クリスマス このページは横浜 Bay Side Waveの
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1998 Yokohama クリスマス色の風景

 1.プレゼントは1月6日に …スペインではサンタとトナカイではなく,3人の賢者がラクダに乗って

 2.街中のイルミネーション …かなり貧相だけど,ま,いっか

 3.クリスマスの飾り付け …クリスマスツリーは輸入モノ,この国ではイエス様の降誕場面の人形飾り

 4.クリスマス菓子はイスラム起源 …キリスト教のお祝いにイスラム伝来菓子って,なんか不思議



1.プレゼントは1月6日に 上に戻る

日本ではクリスマスというと,24日のイブの晩を持って終わる雰囲気ですが,こちらでは1月6日の,三人の賢者の日(Reyes Magosの日)までクリスマスシーズンが続きます.

三人の賢者の日とは,東方の三人の賢者が,イエス様の誕生を祝って贈り物を持ってかけつけたのですが,何しろ昔のこと,足がラクダなので日数がかかり,ベレンに到着したのが年を越して1月6日になったのです.

そして,スペインでは,この三人の賢者が贈り物を持って来てくれたことにちなんで,子供たちは,6日の前夜,1月5日の晩,寝ている間にプレゼントをもらいます.この日は,遠くからやってくる三人の賢者とラクダをねぎらうため,賢者達のためにはトゥロンという甘いお菓子(下に説明あり)とグラスに注いだお酒,そしてラクダのためには水とレンズ豆をお供えしておくのです.

翌朝起きると,あらかじめ出しておいた靴には賢者からの贈り物が,というのが古来からのパターンのようでしたが,最近はアメリカナイズの波で,12月24日の晩にサンタもやってくるようになり,子供たちは,レイェス・マゴスの日には大きなメインプレゼントを,12月25日には小さなプレゼント(お菓子など)をもらえるようになったそうです.

1月5日は,おもちゃを持った3人の賢者のパレードがバルセロナ旧市街をはじめ,各町で見られるそうなので,これは,もし今年見ることができたら,またこのページを更新したいと思います.

そして1月6日当日は,ロスコン・デ・レイェスという大きなリング状のケーキを家族で切り分けて食べます.この中にあらかじめ1つ,小さな人形(昔はソラマメでした)が埋め込まれて焼かれていて,自分の取り分のケーキからその人形が出てきた人が,ボール紙でできた冠をかぶり,王様になります.パン屋さん,ケーキ屋さんでロスコンを買うと,一緒に冠もくれるようです.そして,王様になった人は幸運なので,次のロスコンを買う権利(笑)が与えられ,またみんなでロスコンを食べて,次に人形にあたった人がまた次のロスコンを買って... と繰り返されるそうです.(笑)

こんな感じで浮かれ気分が年越しで1月上旬まで続いたり,子供が2回続けてプレゼントをもらったりするのは,ちょっと原因は違うけれど,日本のクリスマスとお正月のミックス状態に似ていませんか? ちなみに,クリスマスは家族で過ごしますが(1年で唯一,形式的にでも家族が一同集まる日だそうです〜といっても親離れの遅いスペインなので,いい年になっても生活自体は親の家に寄生しているのですが)この間の年末の年越しは,友達とパーティなどをして楽しく過ごすようです.

なお,カタルーニャ州では,この時期,12月25,26日,1月1,6日が祭日で銀行やお店が休みになります.このうち,スペイン全国の祭日は12月25日と1月1日だけです.1月6日は休みの地域が多いようですが.

また,12月28日は正直者の日といって,スペインのエイプリルフールにあたる日で,メディアなどもこぞって笑える嘘を流すそうです(去年はこの時期モロッコにいたので体感していないのですが).4月1日はこの国では何もありません.4月1日が世界のエイプリルフールの日だということを知らない人もいるくらいです.おそらくヨーロッパでもスペインだけがこの日なんじゃないでしょうか.



2.街中のイルミネーション 上に戻る

ランブラ通り バルセロナの街中は,確かにクリスマス用のイルミネーションなどが,ランブラ通りを始めとしてあちこちの通りに飾られているのですが,どうも垢抜けないというか,日本でよく田舎にある○○銀座通りの(逗子にもあります,逗子銀座)電柱に飾ってある蛍光色のビニールのモミジみたいな安っぽさを感じます.

