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 1994年の南アフリカ 

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No.17 1994年5月 (2)

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 《今月の主な掲載内容》

 南アフリカ史上初の全人種参加での制憲議会選挙が4月26〜29日に行われ、30日、開票が始まった。
 5月3日には、旧黒人解放勢力で最大政党の「アフリカ民族会議」(党首、マンデラ議長)が第1党に、現政府与党国民党(党首、デクラーク大統領)が第2党になることが確実となり、内外の関心は、マンデラ新大統領率いる連立政権「国民統合政府」の陣容であった。

選挙管理委員会(IEC)は6日午後、制憲議会選挙の開票結果(非公式)を発表した。

 南ア制憲議会選挙、主な政党の得票数

 アフリカ民族会議(ANC)   12,237,655(62.6%)
 国民党(NP)          3,983,690(20.4%)
 インカタ自由党(IFP)     2,058,294(10.5%)
 自由戦線(FF)           424,555( 2.2%)
 民主党(DP)            338,426( 1.7%)
 パンアフリカニスト会議(PAC)   243,478( 1.2%)

 ANCの得票は、他党の合意なしに正式憲法を制憲議会で採択できる3分の2には及ばなかったものの、62.6%を獲得した。
 NPは副大統領ポストを得るのに必要な20%を確保した。
 ナタール州を地盤とするズールー族政党のIFPは10.5%を獲得、予想を上回る善戦だった。
 アフリカーナーによる民族自治州を目指すFFは目標の4%に及ばず、2.2%に終わった。
 制憲議会下院(400議席)のうち主な政党の議席配分は、ANC=252、NP=82、IFP=43、FF=9などとなった。

 マンデラANC議長は、「象徴的」国家元首となるとの見方を否定し、実権大統領になると言明した。
 マンデラ議長が高齢なこともあり、新大統領に「不測の事態」があった場合に継承権を持つ、ANCからの第1副大統領がまだ固まっていなかった。マンデラ議長は6日、米国のテレビとのインタビューで、ターボ・ムベキ全国委員長(51)を第1副大統領として決定したことを明らかにした。
 第2副大統領は、NPのデクラーク現大統領が就任確実だった。

 最大の焦点は、新政府「国民統合政府」の閣僚人事であった。
 第1党となったANCは、選挙得票率5%に達しなかった各党からも広く閣僚に任命する方針を出していた。
 白人穏健派のDP、黒人右派政党のIFPが、入閣に前向きな姿勢を示しているのに対し、アフリカーナー(欧州系白人)による民族自治地域(フォルクスタット)設立を目指すFFのフィリューン議長は、「自分の仕事は、アフリカーナーの住む場所を見つけることだ」として、入閣を拒否していた。

 制憲議会は9日、ケープタウンで初めて召集され、第1党となったANCのネルソン・マンデラ議長(75)を、同国史上初めての黒人大統領に選出する。
 就任式は翌10日、首都プレトリアで開かれる。

 選挙管理委員会は6日夜、制憲議会選挙と同時に行われた州議会選挙の非公式最終結果を発表した。
 これによると、ANCが全国9つの州のうち7州で第1党となったが、西ケープ、クワズールー・ナタールの両州では他党に敗北した。
 17世紀の白人入植者の玄関口となった西ケープ州では、現政府の与党NPがカラードの票を多く集めて過半数を抑えた。
 また、黒人右派政党IFPの地盤、ナタール州では、IFPが81議席中の41議席を占め、第1党となった。
 州政府は、州憲法制定権など一定の権限を持ち、各州議会から10人ずつ選出する制憲議会上院(90議席)は、州権限を守るうえで大きな影響力を持っている。

マンデラANC議長

(新聞から)

ANC勝利

(雑誌から)

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《南アフリカのニュース》
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南アの投票権 WHOが承認

(ジュネーブ2日)94.5.4読売

 世界保険機構(WHO)の年次総会は初日の2日、南アフリカの投票権を30年ぶりに認める決議を満場の拍手で採択した。南アは1964年、アパルトヘイト(人種隔離政策)への制裁として、加盟国のまま投票権を剥奪(はくだつ)され、66年以降は総会にも出席していなかった。制裁の解除は先月行われた全人種参加の制憲議会選挙など民主化の進展を評価した処置で、南アはWHO加盟国として完全復権を果たしたことになる。
 この日の決議はジンバブエが提案、総会の議長に選ばれたボツワナのテマネコウ厚相が冒頭の議題として取り上げた。

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南ア閣僚に集まる関心 
副大統領 ANC側は難航
デクラーク氏は確実 小党からも広く登用

(ヨハネスブルク3日)94.5.4読売

 南アフリカ共和国の制憲議会選挙で、旧黒人解放勢力で最大政党の「アフリカ民族会議(ANC)」(党首、マンデラ議長)が第1党に、現政府与党国民党(同、デクラーク大統領)が第2党になることが3日までに確実となり、内外の関心は、マンデラ新大統領率いる連立政権「国民統合政府」の陣容、性格に移った。

