
ルーマニア
コマネチ、ドラキュラ、チャウシェスク、1989の血の革命 (に名を借りたクーデターという人も居る).....普通の日本人ならせいぜいその程度の知識しかない、とても遠い国。だったら今のうちに行ってみませんか?おいしい食事もゴージャスな大名旅行も望めないし、つらい事も腹立たしい事も少なからずある、とても一筋縄で済むような国ではありませんが、それを補って余りある魅力に満ちた国でもあります。少しの危険と大きな喜びが隣り合わせに存在する国、少しでもこの情報がお役に立てれば幸いです。
起こりうるやっかいな事
のっけから何ですが、無事にすべて予定通りに終わるとは思わないでください。(でも個人的にはパリやベルリン等、西側の大都市のほうがよっぽど恐い。)心がすごく痛むのですが、どうしてもこれを書かないわけにはいきません。ジプシー、そして隣国との問題です。
ジプシー (ブルガリアにも共通する問題)
ルーマニア中どこへ行こうとあなたにすぐ付きまとってくる子供たち、そして大人も居ます。首都ブクレシュティのマゲル通りなど100メートル毎に声を掛けられると言っても決して大袈裟ではありません。子供達の中にはチャウシェスクの子供と呼ばれる、親に捨てられた孤児達(その多くはエイズに感染して治療も受けられぬまま...)も居ます。かたやジプシーとは派手な原色使いの薄汚れた服装に、この国でよく見かけるトルコやアラブ系のモスレム達とも違う浅黒い肌、ましてや“白い妖精”とは全く正反対の人たちです。日本語の世界ではさすらいの旅芸人とか吟遊詩人とか自由人などの肯定的な響きのあるジプシー、これがその人たちです。
あなたに近づいてくる理由はただ一つ、金です。普通は拝み倒され、情に訴えられ、財布の紐を開けさせるのですが、たまに盗む事・まれに殺す事も有るそうです。どうするかはあなた次第、僕がどうこう言う事ではありません。ただ彼らを弱者と見なす外国人に対するルーマニア人の気持ち(彼らルーマニア人も一面では日本人以上に情にもろい面があるにもかかわらず)、親が子に盗みと売春を教え、子の盗んだものを親が食べ、決して労働に就こうとしない、そのくせ他人に頼り切った生活態度...などを考えた時、あなたが渡すお金が彼らに、ルーマニア人に、そして次の標的となる人たちにどういう意味を持つものであるのかよく考えてください。
彼らにとっては「あぁ、こいつもケチな野郎だ」程度なのでしょうが、こちらとしてはやせ衰えて泣き声でせがんでくる子供を断るのは本当につらいものです。たとえそれが演技だとわかっていても。本来、人間なら誰でもそう思うものでしょう。でもあなたに一つ聞きたいのです、「あなたは日本で悪質な浮浪者が金を要求してきたら、どうしますか?」と。彼らジプシーは残念ながら本当にタチの悪い人が多い、というよりそうではないジプシーなど居ない様にも思えます。
それでもヒューマニズムが優先するならそれでも結構、全てはその時のあなたの気持ち次第です。正直に言うと僕は金を拒んだ事は6回しかありません。そして、そのはるか数倍は渡しています。それは僕の持つ最後の情けかもしれないし、手切れ金の様なものかもしれない、でも断った子がその翌日警官に殴る蹴るの暴行を受けているのを見て以来、どうしても断れずにいます。
でもこういう事も有りました。ブクレシュティ北駅でシナイアへ向かう急行の出発待ちの車内にジプシーのおばあさんが無心に来ました。僕は前日ルーマニア人に咎められていたので躊躇していました。そこへ同じコンパートメントの乗客全員(女性ばかりだった)が財布から500レイづつ渡したのです。この時ほど自分の心に素直になれた事は有りませんでした。
隣国との問題
東欧では哀しい現実が有ります。隣の敵は我の友、という考えが。この国の場合、モルダヴィア以外の国々との関係は極めて悪い様です。特にハンガリーとの関係は筆舌に尽くし難いものがあるようで、これについては長くなるので観光案内トップページで紹介した「バルカンの亡霊」を参考にして頂きたいのですが、とにかくハンガリーとロシアとブルガリアの話はしない様に心掛けてください。どういう展開になっても不愉快になる事は間違いないと思われます。ジプシーの話も同様です。
日本・日本人
これはロシア(など旧ソ連)以外の旧共産圏に共通している事ですが、気持ち悪くなるくらい日本や日本人に対する評価は高いようです。これには恐らく三つの理由が有る様に思えます。
1.戦後最貧国にリストアップされながらも驚異的な復興を遂げた事に自分達の明日を重ねあわせている事。
2.かつての東欧の独裁者達が勤勉さのモデルや繁栄の象徴として日本を挙げていた事
。(何せアメリカや旧西ドイツを誉めるわけにはいかなかった)
3.そして最も幸いだったのは日本と東欧にほとんど利害関係がなかった事です。
ルーマニアではチャウシェスクの時代に外国人と話をする事すら禁止されていました。ですからとにかく至る所であなたは話しかけられます。逆に、もしこちらから道を尋ねた相手が外国語が出来ないと見るや、「じゃあ俺が」と手ぐすねを引いて待っている人たちが必ず居ます。韓国企業の進出が激しくなって以来、東洋人に慣れてきた事もあってか、そうした傾向も少し収まりつつあるようですが、臆さずにコミュニケートしてください。
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