南アフリカの古いニュース

南アフリカ特集
自然の恵み豊かな南ア

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

経済支える鉱物資源

外資導入に活路
雇用・経費減両立がカギ

 南アは金、白金、マンガンなど、数多くの鉱産物資源の埋蔵量で世界1を誇る。ダイヤモンドや石炭も世界で4、5位の埋蔵量を持つ「資源大国」で、日本企業をはじめ外国企業の目を引き付けている。
 豊富な資源を背景に、南アの鉱業は国内総生産の1割を占める。鉱産物は全輸出の約6割に及び、とくに金だけで3割強に達する最大の外貨獲得源でもある。地下資源の乏しい日本にとっては希少資源の重要な供給先で、クロムやマンガンは日本の全輸入量の6割前後を南ア1国で占める。
 南ア経済を支えてきた鉱業も、近年は停滞気味だ。南ア鉱業会議所によると、金だけでも過去6〜7年に労働者15万5000人の削減に老い込まれた。アパルトヘイト(人種隔離)政策に反対する国際社会の経済制裁の影響のほか、金をはじめとする国際商品価格下落が響いた。
 しかし南アの民主化を受けて経済制裁解除、商品市況の改善と、鉱業を取り巻く環境には明るさがのぞいている。黒人主導の新政権のもとで緊張の高まりが予想されていた労使関係も、今年の賃金改定交渉はストなしで乗り切り、業界関係者は自信を深めている。
 中長期的な課題としては、まず鉱業権をめぐる論争がある。他の多くの資源国と異なり、南アでは鉱業権は国内の民間鉱山会社が所有し、自ら決めた計画に沿って採掘している。これを国家保有に移し、より国益に沿った資源開発を進めるべきだとの議論が政府内部に存在する。
 もっとも黒人主導の最大政党、アフリカ民族会議(ANC)は鉱業そのものの国有化を検討していあた。しかし社会主義的な経済政策には内外の経済界の反発が強く断念。その代わりに鉱業権だけでも国家の手に、という声がANCには根強い。
 鉱業権の移譲推進派は、国家が管理すれば歳入増にもつながるほか、既存の国内企業の独占体制を崩すことで黒人ビジネスの新規参入を促したり、外国企業との競争で効率の向上を図ることができる、と主張する。これに対し現状維持派は「いままで埋蔵資源に関する調査を進めてきた企業側の負担をどう補償するのか」と反論している。
 南ア政府は外国資本の導入には踏み切る方針で、このほど欧米メジャーに資源探査活動への参加を打診した模様だ。
 金の分野では、労働集約的な体質に伴うコスト高対策も課題となっている。南アの金鉱の採掘現場は地下4キロメートル程度と、世界で最も深い。「この深さでは機械化は困難なうえ、作業に冷却設備が必要となりコストがかさむ」と南ア鉱業会議所のクリエル広報部長は指摘する。
 同部長はまた、オーストラリアやカナダなどの資源国と異なり、「発展途上国の南アでは雇用が重視されるので、この面からも機械化には制約がある」と語る。同部長によると、現在のコストを前提にすべての鉱区で利益をあげるには、1オンス=420ドルまで金価格が上昇する必要があり、現行の価格水準では雇用維持とコスト削減の両立が求められそうだ。

南アの主要鉱産物埋蔵量の世界全体に占めるシェア
白金:    88% (世界1位)
マンガン:  83% (世界1位)
クロム:   72% (世界1位)
バナジウム: 44% (世界1位)
金:     40% (世界1位)
ウラン:   13% (世界3位)
チタン:   11% (世界4位)
(出典)南ア鉱業局、93年調べ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

