『a not-rich's guide to London』とは……

 

2分冊形式だった『a music-lover's guide to London』の1分冊。

作者が『イギリスのこと。』以前に
知人と組んで作っていた音楽のファンジンの
ロンドン生活のコラムをまとめたもの。

実際にフラットを借りて生活してみて
「こういうことが前もってわかってたらよかったのに」などと
作者自身が思った生活情報をまとめたもの。

情報としては1993年または
それ以前の体験がベースになっているので,
イギリスの景気が好くなった今,
多少変わってきていることがあるかもしれませんが,
基本的に生活の仕方というものは
そんなに簡単に変わらないと思うので,
このサイトでは,
当時のままでは通用しなくなってしまった部分だけを
アップデートして
『イギリスで時間とお金を使うツボ』としてまとめています。

当時のあと書き(1995年5月3日)より

今更のごとく,1992年秋から約5ヶ月のオドロキモモノキサンショノキ的滞在経験を基に,1993年から1994年に組々と発表していた文章を1冊にまとめてみました。生活環境(基本的に数年の間でそんなに大幅に変わるものでもない)の話が中心なので,古くて参考にならないということはないと思います。ただし,ロンドンで生活するに当たって,大きく変化したこともあります。ひとつは,文中で何回も触れられているIRA(アイルランド共和国軍)が,英国との停戦協定に応じ,現在テロ活動は行なっていないということ。(注:これは1993年5月の文章です。)もうロンドンの地下鉄にbomb scareはなくなっている!(かといって,地下鉄が時刻表通りにスムーズに運行されているかどうかは分からないけど。)そんなことでロンドンに行く予定が特にあるわけでもないのに喜んでいるスキに,今度は東京の「安全神話」が崩れてしまった……世の中,わからないものです。というわけで, IRA関連の所は過去の話として読んでください。もうひとつは為替相場。1992年には£1=¥250だったのが,今や半140。家賃£50が¥12,500から¥7,000になっちゃったわけで,それ考えると個人的にアタマ来る。 為替相場の変動につられて向こうでの物の価値が下落しているわけでもないのに,結果的に我々の財布から出ていくお金は少なくなってるわけで,ほんとに自分の中に何らかの価値基準を持ってないと,どうにかなってしまいそう。

この体験記を"a not-rich's guide"と名付けたのは,あちらで暮らしているときに,失集中で交通費が出せなくて何もできない状態の友人に"You are not poor; you're rich enough to keep yourself and have yourself a good time outside this house."と真顔で言われたから。彼の感覚からしてみれば,はるばる地球の反対側から飛行機に乗ってロンドンまでやってきた,しかも漠然とした目的のためだけに,というだけで,私は"a rich girl from a rich country"だったのかもしれない。でも,自分の感覚としては決してrichではなかった。会社に勤めて貯めた金を全部持って行って,それが尽きたらマジで無一文,毎日遊んで暮らしているわけではなく,£5が出せなくてバンドを見るのをあきらめたこともしょっちゅうだし,食べ物だって贅沢してないし,……なのに"not poor"。これって感覚的に変じゃない?だからひっくり返して"not rich"としてみた。人それぞれ価値基準はいろいろだろうから,何を以てpoorとするか,またはrichとするか,他人が断定することはできないと思う。結局は自分で「ここまで」っていう線を決めて,それで行動すればいいと思う。でもそれがムヅカシイ。イギリスで経験したショックは数々あれど,価値基準の不確かさっつーか,自分がどこに線を引いたらいいのか分からなくなったことが,一番痛手だった。その辺もいろいろ書きたかったんだけれども,それはまた,今度。

*この後で作者は『イギリスのこと。』を2冊出しました。まだまだ足りてないかも〜。


2000年にロンドンに行ってみたら,上に書いたようなロンドンは過去のものになってしまったことを実感いたしました。「あまりお金を使わない」という選択肢は残ってますけど,街の空気がね,一変してしまってる。

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