■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 1994年の南アフリカ 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

**************************************************************************
No.11 1994年3月

**************************************************************************

 《今月の主な掲載内容》

 南アフリカ共和国で初めて全人種が参加する制憲議会選挙(4月末)に対して強く反発してきた、黒人「インカタ自由党(IFP)」、白人「アフリカーナー人民戦線(AVF)」双方の保守派が4日までに、制憲議会下院の地方区選参加のため政党登録の手続きを行った。南アフリカ共和国の最大政党「アフリカ民族会議(ANC)」と与党の国民党など主流派が保守派の要求に一方的に譲歩し、暫定憲法、選挙法を修正した結果であった。
 しかし、「準独立国」の設置などを要求していた、アフリカーナー人民戦線(AVF)は5日、選挙のボイコットを正式決定した。IFPの政党登録で生まれた和解への機運は一気に暗転し、全勢力参加での選挙実施は絶望的となった。

 日本政府は、4月26日から行われる予定の選挙に派遣する選挙監視団について、人数を10人程度とし、今月中旬にも実施計画案策定に着手する方針を固めた。
 選挙監視団については、南アフリカ共和国からの派遣要請を受けた国連が1月、安保理と総会で、約1800人を平和維持活動(PKO)として派遣する決議を行った。
 しかし、南アフリカ共和国政府とアフリカ民族会議(ANC)に反対する黒人右派組織のインカタ自由党(IFP)などによる選挙ボイコット行動が表面化、過去4年間に1万人を超える死者が出ていた。
 選挙が強行された場合、大混乱も予想された。このため日本から選挙監視団をPKOとして派遣する場合、PKO協力法の参加5原則の一つ「武力紛争の停止合意」規定に、ボイコット派の行動が該当するかの判断を迫られていた。

 南アフリカ共和国のボタ外相は13日、暴動の多発する「独立」ホームランド・ボプタツワナのマンゴペ大統領に、南アフリカ共和国政府がマンゴペ政権の承認を取り消したことを通告した。
 マンゴペ政権は選挙に反対していたが、選挙参加を要求する大衆デモで崩壊した。
 アフリカ民族会議(ANC)のネルソン・マンデラ議長が15日、南アフリカ共和国の国籍復帰が認められ、選挙に参加することになったホームランド、ボプタツワナの首都マバトを訪問した。市民は、ANC旗を振りながらマンデラ議長を熱狂的に歓迎した。

 インカタ自由党(IFP)が支配するホームランド、クワズルは、人口約250万のボプタツワナに対して、2倍以上の約540万人である。
 不人気だったマンゴペ・ボプタツワナ大統領に比べ、IFPのブテレジ議長の統率力は強く、本気で「打倒ANC」を目指す住民も少なくない。このため、アフリカ民族会議(ANC)と南アフリカ共和国政府がクワズルでも政権切り崩しに出て、インカタ自由党(IFP)が本格的に対政府抵抗闘争を開始すれば、ボプタツワナでの混乱とは比較にならない重大事態に発展するのは確実であった。

弓矢などの武器を携えて
ANC選挙集会妨害のため結集したIFP支持者


(カロリーナ・サルゲーロ)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
《南アフリカのニュース》
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

南ア保守2派政党登録
選挙参加は不透明

【ヨハネスブルグ=5日】94.3.6読売

 南アフリカ共和国で初めて全人種が参加する制憲議会選挙(4月末)に対して、強く反発し、選挙実施への最大の障害となってきた、黒人、白人双方の保守派が4日までに、制憲議会下院の地方区選参加のため政党登録の手続きを行った。南アの最大政党「アフリカ民族会議(ANC)」、与党国民党など主流派が保守派の要求に一方的に譲歩し、暫定憲法、選挙法を修正した結果だ。
 同日政党登録したのは、ANCに対して地方の権限拡大を要求している黒人右派組織「インカタ自由党(IFP)」と、やはり、アフリカーナー(欧州系白人)の自治地域設立を求める白人保守派「アフリカーナー人民戦線(AVF)」の2団体。
 ともに保守派連合組織「自由同盟(FA)」の中核組織で、AVF「自由戦線」の仮称で登録した。FA加盟の白人右派「保守党」は登録せず、選挙反対のため、便宜的に連合関係を保ってきたFAは、この結果、足並みが乱れてきた。
 これまで選挙ボイコットや、新政権に対する武装闘争の可能性すら示唆してきた両党が、選挙を7週間後に控えた時点で、ようやく歩み寄り姿勢を示したことは大きな進展で、南ア各紙は「平和的政権交代に希望をつなぐもの」(スター紙)と、保守派決定を高く評価している。
 しかし、保守派両党が実際に選挙参加するかは、「今後の交渉の進展次第」(ブテレジIFP議長)という「条件付き」。
 AVFは、各州の憲法制定の機能を与えた暫定憲法の修正だけでは「不十分」とし、あくまでアフリカーナーによる「準独立国」の設置を要求していく。両党は、一方で選挙活動を展開しながらも、国連など国際機関に仲裁を頼み、ANC、国民党との交渉を続ける構えだ。
 さらに、ブテレジ議長はこれまで、「ANCなど2か月前から選挙活動を展開しているのでは、公正な選挙にならない」とし、投票日変更を要求する意図も示している。
 今回、政党登録した両党は9日までに、候補者名簿を提出しなくてはならないが、8日までに行われるIFPとFA、ANCとの交渉が注目される。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

