タイの銀行の営業時間は朝8時半から夕方3時半まで。日本と同じで土日祝は休みなので、両替所のあまりない田舎を旅行する時は要注意。タイでは明日8月12日は王妃誕生日で祝日。8時半になると同時にタイ農民銀行へ両替に行くと、偽札対策かパスポートのコピーをとられる。
ホテルに戻ると、ロビーで待っていた20代前半と思われる女の子が、
「あなた、9時にオールド・シティー観光を予約した人ね? 行きましょう」。
案内されて車の所へ行くと、隣のホテル1Fの食堂からおばさんが慌てて出てくる。どうやら女の子がガイド、おばさんはドライバーらしい。
車はすぐスコータイ遺跡へ出発。町から遺跡までは10km強。世界遺産の遺跡周辺には宿泊施設がなく、観光客は新市街に泊まらざるをえない。そして遺跡へ行く道中、例によって延々質問攻めに・・・・タイは初めてか、日本のどこから来たか、日本では何してるか、学生か、タイで他に行った所は、スコータイには何日いるのか、このあとどこへ行くか、いつ日本に帰るか、1人で旅行してるのか、どうして1人なのか、タイ語はわかるかetc・・・・どうして1人って聞かれてもねぇ。彼女達は2人とも懸命に英単語を拾って話しているという感じなので、聞いてる方も結構疲れる。池やんの時もそうだったが、例えば‘Dentist’という単語も解してもらえないので説明しなくちゃいけない。でも彼女達の、一生懸命いろんなことを話そう、コミュニケーションを取ろうとする姿勢は頼もしい。私なんぞは日本語で人と話をするのもそれほど得意ではないし、まして英語となるとなおさらで、これで語学が上達するわけがないと自分でも納得しているが、彼女達には辞書を引きながらでも話をしよう、相手とわかり合おうとする前向きなところがあって偉い(実際、車の中には電話帳みたく分厚い辞書が置いてありました)。
そうこうしているうちに車は舗装された道路をそれて脇道(ほとんど田んぼの畦道)に入り、遺跡の前で停まる。
「城壁外の遺跡からまわったのでいい?」
スコータイ遺跡公園は東西・南北2kmほどの城壁によって囲まれた城壁内と、その周辺4km四方ほどにワットの点在する城壁外に分けられる。城壁内と外5ヶ所にそれぞれ料金所がある。
「あそこで30B(110円)のチケットを買わなきゃいけないわ。」
言われた通りチケットを買う。
「ここはワット・リラサックよ」。
チェディと呼ばれる尖った仏塔がひとつあるだけ。が、その仏塔は象の彫刻がほどこされた台座に囲まれていて、やはりこれまでに見たことのない類のもの。ガイドの女の子はリン、なんと18歳。運転手のおばさんはヴァサナ、40歳。2人とも小柄でチャーミング。
次に訪れたワット・プラ・バーイ・ルアンは
プラーンというクメール式の塔堂があって
アンコールワットの流れを感じる
しかし遺跡の倒壊が激しく
修復中で足場が組まれていて
カンカンコツコツと作業の音が聞こえる |
 |
|
城壁外のワットは公園の中心から離れていてひとけがなく、閑散としている。ガイドブックにも“日中でも人の行き来が少ない、強盗のたぐいが出たらひとたまりもないので昼間でも複数で行くのがよい”とある。やや物騒。
 |
3番目に訪れたワット・シー・チュムには
30mもの巨大な仏像があり
バスも乗りつけてて団体客もいました
真っ白で大きくて綺麗なブッダ
いい表情してます
セピアの使い捨てカメラで撮影
できた写真はこの1枚以外は
あまりにお粗末で、笑ってしまうほど
いまいちなものばかりでした・・・ |
|
ワットの駐車場横の小さな土産物屋でヴァサナは「母にプレゼントするの」と言いながら手編みのセーターを買っていた。
 |
スコータイは今から約600年前の王朝
遺跡は数百年間放置されてて
単なるジャングルだったらしいが
ここ数十年の間に発掘され修復されて
緑いっぱいの美しい公園に
生まれ変わったそう |
|
