エアコンのパワーは恐るべきもので、一晩中窓全開にしていたにも関わらず、なお部屋はひんやり肌寒い。
早朝にホテルを出発。タイは雨期真っ最中だが、真夜中や夜明け前にスコールがある程度で日中はほとんど降らない。が今朝は降っている。傘を片手に旅行カバンを持って歩くのは結構きついが、慣れっこの私は2kmくらいは平気で歩いてしまう。(そうでないと1人旅なんてやってらんない!) 観光局で教えてもらった通り市バスの停留所で待つと、しばらくしてバスがやってきた。バスには4番という数字以外はタイ語の表示しかないので、本当に番号だけが頼り。乗る際、運転手に「エアポート?」と聞いておく。
「イエース、エアポート」。
運転手の兄ちゃんはここに座れと運転席の横を指す。
「ジャパニーズ? ニホンジン?」
「うん」
「カエル? ニホンニ?」
何と彼、カタコトの日本語を話す。
「まだ帰らない、バンコクに行くの。」
後ろに座ってるおばさん車掌にお金を払う。
「ニホンノドコカラキタ? トキョー、オサカ?」
お決まりのフレーズ。
「ボク、ヨネンカン、ニホンデシゴトシタコトアル、オオサカラ100キロノトコロ。」
詳しく聞くのはなんとなく面倒で、フーンと相槌を打っておく。日本に4年もいて日本語の具合がこうだから、あまり日本語を使わなくていい状況にいたのだろう。日本で何してたの?どうしてまた今バスの運転手なの?と疑問はたくさん浮かんでくる。
「イツ、ニホンニカエル?」
「16日」
「タイ、ハジメテキタ?」
「うん」
「ヒトリデ?」
「うん」
「ダンナハ?」
‘ダンナ’と言っているのが‘ダナ’としか聞こえず、何だろう??としばらく考えてしまう。
「結婚してないよ。」
「タイハビンボー、ニホンハカネモチネ、ニホンハスゴイ」
他に3人ほど乗っていた客はみんな途中で降りてしまい、空港に着いた時には乗客は私1人だけ。10分ほどで到着。彼は小さな空港の建物向こうに見える滑走路を指して、
「エアポートツキマシタ、ヒコウキマダキテナイネ、ゲンキデ、サヨナラ」
チェックインカウンターは2つしかない。そして1つしかない搭乗口前の待合室で待っていると、一昨日も昨日も見た例のオランダ人バックパッカー2人組が再登場。観光客って考えることも行動範囲も全く一緒! 彼らもチェンマイからスコータイヘのあのバスに懲りて、ここは空路での移動をと思ったのに違いない。
飛行機が着陸して乗客が降りてくる。しばらくすると待合室の隅で待っていたお坊さんが係員の男に連れられ先に飛行機の方へ歩いていった。タイのお坊さんは女性に話し掛けてはいけないし、こちらから話し掛けてもいけない、目を合わせることすらダメらしい。乗り物でも女性と隣にならないよう、もし隣であれば席をかわってもらうのだそう。スーパーでも女性店員とレジでやりとりするのがダメで、そばにいた男が代わりにお金を渡しているのを目撃した。
待合室でぼーっと座っていると、急にまわりの人が全員すっくと起立する。本当に“起立!”と号令かけられたかのように。びっくりして私をはじめ外国人旅行者も遅れて立ちあがる。毎朝8時にTVで国歌が流れ国王の映像が映され、全員起立して国王に敬意を示すのだ(タイでは王室不敬罪が存在する、つまり王室に敬意を示さない人は警察ザタになるので、外国人もまわりに従うべきなんです)。でもこんなことは他の国では全く経験しなかったことで、少しばかり怖くも感じる。
| 値段は安いがきれいで立派なジェット機 |
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バンコクまでたった40分だがお弁当が配られる。炒飯、サラダ、ヨーグルト、フルーツ。町の屋台で食べる炒飯に負けず美味しいので珍しく完食(私が機内食を残さず食べるのはかなり珍しい)。そして食べ終わる頃にはもう着陸体制に入っている。バスで移動すれば値段はさらに10分の1だが時間は10倍近くかかる。ね、いくらバスが安いといっても3千円強で飛行機に乗れるのなら飛行機を選ぶでしょう? ではなぜチェンマイ→スコータイをバスで移動したかというと、この区間は1週間に4便しか飛行機がないんです!
バンコク・ドン・ムアン空港。市内へのリムジンバス乗り場を探す。到着ロビーに出たとたん、待ち構えていたホテルやタクシーを紹介する空港職員数人について来られる。
“Excuse me! Where are you going?!”
