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 1994年の南アフリカ 

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No.10 1994年2月

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 《今月の主な掲載内容》

 4月の制憲選挙に向けて行われた1月31日の、南アフリカの黒人解放組織「アフリカ民族会議(ANC)」、南ア政府と、保守連合組織「自由同盟(FA)」の三者交渉が決裂し、FAの不参加が濃厚になりました。
 FAの右派白人団体、「アフリカーナー人民戦線(AVF)」のフィリューン議長は、交渉決裂後、要求が受け入れられない限り、今後、政治抗争事件がさらに激化すると警告しました。黒人右派組織「インカタ自由党(IFP)も、1月29日の党大会でブテレジ議長が「あくまで抵抗を続ける」と選挙ボイコット方針を示し、その後も妥協の姿勢を見せていました。

 デクラーク大統領は2日夜、史上初めての黒人が参政権を得る制憲議会選挙の投票日を4月26日から3日間とすると公示しました。各勢力は、公示から10日以内に政党登録が義務づけられ、FA各勢力との交渉を決着させ、登録を終えさせるのは物理的に無理な状況になりました。
 南アの有権者は2千数百万人とされ、このうちFA支持者数百万人が選挙をボイコットすれば、ネルソン・マンデラANC議長が大統領となると予想される南ア新政権が、国家分裂の危機を抱えて出発する可能性が強くなりました。今後の保守派の動向は、最終段階に入った南ア民主化プロセスの成否を決めるものとして無視できなくなりました。
 政府と「アフリカ民族会議(ANC)」は3日、説得のため、FAとの3者協議を行いましたが、政府、ANCは妥協を求めたが進展がなく、7日にも再協議を行うことになりました。

 2日に始まった政党登録では、白人穏健派「民主党」、白人右派新党「アフリカ・キリスト教民主党」が登録を済ませている。ANCは10日に登録予定。登録期限の12日までに、白人与党国民党など他の主要勢力も登録する予定と報じられました。

 デクラーク大統領は、すでに登録期限の過ぎた14日、ボイコットする姿勢を明らかにしているIFPの方針転換を迫るため、ダーバン市庁舎でツェルチニ・ズールー王との会見に臨みました。しかし強硬派の群衆がズールー人の自治を求めるデモを展開し、多数の死傷者が発生しました。

1月31日、トランスバールの選挙集会で
マンデラANC議長を歓迎する子供たち


(ロイター)

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《南アフリカのニュース》
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南ア 議会選、右派抜き濃厚
きょうにも公示か 
一部組織、不参加の方針

【ナイロビ=1日】94.2.2読売

 南アフリカの黒人解放組織「アフリカ民族会議(ANC)」、南ア政府と、保守連合組織「自由同盟(FA)」の三者交渉が31日決裂したことを受け、南ア政府代表のメイヤー憲法開発相は同日、初めての全人種が参加して行われる4月末の制憲議会選挙が2日に公示される可能性があると述べた。ANCは1日、全国作業委員会を開き、妥協の余地を再度探っているが、保守派の要求を受け入れたとしても暫定憲法を修正する時間はないため、保守派抜きで本格的な選挙戦に入りそうだ。

