モンセラ

バルセロナから内陸側に向かってカタルーニャ公営鉄道またはバスで1時間ほどのところにある奇怪な形状の山,それがモンセラです.モンセラ (Montserrat) とはカタラン語で「ぎざぎざ山」というような意味で,その名の通り,見るからにぎざぎざ,不自然な形であり,その不思議な迫力は見る者誰もを圧倒させます.バルセロナから日帰りで観光できるスポットとして外人観光客にも人気のようです.

  1.カタルーニャの象徴

  2.カタルーニャの英知

  3.修道院,少年聖歌隊

  4.モンセラのチーズ・マト



1.カタルーニャの象徴 上に戻る

一般観光客からすると,この形状のあまりの奇怪さのため,他の見所を忘れそうになりますが,実はこの山の中腹には,カタルーニャ最大の聖地といわれるベネディクト派の修道院があります.
ベネディクト派というのはベネディクトゥスが529年頃モンテカシノに創立したカトリック教会の修道会の一つで,服従・清貧・貞節の三原則に基づく戒律により労働と勉学を重んずる宗派です.

労働と勉学を重んじる,というのはいかにも,几帳面で勉学に仕事に熱心なカタラン人にしっくりくる価値観なのでしょう.実際,モンセラを訪れる人の半分近くはカタラン人,半分近くが外国人,そして残りがその他スペイン人なのですが,一般に外人訪問客は少年聖歌隊の歌を聴く以外は特に宗教的行事に参加しないのに対し,カタラン人訪問客は信心深い人が多く,訪問客の過半数が毎年訪れ(毎年ではないけれども何度か来ている人も合わせると9割),宗教的行事に参加しているそうです.

フランコの独裁時代,カタラン語の使用が禁じられていたときも頑としてカタラン語でミサを行い続けたこともあり,この修道院を含めてモンセラはカタラン人の心のより所,シンボルとなっています.そういえば私がたまたま訪れた日には,カタルーニャの大統領,プジョール君が来ていました.スペインでも一応,憲法で,政治と宗教は分離が定められているのですが(でも祝日にはキリスト教の影響が色濃いですけれど),日本での靖国神社参拝問題に近いような気がしました.

またカタルーニャにはモンセという名の女性が多いのですが,これもモンセラから来ているそうです.




2.カタルーニャの英知 上に戻る

この修道院の特筆すべきは,カタルーニャの英知の中心と言われるほど,博学の僧侶達が住むところとして知られているということです.大学で神学を修めるだけでなく,その後バルセロナのビジネススクール (ESADE:私の通っている学校です) で企業経営,管理手法などを学んでいる人もいます.
 まあビジネススクールに行く人が皆博学というわけでは無いんですけど... 中にはそーゆー人もいるという...(苦笑)

特に1980年代前半からは,宗教的な勤めとともに,山,礼拝堂 (Santuario),修道院 (Monasterio) の3つを1つの複合施設とみなし,この複合施設においてより望ましい経営活動を実現させるための都市計画に関して,並みならぬ努力をしています.
例えば,87年夏には建築家グループを参加させた都市計画コンクールを開催したり,90年にはマーケティング会社にはじめての本格的調査を依頼しているのがその例です.
また,93年には複合施設の財産を管理する組織(設立は1913年:ホテルやレストラン,バー,ロープウェー,本屋,レコード屋,医療施設から郵便,両替などまで提供,監督している)に,やはりESADEのMBA出身で監査法人アーサー・アンダーセン勤務の監査人の1人を顧問兼ジェネラルマネージャーとして迎えいれ,さらにアンダーセンには,前述のマーケティング会社に外部状況分析を依頼したのに並行し,組織の内部状況の分析を依頼し,現状認識,改善の方向を探り,それに向けて絶えず努力しているようです.一般企業であれば特に珍しいことでもありませんが,修道院がここまでしているというのは世界でも珍しいと思います.

あまりコマーシャリズムを意識させないように,というところまで考慮に入れ,かつ,宗教と経済活動の両立を目指しているその姿勢は,私の想像をはるかに超えるものです.
ただし経済活動といっても営利主義ではなく,目的は地域の繁栄のようで,必要とする人に必要とするモノ,サービスを提供したい,なるべく多くの人に訪れてほしいから,彼らが必要とするものを用意しよう,という姿勢が基本になっているようです.




3.修道院,少年聖歌隊 上に戻る

モンセラの見所といえば,まずは,その眼下に広がる見事な絶景だと思うのですが,その他にも,修道院の中にいくつか見所があります.

1つには,黒いマリア,ラ・モネレータとして有名な木彫りのマリア像があります.黒いマリア像というのは珍しいそうなのですが,理由は何らかの化学変化だろうとか,ろうそくのススだろうとか,いろいろ言われています.礼拝堂の2階にあり,上がって触ることができます.私が行ったときは,お昼前の時間帯は非常に混んでいて行列ができていましたが,お昼を食べて2時過ぎくらいに行ったら,全く行列はなくなっていて,ゆっくり見ることができました.修道院の中のステンドグラスも外から光りが差し込み,とても美しかったです.

もう1つの見所(聴き所))と言えば,エスコラニア (Escolania) と呼ばれる少年聖歌隊です.非常に美しい歌声なのですが,私が行った日は,プジョール君が来てたこともあってか,冬の割には異様に訪問客も多かったようで(普通は春から秋にかけての方が多い),合唱が始まってからも妙にざわざわして,少し聴きづらかったです.時間は,ガイドブックによって情報が若干異なるので何なんですが,少なくとも昼の13時からというのは7月以外は毎日あるようです(私はこれを聴きました;ちなみに7月は彼らのお休みです).彼らの歌のCDやテープはお土産屋さんで購入することができます.ビデオもありますが,スペインはPAL式なので,日本で見るにはNTSC方式に変換できる特別なビデオが必要になるでしょう.

なお,冒頭に日帰りできる,と書きましたが,中にはホテルやオスタル(安ホテル)などの宿泊施設もありますし,レストラン,スナックなどもありますので,一泊して早朝のモンセラからの壮大な眺めを堪能するというのも素敵かな,なんて思います.なお予約は要らないと思われます.




4.モンセラのチーズ・マト 上に戻る

モンセラの修道院ではマト (mato) と言われるフレッシュチーズを作っていて,これはカフェで食べることも,お土産屋さんで買い求めることもできます.カテージチーズのような,軽めの,ほろほろした感じのチーズです.カフェではハチミツと一緒に出されますが,これがマトの食べ方なのです.

また,カフェ,お土産屋さん,ともに,マトだけでなく,マトで作ったチーズケーキも置いています.こちらも軽くて,ふわふわしていて,けっこう食べられてしまいます.カフェでは最初からお皿に1切れ乗って出てきますが,実は隣のお土産屋さんで購入して,カフェに持ち込むことも可能です(カフェではコーヒーを頼むだけでも大丈夫です).この,お土産屋さんで買う場合は,グラム売りで好きなだけ頼めますし,若干割安です.具体的には,カフェで頼むとやや小さ目のサイズ(100g程)で400〜450ptsくらいだったと思うのですが,お土産屋さんでは,100g=300ptsでした.150gくらいが日本人にも丁度いいサイズかな,と思います.言えなかったら紙に書いてお店の人に見せればOKでしょう.

ケーキではなくオリジナルのマトは,小さいカップ(200か250gくらいだと思います)が400ptsくらいでした.私が普段買っている他の地域(いずれもカタルーニャ)のマトよりは若干お高めですが,そこは修道院製ですから,ありがたみがあるのかもしれません.



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