南アフリカ共和国の治安と安全対策

この内容は1995年、在南アフリカ日本国大使館から頂いた資料を
参考にさせて頂きました。
南アフリカを観光される旅行者の方々に、
現在でも参考になる内容が多いので紹介致します。

南アフリカの概況(1995年)

 南アフリカ共和国は昨年(1994年)の全人種参加の民主的総選挙により初の黒人・白人双方からなる連立政権が誕生しました。総選挙前には各勢力の対立、改革に対する抵抗感から政治暴力の嵐が吹き荒れましたが、選挙後は連立政権のマンデラ大統領の穏健な人種融和政策により、この1年間、国内は極めて安定的に推移し、政治的暴力も急減しました。
 ただ、当国には豊かな白人層と非白人層(黒人、カラード、アジア人)という根本的な問題が依然として残されており、特にアパルトヘイト体制の廃止後は、貧しい非白人が多量に豊かな大都市部に流入し、これに高失業率等々の要因も重なって、ヨハネスブルグ、ケープタウン等の大都市の中心部(ダウンタウン)では強盗、自動車泥棒、空き巣といった犯罪が多発しており、治安状況は厳しくなってきています。
 さらに、現政権の中心であるANC(アフリカン・ナショナル・コングレス)系とクワズール・ナタール州を基盤とするIFP(インカタ・フリーダム・パーティー)系との対立が表面化してきており、同州においては、暗殺や襲撃等の政治暴力が継続してきているのみならず、再び増加する気配すら見せております。
 総論的には現在、南アフリカ共和国を観光等で旅行されることについては特に問題はなく、欧米先進国と何ら変わらないインフラ(交通、通信、ホテル等)、美しい雄大な自然、快適な気候を十分に満喫することができると言えますが、ただ上記のような問題点もあり、旅行・訪問先及び宿泊ホテルの選定、観光・買物時の行動には、十分にご留意いただく必要があります。

 

犯罪被害を防ぐためには

1.訪問地・宿泊地の選定

○訪問地の選定にあたっては、一部大都市(特にヨハネスブルグ)の中心部(ダウンタウン)の歩行観光は控えてください。また、政治暴力か引き続き見られるクワズール・ナタール州では、ゲームリザーブ等の観光は大丈夫ですが、黒人居住区の周辺や地方への訪問は控えて下さい。
 ホテル等もダウンタウンにあるホテル、安宿は避け、名の通った定評のあるホテルを選んで下さい。

○ヨハネスブルグでは
 ダウンタウン(カールトンセンターからヨハネスブルグ中央駅の周辺を経てヒルブローに至る地区)への歩行による観光は昼夜を問わずご遠慮ください。特に旅行者がこの地域に行けば、必ずと言って良いほどナイフ等を所持した強盗団に襲われます。
 ホテルもこの地区は絶対に避けて、ヨハネスブルグ北部地区のローズバンクやサントンといった地域の定評のあるホテルの利用をおすすめします。

○ケープタウンでは
 ケープタウンの治安はヨハネスブルグのダウンタウンほど悪くはありませんが、ダウンタウンでは夕方以降は人通りがばったりと絶え、強盗、恐喝も頻発していることから、徒歩での外出は控えて下さい。シーポイント地区でも夜間の外出には十分注意した方が賢明です。ウォーター・フロント地区はセキュリティーがしっかりしていますので、比較的安心できます。
 ホテルは地区にかかわらず安宿は避け、できるだけ名の通ったホテルの利用をおすすめします。コンスタンシア、キャンプスベイ等郊外のホテル、ウォーターフロントのホテルは比較的安全です。市内ダウンタウンのホテルを利用するときは、夕方以降の徒歩での外出を控えて下さい。

