南アフリカの古いニュース

世界の論調
南アで凶悪犯罪激増

 南アフリカでは経済困難を背景に、凶悪犯罪が激増。特に殺人事件に関しては世界一の多発国となってしまった。

 「ある晴れた日曜の午後、ヨハネスブルク近郊にあるシェレン氏所有の農場に男女、子供計24人が集まり、グループに分かれて、車を強奪する最もうまい方法を検討した」
 「あるグループは、子供を道路に寝かせ、ドライバーが車を止めた時に頭に銃を突き付け、車を奪おうと決めた。別のグループはもっと手のかからない手段を選んだ。彼らの代表の説明では、『一時停止の標識がある所で待ち、窓越しにドライバーを撃つ。失敗したら、次ぎの車を狙えばいい』とのことだった」
 「彼らは、冷酷な犯罪者ではなく、ビジネスマンや主婦、年金生活者だ。南アフリカで5分30秒に1件の率で起きる犯罪の被害を免れるため、シェレン氏の指導の下、車を強奪する犯人の身になって考えてみることで”心を武装する”術を学んでいるのだ」
 「南アに吹き荒れた政治的暴動はほぼやんだ。だが、世界保健機関(WHO)によれば、凶悪犯罪の発生率上昇で、南アは世界でも最も殺人が多発する国になった。人口10万あたり53.5人が殺されるという発生率は、米国の5倍以上だ。武器を用いての強盗は5分間、殺人は29分間に各1件起きている」
 「専門家は、南アの高い犯罪増加は、主に34%に上る失業率のせいだとする。一部の黒人居住区では、失業率は65%にも上るとみられる。ある銃砲店主は『職が確保されれば、犯罪増加も止まり、銃の需要も減る』と話す」
 「マンデラ大統領は、より強力な犯罪対策を約束した。だが、取り締まり強化自体は歓迎すべきことだが、貧困や飢えを長期的に解決する方策の代用にはならないのだ」

(米「USニューズ・アンド・ワールド・リポート」誌8月21日号)

1995.8.23 読売新聞

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