語学学習


バルセロナはつくづく語学学習(スペイン語もカタラン語も)には向いていない町だと思います.

スペイン語学習には,やはり町中スペイン語であふれるスペイン語圏の町の方が紛らわしくないでしょう.ここは電車の中の表示,案内,通りの名前やポスター,スーパーのちらしなど,カタラン語がほとんど,または併記の場合もカタラン語が目立つようになっているので,スペイン語学習者には紛らわしいし,うっとうしそうです.
気にしなければいいのでしょうが,通りを歩いているときに目や耳に入って来る情報量というのはかなりのものなので,これをことごとく無視して歩くというのはけっこうツライでしょう.
逆に,私など,マドリッドやグラナダに行ったときは,町中の情報が全てスペイン語なので,バルセロナにいるときよりいろんな情報を入手することができ,また,これはスペイン語でこう言うのかぁ,など,ちょっとした表現を覚えたり,やっぱり違うなぁ,と実感させられました.
ある言語を母語としていない地域でその言語を学ぼうとするとしょうがないことだと思いますが.やはり,語学留学の場合は,言語環境をよく考えて生活圏を選ばれた方がいいでしょう.

一方,ではここの母語であるカタラン語を勉強しようとする場合はどうでしょうか.これが,バルセロナではスペイン語以上に難しいのです.
何故か,それはオブリゲーション(義務)が無いからです.

語学学校でできた友達同士は,特に初心者クラスの場合,最初の頃はお互いの通じる言語で話してしまう,これはどんな語学留学でも共通する現象だと思います.おそらくスペイン語初心者の人はスペイン語留学でどこの学校に行っても最初のうちは授業中以外は英語で話してしまうでしょう.私達も休み時間など100%スペイン語で会話してしまっています.

でも,町に出ればどうでしょう?
イタリアに語学留学に来た人は生活するのにイタリア語でしゃべらなければなりません.イギリスに来た人も英語をしゃべらなければ生活できないでしょう.スペインに来た人もそう,英語など通じないですからスペイン語を話すことは義務です.下手でも下手なりに一生懸命努力して,間違えながらも町で会話能力を習得していきます.
この,町での毎日の生活自体が生きた勉強になる,というのが,日本で語学学校に通う場合との大きな違いでしょう.

でも,バルセロナでは,カタラン語をしゃべる必要は無いのです.
町はカタラン語であふれていても,町の人々はみなスペイン語を理解しますので,スペイン語で話していても,日常生活を送る程度では何の不自由も無いのです.お買い物も,友達と話すのも,道を聞くのも,レストランでオーダーするのも,全部スペイン語で大丈夫なのです.
そうすると,まだ始めて間も無いカタラン語と,慣れてるスペイン語では,やはりスペイン語の方がコンフォタブルなので,あえてつたないカタラン語に挑戦することもなく,ついスペイン語ですませてしまいます.
店の人や通りの人も,私など明らかに外人ですから特にでしょうが,スペイン人でもカタラン人ではない移住者の多いバルセロナでは,相手がカタラン語を話せるかどうか確かめるのもなんなんで,まずはスペイン語で話しかける,お客さんからカタラン語で話し掛けてきたらカタラン語で対応,というのが一般的なようです.スペイン語なら誰にでも通じるから,というのが彼らの言い分です.
町の人がもっと普段カタラン語ばかり使っていれば,こちらも頑張れると思うのですが...

カタルーニャのイェイダ県にあるソルソナという町出身の友達が,バルセロナの大学院に入学した当時,「ソルソナではいつもカタラン語を使っていたのに,バルセロナはスペイン語も多く使われていて,なんとなく居心地悪い」と言っていました.彼はとても感じのいい人なので,これは決して排他的な意味ではなく,純粋に自分のまわりの言語環境が変わったことに対する居心地の悪さを白状したものだと思います.
実際,以前ソルソナに自分で行ってみたら,町の人が使っているのは本当にカタラン語ばかりで,レストランなどでスペイン語でオーダーする自分がとても浮いているように感じました.
メニューも,バルセロナではまずスペイン語のメニューがあるのですが,ソルソナではカタラン語のメニューしかありませんでした.けっこう読めなくてお店の人にスペイン語で教えてもらったものです.
たぶん,これはソルソナに限らずカタルーニャの田舎ではどこでもこんなものだと思います.

なんだ,じゃあバルセロナで暮らしている限りはカタラン語できなくてもいいんじゃない,と思われるかもしれません.旅行者なら確かに全く問題ありませんが,やっぱり暮らすとなると,彼らの母語でコミュニケーションしたいと思うようになるし,そうでないと本当にその土地の文化を理解することはできないのではないかと思うのです.
また,そういうメンタルな問題とは別に,もしここで就職したいと思ったとすると,これはカタラン語ができないと難しいです.友達の彼女でスペインの他の地域から来た,スペイン語と英語しかしゃべれないスペイン人は,バルセロナに来てから仕事を探していますがもう半年以上見つかっていません.やはり町の人と母語で会話できないと商売にならないからでしょう.

バルセロナはスペイン語圏でもなければ,純粋なカタラン語圏でもないという状況です.
都会なので,語学以外の勉強をするには専門的な学校もいっぱいあるし,展示会などもいろいろあるし,とてもいい環境とは思うのですが,語学を勉強するにはちょっと難しいところでしょう.



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