そして車は城壁内に入る。と、とたんに交通量も観光客も激増。ワット・トラパン・トーンの前では、昨日チェンマイから同じバスでやってきたあのオランダ人バックパッカー2人組を見かける。彼らはレンタサイクルで回っている。欧米人はバスでやってくる年配の団体客か、レンタサイクルやレンタバイクでちまちま回る若い個人旅行者にはっきり別れている。一方、日本人の団体はほとんど見かけないが、たまに見かける日本人は私のようにタクシーやバンをチャーターしてガイドと一緒に少人数で回っている。実は私も遺跡公園までソンテウで来て、公園内はレンタサイクルで回ろうと思っていたのだが、実際の遺跡が予想以上に広大だったのでタクシーにして正解でした。
ワット前の市場でリンが葉っぱに包んだ蒸しものを買い、分けてくれる。楊枝を抜いて葉っぱを広げると白いプルンとした餅状のものが出現。
「これは何?」
「うーん、説明できないわ、ココナッツとお米と・・・」
お菓子みたい。とにかく食べてみる。さほど甘くなく、歯ごたえはお餅、味は杏仁豆腐?? 私にも上手く説明できません。まずくもおいしくもないが、ムシャムシャ食べていると「これもあげるわ」と袋ごと渡されてしまう。「こんなにたくさん、いいよ」と遠慮してみると
「マイ・ペン・ライ」
出た! これ、タイ語で‘気にするな’の意味で、タイ人の国民性を語る時に必ず登場する有名な言葉なんです。多様性のある言葉で「いいよ、なんでもないさ」という他にもいろいろ意味があるらしいが、マイ・ペン・ライと言われると自然と「あらそう?」という気持ちになるから不思議。タイ人気質に触れられてちょっと嬉しい。
城壁内の遺跡を6、7ヶ所見学、結局3時間ほどを費やした。
「新市街へ帰るけど、他に寄りたい所はない?」
「郵便局、この辺にある? ハガキを出したいの」
「シュアー」
町へ戻る途中、郵便局に寄ってくれる。リンは「明日バンコクヘ行くの? 私はバンコクの出身なの、一緒に帰りたいわ・・・」と羨ましそうな顔をする。
帰りの車内で話したこと。
・今度はチェンマイのさらに北にあるチェンライという町へ行くべし(綺麗でいいらしい)
・バンコクは渋滞がひどすぎる
・今は涼しいがこの辺りは3月頃には43℃にもなる
・この車(ホンダシビック)はタイではとても高い(そうだろうなぁ)・・・・等々。
新市街に戻り、
「あれがピサヌロークヘ行くバスよ、1時間毎に出てるわ」。
ホテル前で2人と別れる。たった300Bでいろいろよくしてくれて感謝。
2人と別れると急激に空腹を感じ、ピサヌロークヘ行く前に昼食、とそのまま歩いてレストラン探し。歩道を歩いているとプップッとクラクションの音がして私の名を呼ぶ声が聞こえてくる。辺りを見回すと、反対斜線にさっきのヴァサナ。助手席にリンの姿はない。
「どこ行くの?!」
「レストラン!!」
辺りの喧騒に負けじと大声でそうやりとりすると、ヴァサナは路肩に車を寄せる。
「オーケー、ゲット・オン!」
助手席のドアを開けてくれる。
「何が食べたい? ライス? ヌードル? それともスープ?」
「ライス!」
ヴァサナは少し車を走らせて、交差点の角にある食堂を指さした。
「あそこでいい?」
しかし辺りは路上駐車いっぱいで停める所がない。彼女は「あの店、すごく美味しいんだけど・・・」と言いながらもう別の店を探している。結局似たような食堂の前で車は停まった。
「チキンがいい? ポーク?」
「チキン」
ヴァサナは何やらタイ語で料理を注文し、「私がご馳走するわ」とニコニコしながら席についた。やがて出てきたのはチキンののった炒飯とコンソメスープ。彼女が注文したのはスープで、肉団子と香草が入っている。チャーハンもスープも確かに美味しい。考えてみれば今のところ食事でハズレはない。しかし、つい癖でスープを飲む時、食器に口をつけようとしてしまい、「おっとイケナイ、タイでは食器を持ち上げるのも直接口をつけてすするのもタブーだった・・・」とスプーンですくって飲む。タイでは例えラーメンでもどんぶりを持ってはダメなんです。