いちばんの目抜き通りのランブラ通りが左の写真に写っている程度,並行する,やはり人通りの多い Portal de l'Angel 通り(エル・コルテ・イングレスの新館のある通り)も,下の写真のようなキッチュなサンタの電飾があるくらいです.イルミネーションというよりは「電飾」という言葉の方が似合いそうな.
いちばんきらびやかな(これでも)空間だけ写しているからか,こうして写真を見ると,実物よりずっと華やかな印象を与えそうな気がしてしまいますが,それは誤解です.(苦笑)

そして他の通りは,下の写真にあるサンタやジングルベルなどと全く同じモチーフです.種類がより少ない組みあわせになりますが.バルセロナ市内はどこも同じものを使っているようです.

「うん,うん,うん,ランブラ,うん」意味不明...
下手にこんな電飾があるよりも,ランブラなどは普段のまま,お花屋さんからの明かりが目立つ方が,よっぽどキレイなのになぁ,と思うのですが,センスの違いなんでしょうか.
しかも夜9時半(だいたいの店の閉店時間)には,ランブラなど一部の通りを除いて消灯してしまうので,頭上の裸電球がよけい安っぽさを演出します.夜は長いバルセロナなのに...

同じヨーロッパでも,イギリスはさすがに,派手に思い切りよくゴージャスな飾り付けでしたが(それでもだいぶ「アメリカナイズ」されてきたと言われているようです).やっぱり,派手な飾り付けはアメリカの商業主義が元祖なんでしょうねぇ.

まあ,スペインでもクリスマスはだいぶ商業的になってきましたが,この電飾の垢抜けなさは最後の砦のように思えるので,ずっとこのままであってほしいなぁと思います.

コルテ新館の通り
左の温度計は12月14日夜9時で18度.やっぱ暖かい.



3.クリスマスの飾り付け 上に戻る

ショーウィンドウの中に飾られたベレン人形
3人の賢者がラクダに乗って馬小屋に到着した場面.
最近でこそ,スペインでも,アメリカナイズされて,街中で大きなクリスマスツリーを見たり,家庭でもツリーを買って来て飾り付けするようになりましたが,もともとはツリーを飾る習慣はありませんでした.

そのかわり,どこの家庭でも飾られていた,そして今でも主役となっているのが,イエス様の馬小屋での誕生場面を再現する模型です.この馬小屋やその周辺を形作る模型の中に,ベレン人形という,イエス様やマリア様,ラクダに3人の賢者など,登場人物のフィギュアを配置します.

注意して歩いていると,街角のパン屋さんやケーキ屋さんなどのショーウィンドウの中に飾られているのを見かけることでしょう.またデパートの地階のクリスマス用品売り場などには,最近はツリーやサンタ,トナカイ人形も多いのですが,箱庭模型キットや周辺アクセサリーなどが所狭しと並んでいます.

また,街中のお店以外でも,バルセロナでは,12月になると,Fira de Santa Llucia といって,カテドラルの前の広場にたくさんのベレン人形の露店が出る市が立ちます.店によってそれぞれ顔の特徴が違ったり,活気もあって,ぐるっと見てまわるととても楽しいです.

イエス様や三人の賢者を始め,いろいろなベレン人形がいるのですが,どの店にも必ず,スボンを降ろしてしゃがんでう○ちをしている人形がいます.これは Caganer(「う○ち人」という意味)と呼ばれ,カタルーニャ地方のベレン人形だけに含まれるものです.
少しわかりにくいですが,上の,人形を配置した模型の写真でも,真ん中より少し右寄りの上の方に,背中を向けて踏ん張っている Caganer がいるんですよ.

何故カタルーニャのベレン人形中には必ず Caganerが入っているか,一説によると,教会のミサなどは厳かで堅苦しい,でも現実の世界では誰だってう○ちをするじゃないか,それを思い出して気楽に行こうよ,常に現実を見ていこうよ,という,カタラン人は常に現実的であることの表われだとか.(無言...)
また別の説によると,う○ちは土に帰ると肥沃となって次の実りをもたらすということから,翌年,将来の実りを約束するもの,という意味が込められているとも言われています.