○ダーバンでは
 市内の一部で治安が悪化しています。特に、観光のメッカとされていたマリン・パレード等の海岸沿いの通りでは、白昼でも路上強盗が報告されています。ダウンタウン商店街はケープタウンと同様、昼間はヨハネスブルグ・ダウンタウンほど悪くはありませんが、夜間は外出を控えて下さい。ダーバン郊外のノース・コーストやサウス・コーストは比較的治安は良い方ですが、夜間の徒歩での外出は控えて下さい。
 また最近、主に郊外の黒人居住区を中心に政治暴力が増加する気配が見られますので、そういった地域には立ち入らないことが賢明です。
 ホテルは地区にかかわらず安宿は避け、名の通ったホテルを利用してください。また市内ダウンタウンのホテルを利用するときは、夜間の外出を控えて下さい。

○クルーガー・ナショナル・パークやサン・シティーでは
 クルーガー公園内は公立、私立を問わず、また、サン・シティー内も治安上の問題はありませんが、周辺道路の沿道には大規模な黒人居住区があり、そういった地域では不用意に自動車を道端に停めることは控えてください。

○その他の地方では
 幹線道路沿いや観光地は問題ありませんが、クワズール・ナタール州の地方(特に黒人居住区周辺)には入ったり、近付いたりしないようにしてください。また、それ以外の州では、最近は政治的安定の度合いは高まってきていると言えますが、黒人居住区に近付く時は周囲の動向に細心の注意を払うようにしてください。

 最近(2002年)、幹線道路上での観光客を狙ったカージャックが多発している傾向があるようです。特にハウテン州のヨハネスブルグ空港からヨハネスブルグ市内へ向かう幹線道路上、ハウテン州からジンバブエへ向かう途中のリンポポ州(旧ノーザン・プロビンス)など。

2.空港到着時

 ヨハネスブルグのヤンスマッツ空港(現在のヨハネスブルグ国際空港)、ケープタウンのD・F・マラン空港といった国際空港では、置き引きすりの被害が報告されています。その手口は、

○チェックイン・カウンターやレンタカー・カウンターで手続き中に、カウンター上、あるいは手押し車上に置いておいたバック等を盗む。

○共犯者が話し掛け、旅行者がそちらに注意を奪われている隙に所持品を盗む。

○自動車に荷物を積み込み中のわずか数秒のうちに、他の物を盗む。

というもので、犯人は白人、黒人を問わずグループで、しかも常習的に犯行を繰り返しています。
 したがって、決して荷物から目を離さず、貴重品の入ったバック類は確実に所持し、特に見知らぬ者が話しかけてきたときや不自然に周囲を付きまとっているときは十分に注意してください。

 最近(2002年)、ヨハネスブルグ空港からヨハネスブルグ市内へ向かう幹線道路上での日本人を狙ったカージャックが多発している傾向があるようです。空港の銀行での両替は控えた方がよいかも知れません。

3.交通機間のターミナル

 ヨハネスブルグ・ダウンタウンの空港バス・ターミナル周辺では、特に旅行者を狙った強盗・恐喝事件が多発しており、白昼堂々と通行人の面前でも犯行が行なわれ、ナイフ等の凶器を所持したグループでの犯行が大半を占めています。特に、南アの玄関口であるヨハネスブルグ・ヤンスマッツ空港からヨハネスブルグ市内に向う空港バスは、このバス・ターミナルに到着するため、何も知らない旅行者が路上強盗の格好の標的となっています。
 空港から宿舎までの移動手段としては、タクシー(黒人が利用するミニバスタクシーは避けてください。)またはホテルからの送迎バスを利用することが賢明です。

4.外出時の注意事項

 夜間の外出は避け、危険な地域や裏通りには立ち入らないことが大切です。また、高価な装飾品を身につけたり、目立つ服装をしたり、カメラを下げた一目で観光客と分かるような行動をとったり、多額の現金を持ち歩くようなことは厳に慎んでください。
 海外旅行の常識として高額な現金は決して持ち歩かず、クレジットカード(VISA等は南アのほとんどで使え、現金化も直ちにできる。)や旅行小切手を利用し、万一強盗等に襲われたときは、所持品を渡して身の安全を図ることが重要です。