南ア選挙監視 10人程度を派遣
政府方針 PKO法適用巡り調整

94.3.6読売

 政府は、全人種参加選挙として4月26日から行われる予定の南アフリカ共和国の制憲議会選挙に派遣する選挙監視団について、人数を10人程度とし、今月中旬にも実施計画案策定に着手する方針を固めた。外務省筋が5日、明らかにした。ただ、予想される選挙反対派の妨害行動が国連平和維持活動(PKO)協力法の参加5原則に抵触する可能性があるため、同法に基づく派遣とするか、同法を適用せずに行うかについて、政府内部での調整が残っており、現地の情勢を見ながら最終判断する考えだ。
 南アの選挙監視団については、同国からの派遣要請を受けた国連が1月、安保理と総会で、約1800人を平和維持活動(PKO)として派遣する決議を行った。
 しかし、南ア政府とアフリカ民族会議(ANC)に反対する黒人右派組織のインカタ自由党などによる選挙ボイコット行動が表面化、過去4年間に1万人を超える死者が出ている。選挙が強行された場合、大混乱も予想される。このため、日本から選挙監視団をPKOとして派遣する場合、PKO協力法の参加5原則の一つ「武力紛争の停止合意」規定に、ボイコット派の行動が該当するかの判断を迫られている。
 これまで、同法に基づいて要員を派遣したカンボジアでは、ポル・ポト派によるPKO要員の襲撃などはあったものの、各派がパリ平和協定に参加し、大枠での停戦合意が成立していた。これに対し、南アでは反対派が選挙に参加するかどうか不透明なうえ、ボイコット行動の規模やその性格などから、暴力事件か武力紛争かあいまいなためだ。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

南ア総選挙、白人系保守派不参加

【ヨハネスブルグ=5日】94.3.07読売

 南アフリカ共和国のアフリカーナー(欧州系白人)で構成する保守勢力「アフリカーナー人民戦線(AVF)」は5日、同国で史上初めての全人種が参加する制憲議会選挙(4月末)のボイコットを正式決定した。AVFは、黒人右派組織「インカタ自由党(IFP)」と並ぶ、保守連合組織「自由同盟(FA)」の中核団体で、連合全体に与える影響が大きく、IFPの政党登録(4日)で生まれた和解への機運は一気に暗転し、全勢力参加での選挙実施は絶望的となった。
 選挙不参加は、プレトリアで5日開催されたAVFの全体会議で決議された。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

令状なしの逮捕52都市で可能に 南ア決定

【ヨハネスブルグ=12日】94.3.13読売

 南アフリカ共和国のホームランド(部族別黒人居住地域)、ボプタツワナでの白人、黒人の衝突を受けて南ア政府は11日、ヨハネスブルグの一部を含む、プレトリア周辺を中心に、全国52都市を騒乱地域に指定、これらの地域では、警察が令状なしに逮捕権を持つことになった。「アフリカ民族会議(ANC)」のネルソン・マンデラ議長は12日の選挙演説で、前日のデクラーク大統領との会談で一切説明を受けなかったと反発した。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

ボプタツワナに暫定政権樹立 南ア大使

【ヨハネスブルグ=13日】94.3.14共同

 南アフリカ共和国のボタ外相は13日、暴動の多発する”独立”ホームランド・ボプタツワナのマンゴペ大統領に、南ア政府がマンゴペ政権の承認を取り消したことを通告した。これを受け、ボプタツワナ駐在のファンダーバルト南ア大使が同日、暫定政権の設立を宣言、同政権の統括責任者に就任した。
 これは南ア暫定評議会(TEC)が前日、マンゴペ大統領を解任、政務を代行する暫定政権の樹立を決めたことを受けた処置。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

