2007年1月4日、毎日新聞

世界の目 Global Views

コリン・スマッツ(南アフリカ・作家)
南アW杯サッカー成功するか
【訳・大前仁】

 南アフリカは2010年サッカー・ワールドカップ(W杯)開催国の座を勝ち取った。第三世界では数回しか開かれていないイベントがアフリカで開催されることは素晴らしい。  しかし、南アでは民主化が始まった90年以降、ほとんどの都市に犯罪が押し寄せてきた。殺人事件の起訴率は15%、車の強奪、強盗、空き巣にいたっては10%である。ヨハネスブルクは国内で最悪の状況にあり、夕方6時以降は無法地帯と化している。警察は機能していないし、内務省は汚職にまみれ無能であり、安全で普通に機能する公共の交通機関すら欠けている。
 政府は外国からのW杯観戦客を念頭に230億ランド(約4250億円)をかけ、空港とヨハネスブルク、首都プレトリアを結ぶ高速鉄道「ガウトレイン」を建設しているようだ。問題は、平均的な南ア国民にとっては運賃が高すぎて鉄道を利用できないことだ。1日平均6万人の乗客を集めないと、南アの納税者が鉄道会社を補助しなければならなくなる。
 議会の交通委員会は「上層階級のためのものだ」と鉄道建設に反対したが、内閣が委員会の決定を覆し建設を承認した。しかも賛成した何人かの閣僚や下院議長が建設運営会社の株を保有していることが判明した。鉄道は、本当に取り組まなければならない問題から人々の目をそらし、W杯観戦客にいい印象を与えるための、政治家好みの、威信のための無意味なプロジェクトなのだろうか。
 W杯の期間中、貧しい人々や犯罪者たちは貧民街に閉じ込められるのだろうか。それとも政府は重い腰を上げて国中にまん延している犯罪、汚職、貧困の問題に立ち向かうのだろうか。もし適切かつ継続可能な方法で対処すれば、問題は解決する絶好の機会になるだろう。だがそうでない場合どうなるのか。予想するだけでぞっとする。
 問題はあらゆる階層の南ア国民が恐ろしい犯罪とひどい交通機関と汚職の被害者となっていることだ。政府はいつも政策を立案し法制化するまでは優れているが、実行が伴っていない。南ア国民と訪問客とW杯の将来のため、適切に問題に対応してもらいたい。

新聞記事を勝手に掲載していることをお詫び致します

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