由来はいずれにしても,カタルーニャの人々は,本当にこの Caganerが好きみたいで,Caganerの絵本も出ていれば,Caganer友の会なんてものまであって,会報を発行していたり,最近では Portal de l'Angel 通りにあるエル・コルテ・イングレスの新館6階の催し物会場(カフェテリア脇で少しわかりにくいけれど)で,いろいろな Caganer人形や本,絵画などを展示した Caganer展まで行われているほどです.
ちなみにその展示会では「どんな人だって」を象徴するよう,修道女,音楽家,サッカー選手,天使,悪魔など,いろんな姿でふんばっている人形が飾られていました.日本の「変わり雛」に似てますね.でも「Van Gaal Caganer」とかは,まだ見てませんけれど...(笑)

なお,愛らしいCaganerをぜひじっくり見てみたいという方は,おもちゃ博物館のあるフィゲラス市役所のWeb上Caganer展へどうぞ.(笑)

カテドラル前のベレン人形市
カテドラル前に並ぶ露店.平日昼間なのでお客さんは少ない.

露店に並ぶベレン人形
どの露店も人形でいっぱい.Caganerもいっぱいいるよ.

さらに,カテドラル前には,ベレン人形の露店だけでなく,階段を降りると,クリスマスリースや,丸太に顔の書いてある機関車トーマスのような人形(下の写真)が売られているコーナーがあります.
この一角は,ちょっと見,お正月の門松やしめ縄が売られているような雰囲気です.

この,丸太に足のはえた,barretinaというカタランの伝統的な赤帽子をかぶった,お茶目な顔の人形は Tio Caga(「う○ちおじさん」の意味)と呼ばれ,これもカタルーニャだけのものです.
このTio Cagaは,イブの晩餐の前に毛布をかけられて食堂に連れてこられ,子供たちが別の部屋に行ってお祈りしている間に親が毛布の下にお菓子やプレゼントをしのばせておきます.そして食堂に戻ってきた子供たちが「う○ちしろ,う○ちしろ,アーモンドとトゥロンをう○ちしろ〜」なんて歌いながら人形をたたいて毛布をどけると,お尻の下からお菓子やプレゼントが現れます.それらがう○ちにたとえられて,Tio Cagaと言われるそうです.何もわざわざそんなものにたとえなくても...と思うのですが,これも Caganer と同じく,自然の栄養の循環,新しい息吹誕生の元となるものを象徴しているのでしょう.

Tio Caga Tio CagaTio Caga
未来を真っ直ぐ見つめる純真な少年タイプみんなでじゃれあっておどけてる?机の上にはミニチュアがいっぱい

それにしても,本当にカタランの人たちはう○ちが好きなんだなぁ,と変に納得してしまうシーズンです.やっぱり,ウンがつくから好きなのかなぁ... (笑)

でも,このベレン人形市の様子は本当に美しく,アメリカや東京の派手なデコレーションやイルミネーションに比べると地味ではありますが,これはこれで,見ていて心が和んでいいなぁ,なんて思うこの頃です.



4.クリスマス菓子はイスラム起源 上に戻る

スーパーの棚を占領するトゥロン クリスマスといえば,スペインではデコレーションケーキやブッシュ・ド・ノエルのようなクリーム,バター,スポンジ系のケーキではありません.

いちばん代表的,そして必須のお菓子はトゥロンと呼ばれる,ハチミツ・アーモンド.砂糖・卵などを原料とする,甘〜い板状のヌガー菓子です.11月1日の諸聖人の日を過ぎるとぼちぼち町のパステレリア(お菓子屋さん,ケーキ屋さん)やスーパーの棚などにも並び始め,11月下旬にもなると大手スーパーなどは,通路一列,両側全てが各社各種のトゥロンで占められ,その様子は圧巻です.

通路一列分ダーッと並ぶトゥロン

街のお菓子屋さんでは巨大な固まりを切り分けて量り売りしてくれるところもありますが,だいたい長方形の板チョコより少し大きいくらいのパッケージで売られています.

