ホテルでビュッフェの朝食。パンはトースト、クロワッサン、フランスパンなど。フレンチトースト、べーコン、ウインナー、目玉焼きとアメリカンブレックファストの定番ももちろんあるが、お粥や焼きビーフン、ベジタリアンミールみたいなものまであって、少しタイの香りを感じる。デザートもパパイヤ、すいか、パイナップルなど充実。でもひとつ言うとオレンジジュースもグレープフルーツジュースも薄い上に砂糖の入れすぎで不味かった。
昨日行きそびれたワット・チェンマン。ホテル前で客を待ち構えていたトゥクトゥクのじいさんがすかさず声をかけてくる。
“Where are you going?”
「ワット・チェンマン、ハウマッチ・イズイッ?」
「50バーツ」
「20バーツ、プリーズ」
「40バーツ」
「ノー、20バーツ!」
少しばかり交渉してみるが何だか面倒になり、結局あきらめて歩き出す。うしろの方で力なく「30バーツ、オーケー」とつぶやく声が聞こえたが、もういいやとそのまま大通りまで歩いてしまう。大通りで、今度はソンテウをつかまえて聞いてみる。
「ワット・チェンマンまでいくら?」
「10バーツさ」
安いっ! 喜んで荷台に乗る。ほんの数十円のことだが、妥協せずいろいろ当たってみるもの、たった10B(36円)で行けるんだから。ソンテウは乗り合いバス。同じ方向へ行く人がいたらどんどん乗ってくる。逆に違う方向なら乗せてくれない。つまり、捕まえたら運転手に行き先を言い了解を得なければならない。ギイギイガタガタ音はすごいし乗り心地は悪いが(座ってても天井のポールに捕まってないと頭を打ちそう)面白い!!
ワット・チェンマンは
昨日のワット・ドイ・ステープと比べてしまうとかなり地味
ここでも本堂内は土足厳禁で
ブッダの前では座らなければならない
本堂内をうろうろ歩き回るのは禁物
写真は撮ってもいいけれど、これも座って |
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本堂の前にもトゥクトゥクのおじさんが待ち構えていて「ハロー、ニホンジン、コニチハ」と怪しい日本語を吐き出しながら歩いてくる。うっ、きたきた、怪しい客引きオヤジ・・・と思うが、彼が開いて見せたメモ帳には日本人による、日本人旅行者のための情報が。
‘300バーツでいろいろまわってくれました’
‘最初はあやしい人かと思いましたが大丈夫です’
‘親切でいいガイドさんです’
日本人以外、英語でのお礼の言葉もたくさんあったから悪い人ではないらしい。
「でも残念だけど私、スコータイヘ行くのよ」
「いつ?」
「今から、スーン」
「オー、ユー・ゴー・トゥー・スコータイ?」
「イエス、じゃね!」
「バイバイ、気をつけて」
再び10Bのリンテウでホテルヘ戻る。このソンテウが楽しいったらありゃしない!!
ホテルをチェックアウトして出ると、また当然のようにトゥクトゥクのおやじによる客引き。
“Where do you want to go?”
「バスターミナル、スコータイへ行く」
「オー、アイ・ノウ・バスターミナル」
「いくら?」
「50バーツ」
「ディスカウントしろ〜!」
「バスターミナル・イズ・ベリィ・ファー、エヴリタイム・50バーツ」
おじさんの物腰はとてもやわらかで温和そうな人、バスターミナルが少し遠いというのも知ってたから50B(180円)で手を打つ。こうしてソンテウに続きトゥクトゥク初乗車。ソンテウと違い、進行方向に雨風をさえぎるものがないため、排気ガスやら砂ぼこりをまともに浴びる。乗り心地はといえば遊園地のゴーカート。幅1mほどしかないので狭い路地にもスイスイ入っていけるが、最高時速は40kmほどで、30分も乗ってれば痔になりそうな代物。しかしそういうとこが何とも可愛らしくて、これまた楽しくてたまらん!! おじさんはやっぱり穏やかで、降りると両手を胸の前で合わせて(この合掌を‘ワイ’といいます。感謝の意を表す)、
「ありがとう、気をつけて、バイバイ」
とにこやかに見送ってくれた。
さて、バスターミナル。長距離バスの切符窓口がいっぱいあるが、バンコク行き以外はタイ語でしか書いてないので全くわからない。インフォメーションで聞く。
「スコータイヘはどの窓口?」
暇そうなおばちやんが教えてくれる。
“Police booth,Outside,You can see police booth?”