彼等は必死に営業活動するが、用がなければ無視してさっさと通り過ぎてしまうべし。‘AIRPORT BUS→200m’という表示を見つけて歩いて行くと、
「エアポートバス?」
と係の姉ちゃんがすぐ駆け寄ってくる。
「A1に乗りまーす。」
3本あるルートのひとつを言えば、
「70B(250円)よ、あと5分くらいでやってくるわ。」
とチケットを切ってくれる。そしてバスがやってくると、ささと荷物を持ち案内してくれる。やっぱりタイの人は「ああ仕事なんてかったるい」というイタリア人やスペイン人と違い真面目でよく働く。エアポートリムジンは例の長距離バスとは違い荷物置場もシートも広くきれいで快適。
バスは空港を出るとすぐ高速道路に入る。高速道から目につく看板はといえばソニー、東芝、松下、サンヨー、トヨタ、ホンダ、日野自動車(タイの大型トラックは日野自動車かベンツがほとんど)、富士フィルムにカネボウと日本企業のものばかりで、たまにチャイナ・エアラインとかノースウエスト航空の看板がある程度、日本の高速道かと思ってしまう。バンコクは世界一の渋滞都市という悪名通り、ひどい時には空港から市内まで2〜3時間もかかるらしいが、今日はクィーンズ・バースディ(王妃誕生日)で祝日だからか全く渋滞はなく、30分もたたないうちに市内中心部に着いてしまった。エアポートバスには決まった停留所もあるが、「ここで降りたい!」と言えばどこでも降ろしてもらえる。宿泊する‘バイヨーク・スイート・ホテル’が見えたので降ろしてもらう。
ホテルの玄関にはガードマンとポーターが待機していて、宿泊客と見るとすぐに荷物を持ってロビーに案内してくれる。玄関は1Fだがホテルのレセプションは5F。まだ朝10時前だがチェックインできる。ポーターは友人の彼氏に似ているので‘貴志くん’と呼ばせてもらうことにする。(Rちゃん&貴志くんお許しを!) 彼にに部屋まで案内してもらう。
「朝食は5Fのレストランで、プールは1Fにあるよ、この建物の1〜8Fまでは駐車場になってるんだ、君の部屋は36Fだよ。それから最上階の43Fにはスカイラウンジっていうレストランがあるよ、夜はバーに変わるんだけどね」。
部屋はリビング、システムキッチン付きの広いツインルーム。バイヨーク・スイートという通り、全室リビング付きのスイート! ベッドルームには大きな出窓があって眺めも抜群!! 1泊4000円という値段で(2人だと1人2000円ですぞ!)この部屋、他国ではとうてい不可能でしょう。エアコンもリビングとベッドルームの両方についていて、案の定、貴志くんは最低温度&最強パワーに設定していった。彼に20Bほどチップをあげておくとそれから3日間、私を見かけるととてもフレンドリーに話しかけてくれ愛想よくしてくれた(この人の場合、チップをあげなくてもこうだったとは思うけど)。昨日のピサヌロークの冷蔵庫のような部屋とはうって変わって快適なホテルライフを送れそう。思わずにんまりしてしまう。
バスルートマップを手に入れるべく、歩いて5分の伊勢丹へ。バンコクはピサヌロークよりいっそう暑い。アスファルトと車の多さと排気ガスで空気も最悪。一方建物の中は寒いほど冷房がきいているので差が激しすぎて具合悪くなりそう。伊勢丹では日本語のアナウンスもあって驚いてしまう。6Fの紀国屋書店で35B(125円)のバスルートマップを買ったら食事。伊勢丹内には寿司屋、そば屋、定食屋と日本料理店もたくさんあるが‘See Fah’という地元の人ではやっているタイ料理レストラン。メニューも写真、英語に加えて日本語の説明付き。
| ◆ LUNCH ◆ |
ガン・チャンポー・パッ・ボン・カリー
(カニ脚と青菜、もやしのカレー味炒め) ★★
ライス ミネラルウォーター
160B(580円)
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炒め物はやや辛かったが味はよい。
バンコクはワット・ポー観光から。バンコクの市バスにはエアコン付きの青いバスとエアコンなしの赤いバスがある(エアコンなしでもたまに青いバスがあるが窓全開なのですぐわかる)。エアコンバスの料金は距離制だが、ノンエアコンバスは料金一律。伊勢丹前からワット・ポーヘはノンエアコンの2番で、バスが来たら手で合図する。ただバス停でつっ立っていても停まってくれない。ところが、大きなバス停では3台も4台も、2斜線3斜線も向こうまで連なってバスがやってくることがあり、よく目をこらして番号を見ていないといけないし、何台も続けてきた時は本来のバス停のずっと後ろの方で停まったりするから走ってかなきゃいけない。さらに、運転手によってはバス停で停車せず、スピードを落とすだけという場合も。運悪くこういうバスがやってきたらあきらめて次を待つか走って飛び乗る!! バスに乗るのも命がけ。そして時刻表なんていうものはないので、同じ番号のバスが2台続けて来たりもするし、待てど待てどなかなか来ないこともある。