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 マンデラANC議長はこれまで。「象徴的」国家元首となるとの見方を否定、自身が実権大統領となると言明している。
 しかし、マンデラ議長が高齢なこともあり、まず注目されるのは副大統領。昨年末選択の暫定憲法では、国民党の譲渡により、副大統領(第1党、第2党から1人ずつ)は大統領決定に対して拒否権を持たない。国民党からはデクラーク現大統領が就任確実だ。
 一方、新大統領に「不測の事態」があった場合に継承権を持つ、ANCからの副大統領がまだ固まっていない。
 この最有力候補は、ANC内で最も対照的とも言える2人だ。
 ターボ・ムベキ全国委員長(51)は、解放闘争の思想的根拠を形作ったゴバン・ムベキを父に持つANC内の名門の出で、英国の大学で経済学を専攻した後、ソ連で軍事教育を受けた。オリバー・タンボANC前議長の右腕で、特に外交通として知られ、温厚な正確とユーモアも有名。
 もう1人の候補は、「軍事上のナンバー2」、シリル・ラマポーサ事務局長(41)。
 大学で法学を専攻。黒人労組「全国鉱山労組(NUM)」の委員長として活躍したが、国際的にはほとんど無名だった。しかし、現職となってからは、国民党との二人三脚で、何度も危機に見舞われた制憲議会交渉をまとめ、ANCがほとんど妥協なしに、選挙にこぎ着けたのは、同氏の「剛腕」によるところが大きい。
 マンデラ議長は、自身が決めて、デクラーク大統領と事前協議して最終決定する、と困難な決定であることを認めている。
 また、新政府に「国民統合政府」には、多くの現職閣僚も残留しそうだ。
 マンデラ議長は、これまでの記者会見で、現大統領以外に、与党国民党の閣僚4人の名を挙げ、「好感を持っている」とした。
 世界最長の外相で、白人右派の人気も高いルロフ・ボタ氏。マンデラ氏のロベン島の監獄時代から親交が厚いヘンドリック・クチエ国防・司法相。暫定憲法採択への交渉で、ラマポーサANC事務局長のパートナーとなったルルフ・メイヤー憲法開発相。行政手腕確かなレオン・ベッセルズ人的資源相で、いずれも白人。
 また、ANCは1日、暫定憲法を見直し、得票5%に達しなかった各党からも、幅広く閣僚を登用し、文字通りの「国民統合政府」としたい考えも明らかにしている。このため、27閣僚となる予定の新政府の人事も、6日の新大統領による任命前に、各党が協議し決めることになろう。

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南ア国会 開幕、9日に延長
民主党や「インカタ」 入閣に前向きな姿勢

(ヨハネスブルク4日)94.5.5読売

 南アフリカ共和国の暫定執行評議会は3日、制憲議会選挙の開票作業の遅れを理由に、選挙で第1党となったアフリカ民族会議(ANC)のネルソン・マンデラ議長を新大統領に選出する国会のケープタウンでの開催を、当初予定の6日から9日に延期すると発表した。しかし、首都プレトリアで10日行われる就任式に変更はない予定。この日程変更は、マンデラ議長とデクラーク大統領の大統領府での会談で決まった。
 会談では、選挙に関する不正行為なども議題に上がったが、最大の焦点は、新政府「国民統合政府」の閣僚人事だった模様だ。ANCは、選挙得票率5%に達しなかった各党からも広く閣僚に任命する方針だが、白人穏健派「民主党」、黒人右派政党「インカタ自由党」が、入閣に前向きな姿勢を示しているのに対し、アフリカーナー(欧州系白人)による民族自治地域(フォルクスタット)設立を目指す「自由戦線」のフィリューン議長は、「自分の仕事は、アフリカーナーの住む場所を見つけることだ」として、入閣を拒否している。
 一方、地元紙の報道によると、ANCは、新政府に3人から5人の「内閣長官」とも言えるポストを新設、これらが各大臣を監督するという二重構造を取ることを検討している。これらの長官には、ラマポーサ事務局長などANCの最高幹部が就任する可能性もあるとみられ、また実務経験を重視し、現白人政権の蔵相、外相など主要閣僚を温存するとの観測も出てきている。

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南ア ファーストレディー不在に
「世紀の恋」も今は昔
マンデラANC議長 大統領主任後も夫人とは別居

(ヨハネスブルク4日)94.5.5読売

 南アフリカ共和国初の全人種選挙により、アフリカ民族会議(ANC)のネルソン・マンデラ議長(75)の大統領就任が確実とのなり、10日の就任式は、ファーストレディー不在のまま行われることになりそうだ。
 27年間の獄中生活を送ったマンデラ議長と、夫人の出獄を待ち続けたウィニー夫人(59)の関係はかつて、「世紀の恋」と呼ばれた。だが、1989年、夫人の親衛隊が少年を誘拐、殺害した事件を機に、夫人の愛人スキャンダルやANC活動費の使い込みが発覚、議長はついに夫人と別居し、公式の場に夫人が同行したことはなかった。
 ウィニー夫人は先月下旬、英国のテレビとの会見で、「私たちの愛は今も変わらない

