕方なかった。

ホテルの目の前にちょっとしたショッピングセンターがあり、ダンキンドーナツやケンタッキーも入っている。パンやケーキも置いているこぎれいなタイ料理レストランで夕食、メニューはタイ語の下に英語表記もあるから大丈夫。

◆ DINNER ◆
チキン、野菜、ベーコン入り炒飯    70B(250円)


美味しい上に(辛くない)安い! アメリカなんぞは(ごく一部のレストランを除いて)質より量って感じだが、この国は量より質?のようでありがたい。タイでは栄養失調にならずにすみそう。店の人の感じもとてもいい。

夕方になると池やんも言ってたように、ホテルの前のバザールは本格営業に入り、露店・屋台が軒をつらねる。仏像屋からはじまって(さすが敬謙な仏教国)、Tシャツ屋、ジーンズ屋、下着屋、シルク屋、布屋、時計屋、薬屋、帽子屋、サングラス屋に
何これ?というガラクタ屋まで、屋台も麺屋、ご飯もの屋、スープ屋、やきとり屋、そして何作ってんの??と顔をしかめてしまうほど強烈なニオイをふりまいている店(本気でクサイのよこれが!! 通りかかっただけでうぇ〜〜っと吐き気を催すことその後数回。これはもう犯罪に近い)と本当にいろいろ。

ホテルには欧米人団体客が多い。でもってホテルの2つあるエレベーターのうちの1つが壊れている。この壊れ方がくせもので、他の階では全く異常ないのに、1階に下りた時だけドアが開かない! 知らずに乗った私は1階でドアが開かないので少し焦ってしまったのでありました(さっそく次の日修理屋がやってきて直していた)。
ホテルの部屋からは今日行ったワット・ドイ・ステープのあるステープ山がよく見える。

                                                  Continue...


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