20分ほど待ってやっと2番の赤いボロいバスがやってきた。このクソ暑い中、窓全開でしかもぎゅうぎゅう詰めの中に突入することにかなり抵抗を感じるが、勢いにまかせて乗車!! 乗ると車掌がブリキの缶をカラカラ鳴らしながらお金を集めにくる。5B硬貨を渡すと1.5Bのお釣りと切符をくれたから3.5B(13円)だと理解する。どこまで乗っても3.5Bだと思えば何とか我慢できる(ただし、走ってる間はまだいいけど渋滞で動かなくなるとただのサウナでしかありません)。で、乗るのも大変だが、降りる時もアナウンスなんてないから周りの人に聞くか、よーく目を凝らして外を見てなきゃいけない。
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ワット・ポーには50m近い巨大な黄金の寝釈迦がある
思ってたより大きく
「う〜わ、デケェ!!」
タイ・マッサージ(指圧)の総本山でもある
無料の肩もみから30分、1時間の全身マッサージ
ハーブマッサージまでいろいろ
ここで1時間ほどマッサージしてもらおうと思っていたが
(1時間200B(720円)と激安)
マッサージルームには冷房がない様子だったのであきらめ
ただでさえ倒れそうなほど暑いのに
指圧なんかしてもらってる場合じゃない!
よく冷えたミネラルウォーターも
あっという間にぬるま湯になってしまう |
| ブッダの足の裏 |
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他にもいろいろワットを見てまわるつもりが
あまりの暑さに参ってしまい
やむなく観光中止。帰りは違うバスで戻ろうとバス停へ歩く。が、バス停には地図に出ている48番の表示がない。道端でガサガサと地図を広げていると、
“Where do you want to go?”
とどこからか男が出現する。「ここ」と地図を指して、
「48番のバスに乗りたいんだけど。」
「48番か・・・・ノー、この地図は古い、今は番号が変わっている、ここまで歩いて1番に乗るのがいいよ。」
「えー、ここまで歩けっていうの?!」
仕方なく来た道を戻る途中、道端に‘48’という数字と何やらタイ語の書かれたボードが置いてあるのを発見。その横に停まっていたバス、前にまわって番号を見ると48番じゃない!
「何よあの兄ちゃん、親切なふりして嘘ばっか言ってんじゃん。」
ぶつぶつ言いながらバスに乗る。
バンコクは大都会。タイに来てバンコクを見ないままチェンマイやスコータイと地方を回っていたのでよけいに街が大きく見える。バンコクにもトゥクトゥクは走っているが、ソンテウやサムローは見られない。代わりに、何も珍しくない乗用車のタクシー(ほとんどがカローラ)がとても多い。タクシーだって初乗り35B(130円)と安いが、ここは更にその10分の1以下の料金で乗れてしまうバスが楽しい。乗り物も差が激しいが、ホテルの方がその差はすごい。エアコンなし、シャワー共同のゲストハウスには、探せば1泊50B(180円)なんていう所もあるらしいが、オリエンタルホテルのスイートなんて1泊数十万円。
サヤーム・スクエアというショッピングスクエアでバスを降りデパートを散策。
セブン・イレブンで日清カップヌードル‘トムヤムクン味’を買い込む。かさばるけれど、1個12B(45円)の激安お土産。でもコレ、かなり辛し!
夕食は伊勢丹でラーメンを食べてしまう。
| ◆ DINNER ◆ |
味噌ラーメン ★★ 90B(300円)
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ホテルのそばにはプラトゥーナム市場というバザールがあり、迷路のような路地に何百もの店(ほとんど衣料品店)が軒を連ねている。偽ブランドのTシャツ、ポロ、トレーナー等がワゴンに山積みされ、価格は交渉次第。
ホテルには4つのエレベーターがある。うち2つは偶数階用、もう2つは奇数階用。4つとも、1Fや5Fのロビーには止まるが、客室は偶数階のみに止まるものと奇数階のみに止まるものにわかれている。高層ホテルでエレベーターが少ないと、人の出入りの多い時間にはなかなかエレベーターがやってこないし、やってきてもいっぱいで乗れないことが多い。どういうわけか、1Fでエレベーターを呼ぶといつも奇数階用はすぐ来るのに偶数階用はなかなか下りてこないので、私はよく奇数階用に乗って37Fで降り、階段で36Fへ降りていた。部屋からの夜景も眺めも抜群だが、ここまで高層にするならもうちとエレベーター作ってください・・・。
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