南ア 保守派 孤立深める
反選挙武力闘争も ホームランド崩壊を脅威と受け取る

【ヨハネスブルグ=15日】94.3.15読売

 南アフリカの「独立」ホームランド(部族別黒人居住地域)、ボプタツワナで、来月下旬の制憲議会選挙に反対していたマンゴペ政権が選挙参加を要求する大衆デモで崩壊、選挙ボイコットで共闘してきた保守派は孤立を深めている。デクラーク南ア大統領は14日、選挙反対最強硬派の黒人保守勢力「インカタ自由党(IFP)」が支配するホームランド、クワズルとナタール州にも「暗雲が垂れこめている」と強く警告したが、追い込まれた保守派が武力による反選挙闘争に走る可能性もある。
=====
 ボプタツワナで起きたデモは、南ア最大の黒人政党「アフリカ民族会議(ANC)」が背後でデモを組織していたとされ、これを受けて南ア政府が治安維持のため乗り出し、アパルトヘイト(人種隔離政策)時代の残存物であるホームランドを事実上併合選挙参加に導いた。この対応は、IFPには、自分たちの支配地域で現実に起こりうる脅威と受けろ取られている。
 しかし、IFPが支配するホームランド、クワズルは、人口約250万のボプタツワナに対して、二倍以上の約540万(ともに1992年統計)人。また、不人気だったマンゴペ・ボプタツワナ大統領に比べ、IFPのブテレジ議長の統率力は強く、本気で「打倒ANC」を目指す住民も少なくない。このため、ANC、南ア政府がクワズルでも政権切り崩しに出て、IFPが本格的に対政府抵抗闘争を開始すれば、ボプタツワナでの混乱とは比較にならない重大事態に発展するのは確実。
 一方で、IFPが共闘してきた白人保守派も、選挙参加派とボイコット派に割れ、反対派がつくってきた連合組織「自由同盟(FA)」も、空中分解の危機を迎えている。ボプタツワナでデモが起きた際、鎮圧を理由に出動した白人極右団体のメンバー3人が黒人治安部隊に射殺された事件は、白人保守派内に大きな衝撃を与えた。
 南ア選挙管理委員会は、すでにIFPの党名抜きの投票用紙の印刷を開始させたが、このまま保守派を追い込んでいくのも、平和な選挙を目指すANC、南ア政府にとって大きな賭けになりつつある。

黒人ホームランド(部族別居住地域)
南アから黒人各部族を分離・独立させることを目的に、南ア白人政権が1960年代から全国10か所に設置。人種登録法などとともにアパルトヘイトの根幹となった。ボプタツワナ、シスカイ、トランスカイ、ベンダの4地域(総人口750万)は、70年代後半から南アからの独立を宣言。住民は南ア国籍を失った。国際社会は独立を一切認めなかった。全体で南ア総面積の13%に過ぎず、各地域では、白人政権の傀儡(かいらい)政権が独裁体制をつくった

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

マンデラ議長を熱狂的に歓迎 ボプタツワナ市民

【ヨハネスブルグ=15日】94.3.16読売

 南アフリカ共和国の最大政党、「アフリカ民族会議(ANC)」のネルソン・マンデラ議長は15日、来月下旬の全人種参加制憲議会選挙に参加することになったホームランド(部族別黒人居住地域)、ボプタツワナの首都マバトを訪問した。
 市民は、ANC旗を振りながらマンデラ議長を熱狂的に歓迎。ある市民が「このホームランドで指導者を歓迎したのは、史上初めてのことだ」と語るなど、市民が南ア復帰、選挙参加を待ち望んでいたことを示すとともに、ANCの高い人気も明かになった。
 先に大衆デモが暴動に拡大、約70名の死者を出したマバトなどボプタツワナの各都市は、南ア軍動員後、次第に鎮静化、略奪行為などの混乱も収まってきた。一方、選挙管理委員会はこれまで、断続的な政治交渉に引きずられる形で、選挙プロセスを再三引き延ばしてきたが、同日、候補者名簿提出の「最終期限」を再度変更、16日午後とすることを発表した。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

南アで暴力事件 黒人16人死ぬ

【ヨハネスブルグ=16日】94.3.17読売

 南アフリカ共和国の警察当局と、「アフリカ民族会議(ANC)」は16日、南西部ナタール州で前日から、住宅に手りゅう弾を投げ込むなどの暴力事件が続発、計16人が死亡した、と発表した。犯人グループ、被害者とも黒人。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

国内の州分割案受け入れ提案
南アANC

【ナイロビ=22日】94.3.24読売

 南アフリカ共和国からの報道によると、同国最大の黒人勢力「アフリカ民族会議(ANC)」は21日、4月初めからの全政党参加の制憲交渉で論戦が予想される連邦制導入問題に関し、制憲選挙後の新体制下でも国内を10以下の州に分割することを受け入れる提案を行った。
 ANCは当初、強力な中央政府の樹立を目指していたが、白人与党の国民党、ANCと対立する黒人右派勢力「インカタ自由党(IFP)」などが、連邦導入を強く求めてきたことで、昨年暮れから同問題で譲渡姿勢を見せてきた。
 南アは現在、4州と、シスカイ、トランスバールなど4つの”独立”ホームランド(黒人部族別居住地域)などに細かく行政区域が分かれている。これとは別に、6つの非独立ホームランドも存在し、このうちの「クワ・ズールー」はIFPの本拠地となっている。
 ANCは今回の提案で、出来るだけ他党に歩み寄り、制憲選挙の早期実施を目指す姿勢を見せたものと受け取れよう。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

南アで発砲15人死亡

【ヨハネスブルグ=28日】94.3.28朝日?