食事をしながらも、
「タイは物価が安いでしょう? あなたが日本で2ヶ月働いたお金でタイではそうねえ、ホテルに泊まりながらでも半年は暮らせるわね。」
といった話から、
「私も歯が悪いから治してもらいたいわ、タイでは歯の治療にはお金がかかるのよ。」
なんてこと、そして名古屋に住んでいるという彼女の日本人の友達のことまで、実にいろんな話をした。そして彼女はしばらく何か考えていたかと思うと、
「これからあなたをピサヌロークまで乗せていくわ。」
何?! ご飯までおごってくれた上にどうしてそこまで??と頭が混乱しそうになるが、
「ピサヌロークに、娘がお世話になってるおばさんがいるの。娘は彼女のことをもうひとりの母親だと思ってるのよ。今日、娘をそのおばさんの所へ送っていかないといけないの。夕方行こうと思ってたんだけど、あなたが今からピサヌロークに行くのなら一緒に行けばいいわ。」
ということらしい。私は炒飯を平らげ、
「お腹いっぱい、おいしかった、コープ・クーン・カッ」(ありがとう)。
というわけで娘を迎えに彼女の家へ。学校らしきコンクリートの建物のすぐ裏手にある木造の一軒家。ちょっと待ってて、と言って彼女は娘を呼びに家に入つていき、しばらくして中学生くらいと思われる娘が出てくる。
「私の2番目の娘よ。」
ヴァサナが紹介すると、彼女はワイのポーズをとる(両手を胸の前で合わせて頭を下げ、合掌する)。ワイをされると私もワイで返すのだが、慣れないのでどうもこう、拝まれているという感じがしてしまって妙な感じがする。
娘を乗せたら預けたままの荷物を受け取るべくいったんホテルへ。そしてピサヌロークヘ出発。
ヴァサナは「タイの音楽は好き?」とタイのヒットソングをかけて鼻歌を歌い、娘とタイ語で話をし、私と英語で話をする。遅い車をガンガン追い越し、結構スピードを出す。この車から見る限り、道路の舗装状況はそんなに悪くないので、あの長距離バスがあんなに揺れたのはバスの方に問題があったんだと思う。120kmくらいでぶっとばし、1時間程でピサヌロークの町に到着。
ピサヌロークのワット・ヤイというお寺には、タイで最も美しいと言われる仏像がある。ヴァサナは私が何も言わないのにこのお寺に寄ってくれる。
「ワットの中は娘が案内するから一緒に行ってらっしゃい」。
靴を脱いで本堂に入る。
ここの本堂のブッダも
例によって金ピカ |
 |
|
娘さんにタイ式お参りの仕方を習う。正座して合掌し、両手を床について額を床につけることを3回繰り返す。お参りが終わったら、正座したまま木の筒を持ち(おみくじで、中に木の棒がたくさん入ってます)、棒が1本落ちるまで両手でざっくざっくとゆする。棒が落ちたらその番号を窓口で告げ、おみくじをもらう(無料で誰でもやっていいけど、タイ語でしか書いてないので我々には解読不能)。引いたおみくじをヴァサナに訳してもらうと、中吉ってところのよう。
車に戻るとまた何も言わないのに安くてよさそうなホテルへ連れていってくれる。ホテルの看板はタイ語でしか書いていないので、その名前すらわからないが(あとで入口の上に小さく英語で‘Chang Puak Hotel’と書いてあるのを発見)、一緒に車を降りて部屋の交渉をしてくれる。もう少し安くならないかと交渉してくれているようだが、受け付けの姉ちゃんは首を横に振る。
「1泊350B(1300円)だって言うんだけど、いい?」
「いいよ、全然問題ない。」
「じゃ、私は娘を降ろしてスコータイに帰るわね。」
ここまでいろいろ親切にしてくれて、別れる時にはじゃあね、とさっさと行ってしまおうとするのでまたちょっとびっくりする。突然現われたよそ者に見返りを期待することなくこのように親切にしてくれるというのはなんということでしょう!
