イラン旅行記

5日目 ブーシェヘル観光後シーラーズへ

 今日はブーシェヘルの旧市街を見たあとファールス州の州都シーラーズまで移動する。8時にホテルを出発、海岸に沿って東へ走る。このあたりはイギリスの統治時代に建てられた19世紀の建物が多く残っている。10分ほど走ってから下車し路地に入っていく。

 
路地              旧市街

 道の曲がり角に小さなモスクがあった。入り口の左側にアラビア語で15人の名前が書かれているが、これらは12エマームとムハンマド、アリ、アリの妻ファティマの名前で、シーア派のモスクにはこの名前が書かれているのが特徴である。ホメイニは最後のエマームの代理ということになっている。

 
モスクの入り口        15人の名前

 中に入ると正面にメッカの方向を示すメフラーブとメンバル(説教台)があり、その脇にはアシュラの祭りに使う旗が飾ってあった。

 
メフラーブ          アシュラの旗

 見物していると番をしていたおじさんが食べなさいとお菓子を出してくれた。甘い甘い菓子だった。イスラム教徒というと物騒な事件ばかり報道されるので怖い人ばかりのように感じるが、ほとんどの人は謙虚で優しく実に親切だ。


菓子

 路地を抜けてサイダ・シャフダー・モスクに行く。このモスクはホセインの弟アッバース・アリーが修行中に寝ていたという大きな切り株があり、聖木として祀られている。モスクの裏には時代を感じさせる古い民家が残っている。

 
サイダ・シャフダー・モスク           聖木

古い民家

 1時間ほど散策した後でバスに乗り、10分ほど走ると港に出た。ここにはダウ船がたくさん停泊していた。そばには引き揚げた網から魚をはずしている漁師や、魚を獲る罠を作っている漁師の姿が見られた。

 
ダウ船           網から魚をはずす漁師

 ホテルに戻り近くのバザールを見物する。果物や野菜の店がたくさん並んでいた。乾燥させた桑の実とイチジクの実がそれぞれ400グラムで5,000リアル(約75円)と安いので思わず買ってしまった。


バザール

 10時10分発、さらに東へ向かって走ッていると周りにナツメヤシの林が見渡す限り広がってきた。ダールキーの村だ。ナツメヤシの実を売っている店があったので立ち寄る。実がぎっしり詰まった小さなダンボール箱が1個4,000リアルというのできりが良いように5個買ったが、5kg近い重さになり帰りの荷物が重くなって後で困った。皆がいくつも買うので店のおじさんは大忙しだったが10分くらいで1週間分くらい売ってしまったろう。店の前でおばあさんが孫を抱いていた。女の人たちが可愛いと話していると言葉がわからなくても口調でわかったようで嬉しそうな顔をしていた。

 
ナツメヤシの売店           孫を抱くおばあさん

 ダールキーを過ぎると山の中に入る。乾燥した岩山の間を30分ほど走ると左手に古い橋が見えてきた。サファビー朝の時代に造られた橋で今も使われている。対岸にはキャラバン・サライ(隊商宿)の跡が見える。

 
    サファビー朝時代の橋            キャラバン・サライ跡

 坂道を500mほど登ったところでバスを停めてもらい写真をとる。このあたりは大きな木はなく潅木や草がちらほら生えているだけである。


山道からの眺め

 13時15分タンゲチョウガーン渓谷に到着しバスを降りる。山には木がないのに川の水は澄んでいて小さな魚がたくさん泳いでいる。

 
タンゲチョウガーン渓谷                   魚

 川のそばで弁当を食べる。殿岡さんが日本から持ってきてくれたパックの赤飯がおいしかった。


弁当

 近くにはイラン人の家族がピクニックに来ていた。近づくと食べ物を差し出された。胡麻ペーストのかかった乾燥果物で、胡麻ペーストがとてもおいしかった。イランの人は実に親切でフレンドリーだ。同行の方が胡麻塩を出したら、指先につけて口の中に入れおいしいといって親指を上げた。

 
ピクニックの家族            空気銃を持った少年

 食後渓谷の崖に彫られたササン朝ペルシャ時代のレリーフを見物する。ここには4つのレリーフがあり一番奥にはシャプール1世の騎馬戦勝図がある。

 
渓谷の道           シャプール1世の騎馬戦勝図

 その手前にはバフラーム2世の騎馬謁見図がある。王冠の形は王によって決まっているので王冠を見れば王の名前がわかるという。


バフラーム2世の騎馬謁見図

 その手前にはアフラ・マツダ神から王権のリングを受け取る場面が彫られたバフラーム1世の騎馬叙任式図がある。このレリーフはササン朝ペルシャの磨崖レリーフの最高傑作と言われている。


バフラーム1世の騎馬叙任式図

 一番入り口に近いところには上下2段になったホルムズド2世の戦勝謁見図がある。


ホルムズド2世の戦勝謁見図

 対岸にも2つのレリーフがある。


対岸のレリーフ

 次にビシャプール遺跡を見物する。ビシャプールはササン朝の時代から交通の要衝で、シャブール1世はローマとの戦いに勝ったあと捕虜を7000人連れてきてこの都を造らせた。


ビシャプール遺跡

 遺跡の中央近くにはゾロアスター教の水と豊穣の神アナヒータの神殿がある。地面より低くなっていて階段を下りて中に入ると池の跡があった。川よりも地面が高いので掘り下げて低くして川の水を引いたのである。元は屋根がかかっていたが中央部だけで90%は開いていた。入り口の上は重さに耐えるようカーブが付けられている。

 
アナヒータ神殿            カーブした入り口の上

 シャプール1世の宮殿は十字架の形をしているが、これはゾロアスター教の4つのエレメント(火、風、水、地)を表している。壁には凹みが64個つけられていて像が置いてあった。壁には漆喰を塗り色をつけていた。


シャプール1世の宮殿

 遺跡の入り口付近には角に2つの窓がついた建物がある。この建物はローマの捕虜の収容所の入り口にあり、面会にきた家族と捕虜がこの窓を通して話をした。窓が細く壁が厚いので声は聞こえるが顔は見えないようになっている。


捕虜の面会所

 遺跡の隅には小さな博物館があり、発掘された青銅器、ガラス器、石像、銀のコイン、細かいモザイクが展示されている。遺跡を挙式したばかりの夫婦が通りかかった。厳格なイスラム国家でも結婚式となると顔を隠さなくても良いようだ。


挙式したばかりの夫婦

 16時30分発、山の中の道を走る。この辺りには樫の木がたくさん自生している。この樫の木で良い家具ができるという。


山の中の道

 19時15分シーラーズのホマー・ホテルに到着した。4星ホテルだけにバスタブがついており、暑いお湯が勢い良く出たのでようやく風呂に入れた。こういうホテルに3連泊できるのはありがたい。夕食でノンアルコールビールを飲んでみたがビールと変わらない味でおいしかった。アルコールに弱い私としては大歓迎だ。缶を見るとオランダ製であった。

 
ホマー・ホテル       ノンアルコールビール

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