2005年10月1日 毎日新聞

世界の目 Global Views

コリン・スマッツ(南アフリカ、作家)
「ズマゲート」事件に注目
【訳・山本】

 ズマ副大統領解任まで南アフリカのムベキ大統領は堅固な地位を築いているようにみえた。しかし過去数カ月でビルが崩壊するようにすべてが変わった。
 ムベキ大統領は与党アフリカ民族会議(ANC)の議長でもあり、彼はズマ氏をANC副議長からも解任した。その後に5年の1度のANC総会で、大統領は労働法改正やズマ氏解任の同意を諮ろうとしたが実現せず、ズマ氏はANC副議長に返り咲き、壇上で大統領の隣に座った。総会では大統領の持つ州知事や市長の指名権に対し異議を申し立てられ、ズマ氏に対する大統領の謀略が非難された。
 大統領はさらに皆の怒りの火に油を注ぐかのように、ズマ氏解任の調査を指揮した検察庁の元長官の妻を副大統領に指名。彼女は会合であいさつするたび聴衆からやじを浴びている。
 南ア労働組合会議はズマ氏の副大統領への復権と、収賄罪の容疑を晴らす決議を採択した。しかし完全武装した検察当局者がズマ氏と弁護士の自宅を襲った。こうした襲撃はアパルトヘイト(人種隔離)体制時を思い起こさせるものだった。検察はズマ氏宅からコンピューターのディスクや文書を押収した。
 ズマ氏の事件は、国とANC、ANC同盟組織を二分した。共産党と南ア労働組合会議もズマ氏を支持、収賄罪の取り下げと副大統領への復権を求めている。検察庁長官は大統領の支配下にあり、その了承なしには動かないと言われている。ズマ氏は、不正な武器取引にかかわる本当の悪者から目をくらませるため、いけにえにされたという評論家もいる。また、独裁的で人心を顧みようとしないムベキ大統領に対抗するため、ズマ氏支持の運動をもっと盛り上げるべきだという人もいる。
 ズマ氏は、検察の家宅捜索を法廷闘争に持ち込んだ。判決は捜索を違法と認定し、検察に押収文書の返還を命じ、検察側は控訴した。不可解なのは、検察当局が3年前に、ズマ氏への容疑を認めながら起訴しなかったことだ。彼らは今になって証拠探しを急いでいるようだ。
 9月初旬、ANCはムベキ大統領とズマ氏に事態収拾を呼びかけた。この問題からは今後も目が離せない。

新聞記事を勝手に掲載していることをお詫び致します