「今度スコータイにはいつ来るの? また逢いたいわ。」
彼女はそう言い残して帰って行った(帰国後、食事の際に書いてもらった住所に、一緒に撮った写真とお礼の手紙を添えて送りました)。
そしてホテル。部屋は広くて清潔なのはいいが、またもエアコンがききすぎていて、しかも温度調節・パワー調節ができないらしく、もうまるで冷蔵庫の中。
明日のバンコクヘの航空券を買うべくタイ航空のオフィスまで歩いて行く。ピサヌロークの町はスコータイよりは少し大きく、こちらの方が活気もある。タイ航空のオフィスはすぐわかったが、絶対この通りにある!と確信して行かなければ見逃してしまうほど小さなオフィス。発券用のコンピューターは2台、職員も3人しかいない。ピサヌローク⇔バンコク間は1日4往復あるが、朝8:20発を逃すと次は14:50発と、午前中は1本のみであとは夕方に偏っている。
「明日のバンコク行きのチケットを1枚ください。」
「何時の便?」
「8時20分」
「じゃ、ここに名前を書いて。」
紙切れに名前を書く。
「ファーストネイム・イズ・オカダ?」
「ノー、オカダ・イズ・マイ・ラストネイム」
「オーライ、950B(3400円)だよ、泊まってるホテルは?」
「チャーン・プアーク・ホテル」
「チェックインは7時30分からね」。
パスポート提示の必要もなく、これだけのやりとりで国内線チケットをゲット。タイ国内線には割引がないので、旅行代理店で買おうがこのように直接タイ航空の支店で買おうが値段は一律。バスに負けず飛行機もこの安さ、日本とケタが違いますね。それに何より、寒くて乗り心地悪い長距離バスに辛抱しなくていいのが嬉しい。
タイ航空の数軒隣のピサヌローク観光局を覗いてみる。
「シティー・マップをもらえますか?」
姉さんが出してきたのはなんと日本語訳つきのイラスト入り市街地図。それにタイ政府観光局が出しているピサヌロークとスコータイの小冊子(これも日本語)。わかりやすく、とてもよくできている。
「これ、もらっていいの?」
「オフコース、何か質問ありますか?」
「空港へはどうやって行くの?」
すると彼女は地図に印をしながら、
「今あなたがいる場所はここよ、シティー・バス・ターミナルというのがここにあるわ、ここから4番のバスに乗ったら空港が終点よ、運賃は4B(15円)。」
「時間はどのくらいかかる?」
「そうねえ・・・20分くらいかしら。」
「どうもありがとう。」
「あ、ここに名前を書いて。」
帰り際に分厚い表紙の帳面をドン、と広げる。訪れた旅行者が日付、名前、国籍などを書いていくもの。私の前に続けて5人もの日本人がやって来ている。みんな今日の日付。
ピサヌロークも夕方になると露店や屋台が営業開始し、ナイト・バザールが出現する。バザールは6時頃から活気を帯びてくる。ピサヌロークのバザールには‘空飛ぶ野菜炒め’という名物屋台がある。料理じたいは何の変哲もない野菜炒めだが、フライパンから放り投げられて宙を舞い、10mほど離れた舞台の上で男が皿にキャッチするという見せ物。この屋台のスタッフはみんな蛍光グリーンのパーカーを着ていて、そのパーカーの背中には日本語で‘空飛ぶ野菜炒め’なんてプリントされている。
何を食べようかと屋台を覗き込んでいると、
“What do you like?”
ある屋台の主人に呼び止められ、とっさにメニューを手渡される。タイ語と英語で書いてあり、1品30B(110円)くらいですごく安い。
“Fried vegetables with pork!”
頼もしい主人なのでこの店で食べることにする。
| ◆ DINNER ◆ |
豚肉入り野菜炒め★★★★★
ライスとシンハービールで40B(145円)
|
屋台だとあなどるなかれ、ここで食べた豚肉入り野菜炒めはこのタイ旅行で食べたものの中でいちばん美味かった!
露店の間を歩きながらホテルに戻る。途中、いいニオイを漂わせているバーベキュー屋にすい寄せられ、串刺しのウインナーを買う。1本3B(10円)。それだけでも小さな袋にたれを入れて、口を上手に縛って袋に入れてくれる。そして、タイに来て初めてドリアンを目にする。どんな臭いがするんだろうと近づいてみるが、切らない限りあまり臭わないよう。でも、チェンマイのホテルには‘NO DURIAN,PLEASE’という立て札を置いてあったほどなので、やっぱりスゴイんでしょう。で、そのドリアンを軽トラの荷台にこれでもかというほどうす高く積み上げて道端で売っている。これって日本のデパートなんかで買うと1個5千円〜1万円するんだよね?
外はヤケクソに暑くて汗がとまらないが(きっと36〜7℃)、ホテルの部星は相変わらず冷蔵庫で風邪をひきそう。そしてこの部屋、シャワーはお湯の蛇口が壊れていてぬるま湯しか出ない。長袖を着ても毛布を2枚かぶっても寒いので、部屋の窓全開にして眠る。環境保護団体の人に怒られそうな状況であるが、タイ人に言わせると、冷房はきいてればきいてるほどサービスがいいということのよう。チェンマイでもスコータイでもホテルの部屋の冷房設定温度はなんと15℃!!だったんだから、寒いはずでしょう? タイを旅する時は長袖の衣類もお忘れなく。
Continue... |
|