南アフリカの古いニュース

"結納金"ロボラは万一の備え

 「ロボラ」と呼ばれる結婚資金の取材で、南アフリカ・ヨハネスブルク郊外に足をのばした。お目当ては。レトラ・マベトワさん(22)と、婚約者のトボゴ・レフツォさん(29)だ。
 7月14日に男児が生まれたが、2人はまだ結婚していない。レフツォさんがロボラを完済しておらず、同居が認められないからだ。「一緒に暮らせるようになるまで、我慢するしかないわ」と残念そうだった。
 ロボラはアフリカの黒人社会で続く風習で、日本の結納金に近い。花婿が花嫁の親に払い、金額は両家の親族男性が話し合いで決める。女性の学歴、年齢などが考慮され、良家であれば額も上がる。南アでは、伝統的に金額は「牛何頭分」で表わされる。
 マベトワさんの場合は相場の「牛10頭」(1万ランド、約18万円)で、6頭分の支払いが残っている。理容師として働くレフツォさんは「何とか半年後には払い終えたい。彼女の両親に敬意を示すためにも、男はロボラを払わなきゃいけないんだ」と話していた。
 南アの黒人世帯の平均年収は2万6000ランド(約47万円)だから、1万ランドは大金だ。黒人の失業率は約43%で、無収入の男性は親族に支援をあおぎ、必死でロボラを支払う。逆に、娘を持つことは「財産」になるわけで、女児が生まれると親は喜ぶ。このため、「ロボラは女性の人身売買。女性蔑視を助長する」との批判も根強い。
 とはいえ、ロボラには大事な役割がある。新婚生活の万一に備える意味があるのだ。ロボラは妻の実家で管理し、挙式費用や新婚生活に必要な家財を購入して余った金を、病気などの緊急時のために蓄えておく。
 「貧困がなくならない以上、若いカップルの生活を保障するロボラは必要」と、南アの女性人権保護団体「POWA」のナディラ・オマルジー研究主任は言う。
 社会保障制度が整備途上のアフリカで、急病や事故の時は、親族間の助け合いが頼みの綱。批判はあるが、ロボラは黒人社会に欠かせないような社会制度のようだ。

2004.08.03 読売新聞(加藤氏)

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