建物の外の交番の隣の窓口よ、と言っているのだが‘ポリス・ブース’の語尾が聞こえない。何度聞いても‘ポリ・ブー’としか聞こえず、
「アウトサイドってのはわかるんだけど‘ポリ・ブー’って何よ?」
と5回くらいしつこく聞きなおしてやっと理解。そして交番の所へ行くと「スコー夕イ?」とおじさんが寄ってきて「ここ、ここ」と窓口に吊り下げている次の便の出発時間を指さして教えてくれた。10:15。
「バスにエアコン付いてるよねえ?」
念のため聞いておく。
「イエース」
スコータイまで153B(550円)。出発まで1時間近くあるが、冷房の入った待合室などないから日陰のベンチで待つ。売店でミネラルウォーターを調達。待っている間、オランダ人バックパッカー2人組(彼らは流暢な英語を話すのだが、お互いが会話している言葉は英・仏・独・伊・西のどれでもなかったので勝手にオランダ人ということにしておく。ノルウェーやスウェーデン等の北欧の方の言語のようにも聞こえたが・・・)が、バスの車掌にガイドブックを広げて、「ここへ行くバスはあるか?」と聞いている。ところが、
「このバスはそこへは行かない。」
と言われるばかりで話が噛み合っていない。
「他のバスでここへ行くのはあるか?」
彼らは「アナザー・バス、アナザー!?」と‘アナザー’を懸命に強調して頑張っているが、車掌の方はアナザーの意味がわからないらしく、ウ〜ンと腕組みして考えている。でもしばらくしてわかった様子で、
「オー、ノーバス。ここまで行くバスはあるけど、そこから先は車で行かないとダメね、車で1時間」。
オランダ人がいったいどこに行きたかったのかは不明だが、その答えであきらめたらしく、私と同じスコータイヘ行くバスに乗ってきた。
バスはボロく(一応ボルボ)席は通路を挟んで2列と3列の横5席(新幹線タイプ)だが、そのぶん通路がまっすぐ前を向いて歩けないほどに狭い。エアコンがついているのはありがたいが最強パワーにされていて、吹き出しロからゴーゴーと容赦なく冷気が吹きつけてくる。最初はいいが20分も乗っているともう寒い。で、走りだしたら道路の舗装が悪いのかバスのクッションが悪いのか、えっら〜く上下に揺れて車体はガタガタ、シートはギイギイキュウキュウとまるで小動物を絞め殺しているような音がする。おいおいこれに5、6時間も乗って酔わないかなぁ・・・と心配になってくる。とても本など読めるような状況ではナイ。バスは後ろの方は外国人旅行者、前の方は地元の人、と自然に‘住み分け’がなされている。
長距離バスとはいえ地元の人にとっては道端がバス停で、何もないところでバスを停めて乗り込んでくるし、降りていく。でもバスは全速力(と思われる)でのろいトレーラーなんかをぐんぐん追越しながら田舎の1本道を走り抜ける。
3時間ほど走ってドライブインのような所に停車。トイレ休憩らしい。車掌はアナウンスで「○分後に出るよ」と言ったんだろうが、タイ語だからわからない。みんなさっさと降り、屋台のような食堂でなんやかや食べ始めたから20分くらいは停まるのだろう。ちょうどお昼時でお腹が空いていたが、皆が食べているものを見てもあまりおいしそうに見えずトイレだけ行っておく。公衆便所、初めて入るタイ式トイレ。タイ式トイレというのは・・・一応水洗だが、横についてる水道の水を汲んでバケツで流す手動式水洗。便器の形は日本の和式トイレと同じだが座り方は前後逆。ついでにトイレットペーパーなんてものはなく(流すとつまるので持参の紙を使用したらくずかごに捨てる。これがちょっとおぞましい・・・)、タイの人は水道の水で‘手動ウォシュレット’をするらしい。そうそう、日本から持参したトイレットペーパー、トイレ以外にも結構重宝しました。
バスに戻ると後ろや横に座っているタイ人のおばさん、兄ちゃんが話し掛けてきたが(最初にバスに乗った時から私と話をしたそうな様子だった)、当然何言ってんだかさっぱりわからない。
「ソーリー、アイ・キャナット・スピーク・タイ」
と言ってはみるものの、彼らは逆にこの英語すらわからない(きっと英語ということすらわかってない)のでもうどうしようもない。
