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Madrid-Aeropuerto de Barajas |
Madrid、Barajas空港に到着したのは朝9時ちょっと前だった。経由地のパリを出てから約1時間強。成
田から27時間近くの長旅がようやく終わった。私と同じルートで日本からここまでやってきた乗客はどう
見てもいないみたい。
初めてスペインに来たのは97年2月。まだイベリア航空直行便がある頃で、夜の到着だった。その時
はスペイン語がわからなかったので、見るもの全てが未知だった。
3年ぶりにして2度目のバラハス空港。なんとなく近代的というか新しくなっているような気がした。あの
時未知の世界だった言葉が、今はわかる。空港内の表示も、看板も、アナウンスも。未知の国だったス
ペインが、私を受け入れてくれた。3年かけて、私はこんなにもスペインに近づいた。それが無性に嬉しく
て、懐かしい空港内をキョロキョロ見回していた。
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記念すべき、私の第2回目のスペイン入国。入国審査で「 留学?」「 Si」なんてやりとりをちょっと想像
していたんだけど、実際は、眠たそうな係員のおじちゃんはパスポートに貼られた学生ビザをちらっと見
て(ほんとに見たのか見てないのかよくわからんぞーというくらい)、なんにも言わずにそこにポポンと入
国スタンプを押してくれた。なーんだ。ちょっとあっけなくてがっかり。でもとりあえずスペイン語で
「Gracias」と言って受け取ってみる。そしたら無愛想なおじちゃん、ちょっとニヤリとした。
留学ビザでスペインへの入国スタンプがないと滞在許可証手続きが面倒らしいのだが、EU諸国の統
合政策のため、ほかのEU国を経由してスペインに来るとバラハスではスタンプが押されない。その点私
はシンガポール経由なので問題なく押された。 ちなみに、バラハス空港の入国スタンプは飛行機の小
さなイラストが描いてあって、カワイイ。

'00年4月8日入国のスタンプが押されたビザ。
飛行機イラストがビザの印字と重なっちゃって残念〜。
さあ、いよいよここからは本当に文字通り「スペイン」の中なのだ。
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荷物受け取り。まずはキャリーカートをGETして、ターンテーブルから出てくる荷物を待つ。何しろ1年の
インターン生活、いくつか事前に郵送したけど、手持ちの荷物もかなり多い。大きなトランク1つ、ノート
PCやら辞書やらを入れた車輪付きキャリーバック1つ、貴重品等の手荷物バック1つ、成田空港の免税
店で出国後に買った(荷物の重量制限対策のため!)日本酒や雑誌、食べ物などを入れた大きな袋。
それらを全部キャリーカートに積むとなんだかスゴイことになった。ホント、「旅行」でなく「滞在」なんだな
ーと誰もが納得する状態。よくこれだけの荷物を1人で、それも追加料金なしで運んでこれたなー、と我
ながら感心してしまう。
そして日本円からペセタへ両替。現地銀行口座を開くまでの生活費分だ。荷物が多いので移動は大
変だったけど、両替窓口は比較的空いていたのでラッキー。
通関も問題なく通過、Sala de llegada(到着ロビー)への自動ドアはもう目の前だ。この外は、もう「空港」
という旅人だけの特殊な空間ではない。普通のスペインの人が、生活がある。よし、行くぞ!と改めて気
合を入れ直し足を踏み出した。
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ドアの外にはたくさんの人が出迎えに来ていて、ロープで仕切られた通路に身を乗り出している。そんな人込みの最前列から、すぐに声が聞こえた。「Maki?Makiでしょ?」それが私のホストファミリーだった。
私の写真は渡西前に郵送しておいたので、向こうはすぐにわかったみたい。お決まりの挨拶、dos besos(両頬へのキス)。慣れなくて、まだちょっと恥ずかしい。
Bienvenida,ようこそスペインへ。遠かったでしょう、疲れたでしょう。
ううん大丈夫。やっと着いたよ。やっと会えたね。
ここマドリードでは、研修校の先生2人の家に順番にステイすることがすでに決まっている。この日迎えに来てくれていたのは、1軒目のファミリアの両親と、2軒目のお父さんと長女。
1軒目パパのTeodro(テオドロ)は、通称がテオ。別の学校のLengua Castellana (カスティージャ語)の先生。カスティージャ語はいわゆる標準スペイン語で、スペイン人にとっての国語みたいなものだ。ママのA'ngeles(アンヘレス)は、通称がAngelines(アンヘリーネス)。私の研修校のラテン語の先生で教務主任でもある。
私とほとんど同世代の子供たちが3人いて、中でも長女のRosa(ロサ)は私と同い年で、日本滞在経験もあるという。国際的な先生一家だ。
そして2軒目パパのRoberto(ロベルト)は研修校の数学教師。日本語勉強中だけどいわゆる「文字おたく」なので会話は殆どできない。3人娘の長女、6歳のIrene(イレネ)は、スペイン人にしては珍しい青い目の美少女。本当はママのAna(アナ)も来たがっていたけど、イレネの双子の妹たち、4歳のCarmen(カルメン)&A'gata(アガタ)が風邪をひいて寝ているので、今日はお留守番。写真では全員見たことあるけど、とにかくこの家はママのアナが美人のせいか、娘3人も超カワイイ。会うのが楽しみだ。
何回も手紙をやり取りしていたせいか、全然初めて会う気がしない。話したいことはたくさん、山のようにあるけど、緊張気味でうまく話せない。そんな私の肩を優しく抱いてくれるアンヘリーネス。そのあったかい笑顔とキスが、何よりの歓迎だよ。 |
とりあえず挨拶を終えて、テオの車で自宅へ向かう。ロベルトとイレネは、車に酔うのでメトロで帰るそうだ。行きもメトロで何回も乗り換えてやって来たという。
Hasta luego アスタルエゴ。またあとでね。みんなでこれからいっぱい話そうね。
バラハス空港から市内までは、車でおよそ20〜30分。あいにく肌寒い朝で、薄曇りの空からは小雨が降っていた。3年前から心に焼き付いている、あの抜けるようなスペインの青空に、早く会いたい。そう思いながら、窓の外に流れていく風景を見つめる。
車中では、完全にスペイン語の"洗礼"。私に話し掛ける時はゆっくり言ってくれるけど、2人が何か話している時は全然わからない。機関銃のように早い。たまに聞き取れる単語を懸命につなぎあわせるが、ぼーっとしてると、言葉はすぐに消えていってしまう。これから1年間、この中で暮らしていけるんだろうか、スペイン語だけで。身が引き締まる思いだった。
「No te preocupes(心配しないで)!」そんな私の様子を察したのか、アンヘリーネスが言う。
「わからないのは当たり前。いつでも、何でも、何度でも聞いてね。Makiがこんな遠くの国までやってきてくれたことが、私たちは本当に嬉しいんだから。」
ああ、大丈夫。私はここで暮らしていける。この家族に出会えた幸運を、心から嬉しく思った。
そして、私たち3人を乗せた車はマドリード市内へと入っていく。渋滞の市街地を通り抜け、赤茶けたマッチ箱のような建物が立ち並ぶ中の1つのピソへと到着した。 |