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南ア 第1副大統領にANC全国委員

(ヨハネスブルク6日)94.5.7読売

 南アフリカ共和国の新大統領となるアフリカ民族会議(ANC)のマンデラ議長は6日、米国のテレビとのインタビューで、ターボ・ムベキ全国委員長(51)をANC選出の「第1副大統領」として決定したことを明らかにした。
 ANC本部も同日午前、この決定が事実であることを認めた。第1副大統領は、75歳と高齢のマンデラ大統領に「不測の事態」があった場合、継承権を持つ。
 同テレビとの会見で、議長は、ムベキ氏に決定したのが議長自身で、この2人が同日、ケープタウンで、「第2副大統領」となるデクラーク現大統領と協議し、最終決定するとした。副大統領は、新大統領を選出する国会(9日)で、他の閣僚とともに新大統領に任命される。
 ムベキ氏は、ANC内の名門の出で、オリバー・タンボANC前議長の右腕として知られ、長年の亡命生活により英国、アフリカ各国に知人が多いことから、ANC外交局長も歴任した人物。人当たりの良さにより、対立してきた黒人右派政党「インカタ自由党(IFP)」など、他党との関係も良好だ。
 この副大統領人事は、マンデラ新大統領率いる連立政権「国民統合政府」の性格を決定する最重要要素として、注目されていた。ムベキ氏に決定したことは、マンデラ議長が、新政府を、他党との合意達成を最優先する、文字通りの「国民統合政府」として、対立候補とされるシリル・ラマポーサ事務局長(41)との比較の上で「年功序列」にも配慮したことを示している。
 ヨハネスブルクのウィットウォータースランド大学の「政策研究所」のクリス・ランズバーグ研究員は、読売新聞に対して、「これは、マンデラ氏が、自身の正式後継者をムベキ氏としたことを示すものだ」と語った。

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ANC得票率伸び悩む インカタ9.1%に

(ヨハネスブルク6日)94.5.7読売

 南アフリカ共和国の制憲議会選挙は6日午前、約84%が開票された段階で、勝利を確実にしている「アフリカ民族会議(ANC)」が得票率63.7%と、伸びがやや鈍っている。国民党は20.6%まで落とした。
 ナタール州を地盤とするズールー族政党「インカタ自由党」と盛り返した。選挙管理委員会(IEC)は同日午後にも、非公式最終結果を発表する予定だ。
 これを受け、9日にケープタウンで初の制憲議会選挙が召集され、マンデラANC議長が同国史上初の黒人大統領に選出される。
 マンデラ新大統領は翌10日、プレトリアで就任式に望む。式にはゴア米副大統領、ヒラリー・クリントン米大統領夫人、英国のフィリップ殿下ら元首クラスら多数を含む世界各国からの約5千人が招かれる。招待状はキューバのカストロ国家評議会議長、リビアのカダフィ大佐にも送られているが、まだ返事はないという。
 日本からは中西啓介・元防衛庁長官が政府特使として望む。

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南ア選挙最終得票 ANC2/3届かず

(ミッドランド(ヨハネスブルク近郊)6日)94.5.8読売

 南ア制憲議会選挙、主な政党の得票数(非公式最終結果)

 アフリカ民族会議(ANC)   12,237,655(62.6%)
 国民党              3,983,690(20.4%)
 インカタ自由党(IFP)     2,058,294(10.5%)
 自由戦線(FF)           424,555( 2.2%)
 民主党(DP)            338,426( 1.7%)
 パンアフリカニスト会議(PAC)   243,478( 1.2%)

 南アフリカ共和国の選挙管理委員会(IEC)は6日午後、制憲議会選挙の開票結果(非公式)を発表した。それによると、アフリカ民族会議(ANC)の得票は、他党の合意なしに正式憲法を制憲議会で採択できる3分の2には及ばなかったものの、62.6%を獲得した。国民党は副大統領ポストを得るのに必要な20%を確保した。ナタール州を地盤とするズールー族政党のインカタ自由党(IFP)は10.5%を獲得、予想を上回る善戦だった。アフリカーナーによる民族自治州を目指す自由戦線(FF)は目標の4%に及ばず、2.2%に終わった。
 これで、制憲議会下院(400議席)のうち主な政党の議席配分は、ANC252、国民党82、IFP43、FF9などとなった。
 一方、IFPスポークスマンは同日、同党が新政府に参加することを明言した。

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南ア州議会選挙 ANC7州制す 2州で敗北

(ヨハネスブルク6日)94.5.8読売

 南アフリカ共和国の選挙管理委員会は6日夜、制憲議会選挙と同時に行われた州議会選挙の非公式最終結果を発表、これによると、「アフリカ民族会議(ANC)」が全国9つの州のうち7州で第1党となったが、西ケープ、クワズールー・ナタールの両州では他党に敗北した。
 17世紀の白人入植者の玄関口となった西ケープ州では、現政府の与党国民党が州議会議席の過半数を抑えた。また、黒人右派政党「インカタ自由党」の地盤、ナタール州では、同党が81議席41議席を占め、第1党となった。
 州政府は、州憲法制定権など一定の権限を持つ。また、各州議会から10人ずつ選出する制憲議会上院(90議席)は州権限を守るうえで大きな影響力を持っている。

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