それから3時間、時々バスターミナルらしき所に寄りながら(タイ語でしか書いてないから何という町のバスターミナルかも不明)、結局6時間後の夕方4時頃、やっとこさスコータイの町に着いた。本当にやっと着いたか・・・って感じ。破格に安いが乗り心地悪く、冷房のききすぎでやたら寒いバスであった。こんなバスに7時間以上も揺られてバンコクヘ行くのはいくら私でももうこりごり、明日ピサヌロークに着いたらすぐバンコクヘの国内線航空券を買う決心をする。
スコータイの町にはバスターミナルはなく、市場の前の道路脇が長距離バスの発着所になっている。バスを降りたとたん、お決まりのように待機していたトゥクトゥクの運転手達が「どこ行くの? オールド・シティー?」とうるさい。
バス停すぐ隣の‘River View Hotel’に宿をとる。
「シングル・ルームある?」
「あるわ、シャワー付き?」
「シャワーとエアコン付き」
「380B(1400円)よ。ところで明日、タクシーでオールド・シティー(スコータイ遺跡のこと)観光はどう? もちろんホテルからの送迎つきよ。2時間コースや4時間コースがあるわ」
「2時間でいくら?」
「300B(1100円)」
「じゃ、お願い」
「朝8時? 9時?」
「9時に」
というわけでホテル代とタクシー観光代合わせて680Bを払う。安いホテルなのにポーターがいて部屋まで案内してくれ、
「エアコンはここで温度調節してね、テレビのスイッチはここで・・・」
と設備の説明のあと、
「君の名前はなんて言うの? 僕は△△って言うんだ、よろしくね」
と握手まで求められる。びっくりするほどフレンドリー。部屋はタイルの床に大きなベッド、TV、ドレッサー、ロッカー、長椅子、質素だがこぎれいで悪くない。‘River View Hotel’という通り、川に面していて広いテラスからの眺めはよいが、川以外に眺めるものはありません。
スコータイは徒歩でも30分あれば回りきってしまうほど小さい町、チェンマイと比べてもずっと田舎。『地球の歩き方』にも『るるぶ』にも載っているほど有名な?‘Dream Cafe 2’というレストランで夕食。その途中にもトゥクトゥクおじさんらに「どこ行くの? 乗ってかないか」とついて来られる。
「この辺をぶらぶら歩いてるだけよ」
「オー、ショッピングかい、グッド」
・・・・この町にショッピングという言葉はあまりに似合わなさすぎて笑ってしまう。
町のこぎたなさと暑苦しさと喧騒からは想像もつかないほど‘Dream Cafe’の中は静かで涼しく、店内にはアンティーク物がズラリ、全くの別世界でびっくりする。温厚そうで感じのよい兄ちゃんが席へ案内し、メニューを持ってきてくれる。チェンマイでもそうだったが、タイのレストランで驚くのはメニューの豊富さ、これはハンパじゃない。サンドイッチ、パスタ、サラダから御飯もの(炒飯が多い)、麺類にスープ、野菜や肉などの炒め物、肉料理、魚料理等メイン、デザートはもちろん飲み物もビール、ウイスキー、ワイン、カクテルからソフトドリンクにいたるまでバラエティに富んでるし種類も相当なもの。日本のファミレスも真っ青というすごさなのだ。コース風にたのんでもよし、1品だけでもよし、アルコールだけでもよし、好きな時に好きなだけ食べる、これがタイ風。
| ◆ DINNER ◆ |
蟹肉入り炒飯 ★★★ オニオンスープ ★
150B(540円)
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オニオンスープはひとロ飲んで「ウエ〜、湯にバター溶かしただけじゃん・・・」と思うが、一緒に塩と胡淑を持ってきたからあとは自分で味付けしろ、ということらしい。で、適当にパッパッと塩・胡淑すると美味しいオニオンスープに変身。カニ肉入り炒飯も、どこにカニが入っているのかわからなかったが味はとてもよかった。
スコータイの町にはチェンマイと同じく乗用車に混じってトゥクトゥクやソンテウがたくさん走っているが、チェンマイでは見かけなかった人力三輪車タクシー(サムローといいます)が結溝多い。自転車の後ろにリアカー風の荷台をつけただけで、歩くより少し速い程度。こいでいるのはガリガリに痩せてて今にもひからびそうなじいさんばかりなので、乗るのもちょっと気が引けてしまう。家畜の運搬、豚や山羊をトラックの荷台に乗っけて運んでいく様子もよく見かける。たまにその荷台に一緒に人間も乗っている。
夕方、スコールがあった。
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