To Blair's parents: Blair must try harder
His essay on Iraq shows little grasp of the subject

ブレアくんのご両親へ:ブレアくん,もっとがんばりましょう。
イラクについての論文ですが,テーマのつかみ方が甘すぎます

2004年4月14日
Terry Jones |テリー・ジョーンズ
公式?サイト(英語)
 
原文@Zmag(英語)

テリー・ジョーンズ(<モンティ・パイソン)は時々the Guardian/the Observerに書いています。以下,文中の「sixth form」とか「ASレベル」とか,注もつけてませんが(ごめんなさい),無理やり日本の学校制度に当てはめれば「高校卒業で大学受験資格を取得」ということです。


ブレアくんのご両親へ

トニーくんの論文,『私たちがイラクにおけるこの歴史的闘争を諦めてはならないのはなぜか』を採点いたしましたが,まことの憂慮すべき結果です。

おたくの息子さんはsixth formで何年も留年して国際政治を学んでおられますが,今回の論文ではテーマのつかみ方があまりに甘すぎておりまして,私といたしましては,どうも,トニーくんはあんなに時間をかけてきたのに結局何もものになってないとしか申し上げることができません。

もちろん,トニーくんの論文は,彼らしく情熱と確信に満ちたものなのですが,しかし現実の世界では,情熱と確信はそんなに点数にはなりゃしません。

決定的なのは,トニーくんは,イラクで本当に何が起きているのかが書かれている一次資料,それも簡単に手に入る資料なのに,そういったものを一切読んでいないらしいということです。例えば,最近ますます激化する暴力については,彼は「暴動を起こしているのはかつてのサダム(・フセイン)支持者である……アルカーイダと関連のあるテロリスト集団である。そして最近では,ムクタダ・アル・サドル(Moqtada al-Sadr)の信奉者である」と書いています。これではどうにも及第点は差し上げられません。占領反対が今や一般人の間にも広まっていることを示す報告書がたくさんあるというのに,トニーくんは無視していますね。

また,トニーくんの論文には,重要なファクターについてあまりに無知であることが現れています。例えばポール・ブレマーがムクタダ・アル・サドルが出している小部数の新聞を発行禁止にしたといったことですね。

正直申しまして,トニーくんはファルージャで何が起こっているのか【注:必読】をまったく知らないようなんですね。2003年6月にデイヴィッド・バラン(David Baran)が,米軍が占領するまではファルージャとはいかに安定した町であったかを書いています。ファルージャは略奪者の拠点となり,学校に軍事基地を作り,住民を双眼鏡で監視していたわけですが,「保守的な地域ではプライバシー侵害が甚だしい。女性は知らない人に姿を見られないようにしている」というわけです。

住民が抗議したときに,米国は銃弾やら手榴弾やらで応じまして,それで死者が出たわけですね。もしもトニーくんにASレベルをまじめにやる気があるのであれば,こういったファクターは無視できないはずなんです。

実際のところ,私にはトニーくんの頭の中で何が起きているのかがわからなくなってきました。米軍が4人の「民間の業者」の殺害の報復としてこれまでに殺した600人のイラク人が全員「テロリスト」だとかバース党支持者だとか,トニーくんは本気でそう思っているんでしょうか? 病院に担ぎ込まれている被害者のほとんどが女性や子どもや老人なのに?

トニーくんが米国の情報をまったく批判精神のカケラもなくそのまま受け入れてしまうのは,トニーくんは実はsixth formの生徒にはちょっとありえないくらいに幼稚だということですよ。これから大学に進み,やがては政界入りを志しているそうですが,それにしてはちょっとありえなくないでしょうか。

トニーくんの文章を挙げます。「一方では,外部のテロリスト,自分の武装組織を作り上げた過激派の人物,残酷な独裁政権の残滓が……他方では,非常に勇気にあふれ人間性にあふれた人々が……。」これはお子様なら充分なのですが,sixth formになるまでにはもう少々深みというものを身につけているべきなのではないでしょうか。

トニーくんには,より大きな政治的コンテクストに即して物事を整理することがまったくできていません。そして,米国がトニーくんの言う「潜在的には豊かな国の富」が「彼らの富」となり,「イラクの人々によって民主的に統治される主権国家」を樹立するつもりであると想像しているようです。

トニーくんは本気で,ホワイトハウスのネオコンが人選したイラク政府が民主的だと考えているのでしょうか? トニーくんは本気で,イラクに残る12万の米軍兵がイラクを「主権国家」にすると思っているのでしょうか? トニーくんは本気で,イラクの産業を外国の企業(主に米国の企業)に売り飛ばすことでイラクの人々のための富が保たれると考えているのでしょうか?

この程度では,トニーくんには10点満点中3点しかつけられません。この科目を続けるつもりなのであれば気合を入れ直しなさい,と厳しく言わねばなりません。

ご両親に率直に申し上げますが,息子さんが権力を握る立場にないことは本当によかったです。トニーくんのように洞察力がなくひどく無知な人物は,私たち全員をひどい状況に追い込むことになりますから。

テリー・ジョーンズは文筆家・映画監督・俳優・モンティパイソン。
 
トニー・ブレアの記事日曜にthe Observerに掲載された。【注:4月11日の日曜のことです。】

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■参考:
today's news from UK(私がblogの形で更新している記事です。記事のリンクはけっこうあります。)

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日本語訳&ページ制作:いけだよしこ@nofrills
翻訳日:2004年4月15日(日本時間)
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