送電線の彼方には・・
空に描かれたコース・ライン

鉄塔の秘密発見!送電線にも名称?


次の日・・・・・

 団地の近くの鉄塔を、北方向へ辿ると「長曽根変電所」でした。
それでは、反対の南側に行くと、終点には、一体何があるのでしょうか?
「変電所かなあ?それとも、発電所かなあ?」
 わたしは、取り憑かれたように、そこに、行ってみたくなりました。

「きっと、反対側の最後は、発電所とちゃうか・・・・?」
 わたしは、思いながら、自転車を走らせ、今度は南側の校区に侵入しました。小学校の規則では、校区外に出る際は、低学年は保護者や大人と同伴であること。高学年においては、親の許可が必要でした。従って、高学年のわたしは、親の許可が必要です。しかし、この規則を厳守する児童は少なく、わたしも、ほとんど、内緒で遠出していました。けれども、境界線を越える時は、先生や、知っている人間がいないかどうか、密航者のごとく、周囲を確認するのでした。とくに、「いーやや、こやや!せーん、せーに、いゅーたーろー」と、お決まりの集団攻撃をする。クラスの女子には要注意でした。

 送電線を辿り、鉄塔の近くまで寄り添った時。鉄塔のある秘密を発見しました。鉄塔の4本の脚柱の1本に、プラスチックの標札の様な物が貼りつけてあり、高圧送電線の名称と、鉄塔の番号が書かれていたのです。わたしは、サドルに跨ったまま、フェンスに寄りかかり、しばらく見つめました。

「堺港長曽根線・・・・。ふ〜ん。なるほど、
高圧送電線にも、国鉄みたいに、
名前がついてるんだ・・・・・
これが、29番目の鉄塔か・・・・

 わたしは、次の鉄塔に駆け寄りました。
 やはり、同じく「堺港長曽根線」の文字がありました。
 そして、番号はひとつ減って「28」でした。

したがって、この鉄塔を最後まで行くと、やがては「一」と書かれた1号鉄塔にたどり着くはずです。また、昨日、たどり着いたのは、長曽根とよばれる地区の長曽根変電所でしたから、今日、このまま行けば、そこは堺港に間違いありません。わたしは、胸が熱くなりました。

 わたしは、幼少時代から船が好きでした。フェリーに幾度か乗船するうち、好きになっていました。自由帳にはいつも、船の絵ばかり描いていたのです。
「きっと、送電線の彼方には、大小、いろいろな船が、いるはず!!」
 終点が変電所であるか、発電所であるかより、堺の港で、船に会えることが楽しみになりました。

 堺港長曽根線は、堺港へと導く、空に描かれたコースラインです。普段の行動範囲を遙かに超えて、今いる場所がわからなくても、また、たとえ道は知らなくても、高圧送電線と鉄塔を見失わない限り、迷子の心配はありません。ついに、どこの、校区なのかも、わからなくなりました。

 鉄塔の番号がどんどん、若くなり、もう一桁です。
わたしは、必死になって、ペダルを漕ぎ、息を切らしてカウントダウンをしていました。


「9」「8」「7」「6」「5」「4」・・・・・・・・・・
次の鉄塔が迫り、頭上の送電線が走ります。
「もうすぐ、1番目の鉄塔!!堺港だ!!」

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