 ヨハネスブルグの中心地で28日、インカタ自由党(IFP)指示のズールー族1000人がデモ行進、IFPのライバルである黒人最大政党、アフリカ民族会議(ANC)本部に突入する構えを見せた。このため、ANCの警備陣がこれに発砲、警察当局によると、ズールー側の少なくとも15人が死亡、50人近くがけがをした。ANC側はズールー側が先に発砲したと主張している。
 でもは4月末の選挙に反対し、独立ズールー王国樹立を求めるズウェリテニ王を支持している。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

南ア・黒人同士抗争激化
非常事態下で選挙の公算
ナタール州ダーバンルポ

【ダーバン】94.3.31読売

 南アフリカ共和国で黒人が初めて参政権を得て行われる制憲議会選挙(4月27、28日投票)まで、1か月を切った。選挙が近づくにつれて黒人対白人より、黒人同士の政治抗争が激化、初の全人種参加選挙が非常事態下で行われる恐れが強まっている。黒人有権者1800万人の4分の1が集中し、抗争が燃え盛るダーバン近郊の現状と対立の構図を迫った。
=====
 ナタール州ダーバンの近郊のタウンシップ(旧黒人居住区域)、クワ・マシュー(人口約3万人)。毎朝5時半、男たちは小高い丘に集まり、夜間の味方の被害状況を確認し、300メートル離れた向こうの丘の敵を見張る。どちらの丘に陣取るのも南ア最大のズールー人だが、一方は「アフリカ民族会議(ANC)」支持者、他方は黒人右派「インカタ自由党(IFP)」支持者だ。
 クワ・マーシュはナタール州内に点在するIFP管轄のホームランド(部族別黒人居住区)「クワズル」に含まれるため、IFP支持者がクワズル警察と手を組んでANC支持者を弾圧する構図となっている。
 「弟、友達が殺された。警察にも撃たれる。国連軍のような中立的な軍隊が絶対必要だ」。ANC支持の高校生、ビクトール・ジャーリ君(17)は、毎夜の寝不足に目を赤くして、まくしたてる。
 しかし、ビクトール君のように意見を明らかに者はまれだ。多くは身の危険を恐れ、政治に関すること一切に口をつぐむ。ネルソン・マンデラANC議長の写真入り選挙ポスターを張るのさえ命がけの地区も少なくない。
 クワズルは、同政府財源の6割以上を白人中央政府に依存、ブテレジIFP議長の専断で黒人労働力の囲い込みを担ってきたアパルトヘイト(人種隔離政策)時代の残存物だ。南ア選挙でのANCの勝利が確実な今、IFPは選挙後、クワズルに準独立国のような地位保証を要求し、選挙不参加を決めている。
 過去、白人から武器供与を受けてきたとされるIFPは、ANCによる急激な権力奪取に対するブレーキとして、いまだに白人勢力に利用されている側面がある。
 同州での抗争が、政治抗争事件による死者全体の6割(1万人以上)を占めたにもかかわらず、ANCはこれまでマンデラ議長による説得工作を続けてきた。マンデラ議長、デクラーク大統領、ブテレジIFP議長らによるトップ会談での事態打開も検討されているが、選挙目前になっても、この地域での政治活動の自由すら保証されないため、ANCはいよいよ断固たる処置に出ようとしている。
 すでに無策となった白人国民党政権をしり目に、選挙まで政府を監視する機関「暫定執行評議会(TEC)」はANCの主導の下、29日、現在クワズル配備の南ア軍の権限強化を決定。さらに今後、増派、騒乱地域指定、非常事態宣言などをデクラーク大統領に勧告し、武力でクワズル政府を転覆させる準備を進めている。今月に入っての一連の事件で、ANCがすでに強権を行使できることは実証済みだ。
 ANCが積年の「インカタ問題」にどのような形で決着をつけるのか。南アの今後の安定度を占う意味から、選挙民は政権党となるANCの対応を見極めようとしている。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

白い地区が南アフリカのホームランド
(レソトとスワジランドは独立国)

(AP)