プロローグ

夜霧の中、一匹のグリーンイグアナは
はるかかなたから爆音を発しながら暴走してくる
バスのヘッドライトを凝視していた。
深夜バスらしくない派手なサルサが鳴り響き陽気な
コスタリセンセは尽きる事のない
世間話しにいささか甲高い笑い声で熱中している。
もうかれこれサンホゼを出発して8時間はたっているがラテンのDNAは
どうやら眠ることを拒否し続けているようだ。

運転手は愛人らしい若いボニータとのおしゃべりに夢中になり
スピードはどんどん上がっていく。
月明かりに照らされた墓場、
見事に刈り取られたココナッツの幹だけが
何キロにわたってそそり立つ姿は巨大な地球の墓場のように見えてくる。
後方のシートにはここら辺ではまだ珍しい長髪の東洋人が
一人窓の外に広がる夜のココナッツプランテーションの墓場の
はるかかなたを見つめていた。
”ずいぶん遠くに来たもんだなー”
少し開いた窓から若草色の湿った夜風が陽の
光を浴びた頬を心地よくなでて行く。
この風の匂い・・・
ふと瞼を閉じるといろいろな記憶が
ついこないだの出来事のように蘇っていく・・・・・・・・・。


楕円のボールを追い掛けた頃
まるで魚になるかの様に泳ぎ回ってた頃
格闘技に熱中していた頃
後楽園ホールで数々の死闘を繰り広げていた頃
大きな帆船で世界の大海を渡り歩いていた頃

深海の世界に引き込まれていた頃
カリフォルニアの大空を飛びまわっていた頃
ハーレーに乗って爆音とともに走り回っていた頃
世界のVIPのSPをしていた頃
六本木で毎晩飲み遊んでた頃


この男は実在する・・・。


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まってます。

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