金融市場に高い関心

国債格付け割れる
株式持ち合い、流動性低い

 長期国債の信用力はメキシコと同等かそれ以上、証券市場の規模はフランクフルト、チューリヒなど欧州の主要市場と肩を並べる――。投資先としての南アをひと言で表現するとこうなる。民主化に伴い、いわゆる新興市場(エマージング・マーケット)としての南アに海外の投資家の関心が集まりつつある。しかし、先進国的な顔と発展途上国の要素とを併せ持つ南ア市場の実力と可能性を、正確に把握するのは容易ではない。
 10月上旬に米国の2つの有力格付け機関が発表した南アの外貨建て長期国債への初の格付けは、評価が分かれて話題になった。ムーディーズが投資適格の「Baa3」(BBBマイナスに相当)と格付け一方、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は投資適格を下回る「BB」にとどめた。
 これに先立ち英国の格付け機関、IBCAはS&Pと同じBBと格付けし、これはメキシコ、アルゼンチン、ハンガリー並みだと説明した。ムーディーズの評価に従えば、南ア政府の信用力はメキシコより高いことになる。
 ムーディーズは「合格点」を与えた理由として、対外債務の少なさ、財政赤字削減への取り組み、さらに5月に発足したマンデラ政権のもとで政、官、財の各界が政治・経済運営を効果的に実施すると期待されることをあげた。これに対しS&Pは、黒人の生活向上のための財政支出への拡大圧力が強いことなど、経済運営に対する不安を重視した。両機関の見解の相違は、揺れ動く外国投資家への南アへの評価をそのまま反映したといえそうだ。
 国際資本市場での南アの本格的資金調達はこれからというところだが、南アの証券市場を通しては既に、外国からの投資資金が入ってきている。エマージングマーケット指数にも10%を上回る構成比率で組み込まれつつある。5月に発足したマンデラ政権が無難なスタートを切ったことが好感されており、ヨハネスブルク証券取引所(JSE)の全業種平均株価指数は年初から9カ月間で15%上昇している。
 JSEは時価総額で世界10位の規模で、上場企業は638社ある。しかし株式の持ち合いが日本以上に進んでおり、流動性の低い点が海外の投資家の不安要因になっている。アングロ・アメリカンをはじめとする6大財閥だけで時価総額の85%を保有しているといわれ、売買回転率(時価総額に対する売買代金に比率)はきわめて低い。
 JSE関係者は株式の持ち合いが進んだ理由として、為替規制で南ア企業および機関投資家の海外への投資が禁じられている点をあげる。資金運用が国内に限られるため、勢い株式市場に流れ込んだ資金はとどまり続けることになる。為替規制は当分維持される見通しだ。
 外国の投資家が注目しているもうひとつの制度は、非居住者の資本取引用の金融ランドと、居住者用の商業ランドの並存という二重為替制度だ。金融ランドは商業ランドより20%程度割安で、外国の投資家はこの金融ランドで南アの証券に投資する。しかし金融ランドは取引量が少なく価値が不安定なので、外国の投資家の間では商業ランドと一本化すべきだいという声が一般的だ。
 JSEは会員権の対外開放に動いているほか、日本の個人投資家による取引を可能にするため、日本証券業協会にJSEを指定証券取引所として認定するよう働き掛けている。南ア証券市場に日本の資金が大量に流れ込むには、制度の整備に加え、前提として南アの政治・経済情勢の安定が不可欠だろう。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