タイプはハード,セミハード,ソフトなどさまざまですが,これらをボキッと割る,あるいはナイフを入れるなど,いずれにしても一口サイズにして食べます.そのままかじりつくには,あまりに甘すぎるので...(経験者)

スーパーに行くとチョコレート,卵の黄身,ココナツ,フルーツ,ライスパフ&シナモン入り(アロス・コン・レチェ味と呼ばれる),最近のダイエットブームを反映して無糖タイプ(でもきっとすごく甘いと思う)など,いろいろ出ていますが,いちばん伝統的で有名なものは,Turron de Jijona という,アーモンドやヘーゼルナッツをすり潰して作るソフトタイプのものと,Turron de Alicante という,アーモンドのごろごろ入ったハードタイプのものです.

お菓子屋さんのトゥロン
トゥロン専門店に並ぶトゥロン,かなり重い.

その他,クリスマスに食べるお菓子としては,ポルボロン,マンテカド(アーモンド,ラードを使った焼き菓子;マラガのアンテケーラ,セビーヤのエステパが最も有名)や,マサパン(アーモンドと砂糖を等量で練ったもの,アーモンドで作るヨーロッパ版あんこ:トレドが有名)で作るフィグリタス・デ・マサパン(一口サイズのマサパン細工,あんこ玉みたい),マサパン・デ・ソト(円柱に近い厚みのある,シロップでかなりジューシーな円型マサパン),パン・デ・カディス(小さなパウンド型のマサパン版月餅,羊羹のように切って食べる.),アルファホレス(トゥロンの原形とも言われる,アーモンド,蜂蜜,シナモン,ラードを使った,日本の茶菓子の「五家宝」に似た食感,大きさのお菓子;マラガのアンテケーラ,カディスのメディナ・シドニアが有名),マルケサス(アーモンド粉入り角型ミニマドレーヌ),ロスコス・デ・ビノ,ロスコス・デ・アニス(ワインまたはアニス風味のリング状の焼き菓子;グラナダのアルプハラが有名)など,とにかくアーモンドを使ったお菓子やアンダルシア地方の銘菓が多いです.今はどれも,全国でクリスマス菓子として食べられていますが.

しかし元を正せば,実はトゥロンもマサパンもポルボロンもマンテカドも,全てイスラムの人々によってもたらされたものなのです.
トレドは,かつてイスラム教徒に支配された町だし,メディナ・シドニアはかつてアル・アンダルス(今で言うスペインのアンダルシア地方を支配したイスラム教徒が,自分たちの故郷のアンダルシアに似ていたため「新しいアンダルシア」という意味の名前をつけた土地)あるいはイスラム世界のお菓子の都とも言われた町だし,アルプハラもアラブの落人の里だったし(山奥の小さな村なのにクスクスを出すレストランが多いのもその名残).

ちなみに,マサパンは,ペルシア起源と言われていますが,イスラムでは人物や動物などの偶像を象ることが禁止されているので,モロッコ経由でスペインに入って来た後も,あの意味の無さそうな,ただの模様のような形になったそうです.でも最近のスペインでは,動物を形どったものもけっこう作られていますが.

多くのお菓子にラード(豚の油脂)が使われているのは,イスラムなのに?と思うところですが,おそらくオリジナルは牛脂など他の油脂を使っていたものが,スペインのマタンサ(豚殺し)の習慣と融合して,大量に取れる豚の油を使うようになったのではないかと思います.

それにしても,クリスマスというキリスト教のイベントに,イスラム起源のお菓子でお祝いをするのって,なんか面白いと思いませんか?
もっともクリスマス菓子に限らず,チュロスやブニュエロ,ペスティーニョなど,スペインの代表的な揚げ菓子はすべてアラブ由来と言われていますが.偉大な文化を持っていたイスラム国のおかげで,お菓子文化も含め,スペイン文化が幅広く色彩豊かに育ったのですね.昔,中国からお茶や宗教,学問などいろいろ吸収し,独自に発展させた日本のように.

美味しいお菓子はかつての敵対関係の記憶を消滅させるんだな,と,なんだか幸せな気持ちになります.早く,南北の壁(ヨーロッパの人はアフリカにビザ無しで行けるけれど逆は要ビザ)が終焉を迎えるといいなぁ,と心から思います.



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