Aug.2001
十一番目の志士(上)(下):司馬遼太郎

結論:幕末スパイ大作戦
点数:90Point
感想:
宮本武蔵の養子伊織直伝のニ天一流を代々相伝された、超貧乏天才剣客、天堂晋助が、長州の暗殺者として幕府の重鎮、小栗上野介を狙い、幕末の京都、大阪、長州を舞台に新撰組を相手に大活躍する冒険活劇。
娯楽小説として最高に面白い。007シリーズなんか、全然メじゃねぇって、感じだ。大昔の歴史だから、暗殺小説を面白いって言えるんだけど、とにかく面白い。激動の時代を成功やら金やら政治とは無縁に自分の持つ唯一モノが導く運命の中で自分の道理に従って、さっそうと生きていく。死を常にまとい、ただ、生きていく、カッコイイ!! 男の一つの姿だね。ついでに言うと、自分がイイゼぇ!と、思っている男、高杉晋作が、これまたいいんだ。彼の能力を誰より評価し最大限に引き出す一種、神たる男になっている。 敵陣深く分け入り、行く重もの包囲を突破し、斬り進む。 行く先々で、女を抱き、女も男に所帯を求めない。クールでニヒルな男と女の生き方だ。 ただ、何があっても司馬遼太郎のファンだって人以外は、真面目に読まない方が良いかな?最後に後書きを読んで、
<やってくれるぜ、司馬先生!!あっはっは>
って笑えるかどうかが、全てを握っているとも言える。初めて司馬先生小説を読む人は避けた方が無難。

05.DEC.1999
司馬遼太郎:項羽と劉邦(上)(中)(下)

始皇帝が秦を成立させた後、これが滅び、漢が成立するまでを記した歴史
ロマン。
軍事的才能に恵まれ統率力、体力、若さで優り、ほとんどの戦いで勝ち続け
てきた項羽が、多くの点で彼よりで劣る劉邦に何故最終的に破れたのか?
何故、連戦連敗の劉邦が率いる漢が最終的な勝利者となり得たのか?
圧倒的な英雄が英雄たる態度を取り続け、詫びる敵を許す度量の大きさ、
汚い手段(?)を嫌う甘さが引き起こした結果なのか、兵站を甘くみたと見
るべきか、戦場での戦功を重視しすぎたとみるべきか、血縁を重視したた
めと見るべきか。
ナポレオンに通じるところがあるなあと思わされる。
ちなみに、とっても恥ずかしいことがわかってしまった。
背水の陣という言葉について、自分は:
高名な漢の将軍、韓信が大軍を相手に不利な状況で必勝を期して、自軍
が後退できない様に後ろに川がある陣を張り勝った。死中に活を見出す
ための、精神論の重要性を訴えた諺だと思ってた。

ちなみに、自分はこれを、小隊レベルの軍曹が言うならともかく全軍を
指揮する将軍が取るべき道ではなく、そういう状態に陥らぬような手だ
てを講じるのが名将であって、韓信て武将は3流だと馬鹿にしてたわけ
ですが......果たして事実(?)は!

敵は戦略的に重要な拠点に寄っており、これを、落としたかった。
この拠点を落とすかどうかで全体の戦局が左右される重要な場所だ。
しかし、他の戦線を維持しつつ、ここに集結させた味方は敵より少ない。
そこで、この戦線の部隊の7割を背水の陣にひき、残りを側面に隠した。
敵は、むむ少数、しかも、背水の陣とは馬鹿丸出しだ。
一気に川に突き落としておいてやれと、ほぼ全軍で押してきた。
自軍が背水の陣で必死に頑張ってると、敵はなにを!と思って、予備兵力
まで投入。敵の拠点はがらあき。
この隙に、のこり3割の部隊が拠点を強襲、占拠。
戦況は一気に逆転。敵は挟撃されて大敗北。
全て納得。そうだろうよ。そうでなきゃ、歴史に残る名将とよばれない。
戦略的な目標と戦術的な技術を明確に分けて連携させる。...........
仮に敵がより慎重であったり、味方が背水でより困難な状況にあっても、
恐らく壊滅的な敗北が起こらないように手を打っていただろうよ。彼なら...
ああ、無知ゆえに、馬鹿にしてただった自分を許してね。韓信さん。

12.SEP.1999
塩野七生:人々のかたち

型破りの映画評論。映画評論というより感想文かもしれない。
非常に面白い。実は、映画評論以外の部分が面白い。
恋愛上手の女性(男性)を目指す方にはお勧め。
エクセレントな一言が多い。例をちょっとだけ
(A) 男と女の会話ほど官能的な決闘はない
(C)「ぼくのためにおしゃれしてきてくれてありがとう」
(これから口説く女性と会う時には女性から見てベストの言葉らしい)
(B) 女は三つのタイプがある
(1)シンデレラ症候群の女性達
白馬の王子様が貧しいシンデレラをお城に連れてってくれるのを待つ。
(2)ウーマンリブの女性達
男達と対決し、実力で這い上がる。
(3)ヒラリー症候群の女性達
将来有望な男をGETして、アーカンソーのド田舎でもついていき、
男の尻を引っぱたき続けて大統領に仕上げて、自分も満足できる
職につく。
また、作者の過去の男性(当時も今も大富豪)が日本大使館員と会い、
彼女の現在を知って訪ねてくるエピソードが載っていて楽しい。

塩野七生の作品は、とにかく読み手を選ぶ、と思う。
読み手の年齢、性別、恋愛経験、社会的経験、地位、によって、大
きく感じ方が違うと思う。おそらく、学生と社会人というだけで隔
絶の差があるに違いない。
彼女の作品の面白さは、彼女は小説家にありがちな、卓見した人、
変人、聖人君子、色魔、ではなく山の手お嬢さんでかつ、世間ずれ
しているというところだと思う
また、彼女の高校時代(全盛時の日比谷高校)の友人の多くが、
有名大学>大企業や省庁でできるサラリーマンや官僚として活躍中
であり、現在も彼女の周辺に多くいるというのが、書斎にこもる小
説家の作品との最大の違いで、実際に普通のサラリーマンをしてい
る自分には、すごく身近に感じられて嬉しい。

読んだ本の感想を書き込むつもりです。