政治抗争激化のおそれ

 3か月間にわたった交渉が決裂したのはANCなどが、地方の自治権拡大と投票方式に関するFAの要求を退けたため。
 南アからの報道では、FAの右派白人団体、「アフリカーナー人民戦線(AVF)」のフィリューン議長は、交渉決裂後、要求が受け入れられない限り、今後、政治抗争事件がさらに激化すると警告した。AVFは1月末、交渉決裂を見越して独自の「暫定政権」の設立まで発表している。
 また、ANC、白人与党国民党に次ぐ政治勢力とされる黒人右派組織「インカタ自由党(IFP)も、29日党大会でブテレジ議長が「あくまで抵抗を続ける」と選挙ボイコット方針を示し、その後も妥協の姿勢を見せていない。
 ANCなどは、白人居住区設置などアフリカーナー(欧州系白人)の「民族自決件」の問題を選挙後に先送りする形で、AVFを選挙に引き込もうとしているが、IFPは、ANCとの権力闘争を続けてきた黒人組織だけに、かえって合意形成が難しい。
 デクラーク大統領が2日にも、暫定憲法に署名、制憲議会選挙日程を正式に公示すれば、各勢力は、公示から10日以内に政党登録が義務づけられる。それまでに。FA各勢力との交渉を決着させ、登録を終えさせるのは物理的に無理とみられる。
 白人政党でFAに参加するのは、すべて少数政党だが、最大民族ズールー人を支持基盤とするIFPの動員能力は、ANCにとっても脅威。初めて国政権を得る黒人を含め南アの有権者は2千数百万人とされるが、このうちFA支持者数百万人が選挙をボイコットすれば、ネルソン・マンデラANC議長が大統領となると予想される南ア新政権が、国家分裂の危機を抱えて出発する可能性も強い。今後の保守派の動向は、最終段階に入った南ア民主化プロセスの成否を決めるものとして無視できなくなっている。

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南ア選挙 投票、4月26日から
保守派は拒否の姿勢

【ナイロビ=3日】94.2.5読売

 南アフリカ共和国からの報道によると、同国のデクラーク大統領は2日夜、史上初めての黒人が参政権を得る制憲議会選挙の投票日を4月26日から3日間とすると公示した。
南アの新選挙法によると、各党は公示日から10日以内に政党登録を行わなければ選挙に参加できない。
 しかし、選挙には、保守派連合組織「自由同盟(FA)」がボイコットの姿勢を示しており、政府と「アフリカ民族会議(ANC)」は3日、説得のため、FAとの3者協議を行った。政府、ANCは妥協を求めたが進展がなく、7日にも再協議を行うことになった。

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ANC、政党登録へ 南ア 4月選挙、第1党確実

【ナイロビ=10日】94.2.11読売

 南アフリカ共和国からの報道によると、同国最大の黒人最大の黒人開放組織「アフリカ民族会議(ANC)」は10日、史上初めて黒人が参政権を得る制憲会議選挙(4月26日から3日間)に参加するため、国家選挙管理委員会に正式に政党登録する。
 ANCは、1923年に正式発足。1960年に白人政権により非合法化されて依頼、都市ゲリラ作戦などの形で対アパルトヘイト(人種隔離政策)武装闘争を続けてきたが、これにより正式な政党となり、4月選挙では第1党として政権党となることが確実視される。
 南アでは、今月2日に政党登録が始まり、これまで白人穏健派「民主党」、白人右派新党「アフリカ・キリスト教民主党」が登録を済ませている。登録期限の12日までに、白人与党国民党など他の主要勢力も登録する予定だ。

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 南ア黒人デモで銃乱射 死傷多数

【ナイロビ=15日】94.2.16読売

 南アフリカ共和国からの報道によると、同国南東部の港湾都市ダーバンの市庁舎前で14日午後、デモ行進していた黒人群衆約8万人の一部が暴徒化、短銃、ライフル銃を乱射した。南ア警察・軍が出動、催涙ガス弾などで暴徒を威嚇した結果、騒ぎはすぐに収まったが、少なくとも通行人1人が暴徒の銃撃を受けて死亡、多数が負傷した。
 群衆は、同市などナタール州を拠点とする黒人右派組織「インカタ自由党(IFP)」の支持者で、ほとんどがズールー人。デクラーク大統領が同日、4月の制憲議会選挙をボイコットする姿勢を明らかにしているIFPの方針転換を迫るため、市庁舎でツェルチニ・ズールー王との会見に臨んだことに対して、強硬派の群衆が、ズールー人の自治を求めるデモを展開、興奮した一部参加者が示威行動に及んだと見られる。

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2月14日、デクラーク大統領がダーバンで
ズールー国王(右)、ブテレジIFP議長(左)と会談

(AP)