南アフリカの古いニュース

世界の目 Global Views

コリン・スマッツ(南アフリカ、作家)
腐敗エリートが諸悪の根源
【訳・白戸】

 植民地主義の終焉後、大半のアフリカ諸国は平和と安定と繁栄の代わりに、植民地時代よりも深刻な貧困や社会の混乱、不安定を経験した。なぜなのか。
 豊富な資源と人々を養うに足る豊かな土地に恵まれ、多量の野菜や果物を輸出し、世界に類を見ない野生生物と景観を有しながら、なぜアフリカは民を養えず、1人当たり国民所得は世界最低なのか。なぜアフリカは発展しないのか。その理由は長年、旧宗主国の支配が人間開発の進ちょくを妨げる「新植民地主義の結果」として説明されてきた。だが独立後40余年、今もそれが「理由」なのだろうか。
 我々は今、南アフリカで、かつての(解放闘争の)同士が政権入りするのを目の当たりにしている。そして、その南ア政府は、ジンバブエのムカベ政権を擁護しているのだ。
 我々がたどり着く唯一の結論は、アフリカは、良質の統治機構を発展させる国益と視野を欠いた腐敗エリートにむしばまれたということだ。エリート集団は18、19世紀欧州の専制君主のような「王権神授」に基づいて支配を行った。彼らは権力のいす取りゲームに没頭し、ある集団が排斥されると、別の集団が大多数の人々の難民化、貧困化をよそに権力を奪い取るのだ。
 一体、どれだけの国が国民を利する経済運営を行ってきたかを問う必要がある。エチオピアでは、80年代初頭に続き、再び数百万人の人々が飢餓に直面しているにもかかわらず、政府は対エリトリア紛争に没頭した。政府は「飢餓の原因は干ばつだ」と言うが、悪政こそが原因ではないのか。最悪の事例はジンバブエ。権力に固執する支配者層が数百万人を貧困と失業に追い込んだこの国が、「アフリカの穀倉」と呼ばれたのはそう昔のことではない。
 南アのムベキ大統領によって開発戦略「NEPAD」(アフリカ開発のための新しいパートナーシップ)が示されている。だが、南アのムベキ大統領らは、ムカベ大統領のごときならず者国家やスワジランドのような封建的専制君主体制に対し、自らの理念にふさわしい行動を取ることができない。アフリカは何に希望を見いだせばよいのだろうか。

2003.8.11 毎日新聞