[観光] ケープ半島

喜望峰や自然保護区
岩山頂上から市街一望

 南アフリカ発祥の地として、「マザーシティー」と呼ばれるケープタウンは風光明媚なうえ坂道が多く、米国のサンフランシスコを思わせるような港町。頂上から見た市街の風景が素晴らしい岩山テーブルマウンテンとともにケープタウン観光のハイライトとなるのが、喜望峰を含めたケープ半島めぐりだ。
 市街からケープ半島の南端に位置する喜望峰までは約80キロ、車で約1時間半の距離。地元のツアーガイドの、ロバート・ハーブルッゲンさんと一緒に往復6時間かけて半島を回った。ケープタウンを車で出発してから20分。最初のみどころのホウトベイに到着した。大西洋に面した美しい入江をもつ港町だ。
 この港町から海岸沿いに南へ行くと、チャップマンズピークに出る。ホウトベイの美しい海岸線が見られる半島でも有数のドライブコースだ。約10キロのコースを抜けた後、東南に進路を変え半島を横切ると今度はインド洋が眼下に広がる。海岸沿いに点在するいくつかの港町を通り過ぎて南下すると、喜望峰自然保護区に到着する。
 面積7700ヘクタールのこの自然保護区にはケープ・フィンボス、プロティア、ヒースなどの自然の草花が保護されており、オオヤマネコ、マウンテン・ゼブラなど野生の動物が生息している。保護区の植物を観察しながら南に進むといよいよ喜望峰だ。
 フォールズ湾の景観を楽しめる半島突端のケープ・ポイントに行き、石段で丘の上に昇ると眼下に喜望峰が見える。左にインド洋、右に大西洋が広がり、遠い大航海時代のロマンがよみがえる。
 喜望峰はアフリカ大陸最南端の地として知られているが、実際にはフォールズ湾を隔てた南東約160キロの地点にあるアグラス岬が最南端だ。喜望峰の方が有名なのは、1488年、ポルトガルの航海家ディアスが発見、嵐の岬と命名したため。インド洋航海の開設に伴い、ポルトガル王がここを喜望峰と改名、現在に至っている。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

[観光] サン・シティー

新しい複合リゾート
サファリや「古代都市」再現

 南アフリカの新しいリゾートタウンとして最近とみに注目を集めているのが、ヨハネスブルクの北西約130キロに位置するサン・シティーである。4つのホテルを中心にした複合リゾート施設だが、ホテルに隣接した自然公園でサファリを楽しめるなど、南アの広大な自然を活用しているのが特徴だ。
 ヨハネスブルクからは空路45分。ヤン・スマッツ空港から毎日定期便が飛んでいる。車では約2時間。雄大な風景を楽しみながら車を走らせると、自然の中にこつ然とサン・シティーの街が現れる。
 ホテルは米国のラスベガスを思わせるようなカジノを持つサン・シティー、子供たちが動物と遊べるように作られた「アニマル・ワールド」があるコテージ型のカバーナス、ピラミッド型の外観のキャスケードと2年前にオープンしたばかりのザ・パレスの4つ。
 中核になるザ・パレスは古代部族の王宮をイメージした堂々たる外観。このホテルにはサーフィンもできる「波が立つプール」をはじめとした各種プール、ウォータースライダーなどがあり、人工的に植林された熱帯植物に縁取られた広大なウォーターパークがいやがうえにもリゾート気分を盛り上げる。
 このホテルを中心とした区域は別名「ザ・ロスト・シティー(失われた都市)」と呼ばれる。この地域には、数千年前、北アフリカから来た遊牧民による高度に発展した文明が存在し、巨大な宮殿が建てられたが、大地震によって崩壊した、との伝説がある。ザ・パレスとその周辺施設はその伝説上の古代都市を再現しており、「アフリカのジャングルの谷間の中に再発見された文明」がリゾートのテーマになっている。ザ・ロスト・シティーだけで建設費は約3億ドルという。
 サン・シティーに隣接した6万ヘクタールのピラネスバーグ国立公園ではゾウ、サイ、キリンなど野生動物が観察できる。早朝サファリに出かけた後、日中はウォーターパークで日光浴、夕方から夜にかけてはカジノのほか、ショーやコンサートなど各種イベントと一日中楽しめる。今秋は7000人収容の大ホールでミス南アフリカコンテストや大物ロック歌手のコンサートなどが開かれた。
 ザ・パレスの関係者によると、観光客の60%は国内客で、外国からは米、英、独などの観光客が多いという。

1994.11.04 日経新聞

新聞記事を勝手に掲載していることをお詫び致します