『男の首』
第12章から
#5-12
La Tête
d'un homme
それは1月だった。凍る寒さだった。立会いの10人の男
たちはコートの襟を立て、両手をポケットに突っ込んでい
た。(…)メグレは一人だけ離れて立ち、首を肩まで引っ
込めて…

C'était en janvier. Il gelait. Les hommes présents ava-
ient le col du pardessus relevé, les mains enfouies
dans les poches. (…) Seul Maigret se tenait à l'écart,
le cou rentré dans les épaules, …
 優れた知性を持ちながら、生来の貧困ゆえ
に豊かな世界に対する憎悪と侮蔑をあから
さまに示しながら自滅していった男。その処
刑に早朝から立ち会ったメグレは、男の残し
た最後の言葉、「あんたには奥さんがいてい
いですね。・・・」がズシリと心に残った。まる
で反抗するように、彼は夫人が用意した温か
い朝食が待っている家には戻らずにそのまま
警視庁に行き、自室のストーヴに乱暴に石炭
を投げ込み、荒々しく火床を掻き立てたのだ
った。
単語 gelait < geler v.i. 凍りつく
présent a. 出席する、立会いの
enfouie < enfouir v.t. しまい込む、埋める
se tenait < se tenir v.pr. (ある状態を)保つ
à lécart (de) 〜から離れて
* enfouir les mains dans ses poches
(慣用)ポケットに両手を突っ込む

メグレ警視のパリ
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