

短歌集

徳島歌壇賞
龍流れ山羊が流れて
決断の九月の雲は夕焼けていく
紀野恵選評「意外性の面白さ。龍と山羊を持ってきたのも雰囲気がある。」
徳島新聞・短歌選評掲載(一部抜粋)
斎藤祥郎選「夕焼け雲のさまざまな形に変身の思いをにおわせた。
「ごとし」を用いない上句が独特の感覚で広がる。」
松並武夫選評「「決断の九月」に作者の思い入れがある。
龍や山羊の形のままに流れてゆく雲の姿に、
決断を迫られている作者の思いを重ねて成功した。」
徳島新聞・徳島歌壇掲載
飾り戸に開店を待つマネキンの
ぼやけた時間を見て出勤す
斎藤祥郎選
紀野恵選評「マネキンの「ぼやけた時間」というとらえ方が共感を誘う。」
徳島新聞・徳島歌壇掲載
休日に人の溢れて
ユトリロの人を描かぬ風景画見る
松波武夫選
とくしま県民文芸賞短歌部門佳作
銃弾のあとのみ撮りし写真見せ
ユーゴの日々を多く語らず
徳島新聞・徳島歌壇掲載
金沢のまじわらぬ川
海に出て沖の彼方でとけあっている
徳島新聞・徳島歌壇掲載
この雨にあいたくてしたUターン
本当の雨もっと地に降れ
紀野恵選
斎藤祥郎選評「柔らかな口語風の律で望郷の念を訴えた。
「本当の雨」という表現に屈折した心情を感じる。」
「本当の雨」というのは、『智恵子抄』の智恵子が、
「本当の空」を恋しがったという心情を踏まえています。
徳島新聞・徳島歌壇掲載
見張りする雀はひたと雨に立つ
小さき任務に午後は過ぎ行く
徳島新聞・徳島歌壇掲載
遠ざかるバックミラーに君の背を
見つめて我はハンドルを切る
紀野恵選・斎藤祥郎選
徳島新聞・徳島歌壇掲載
秋冷の建築現場灯をかかげ
巨人の如き影は働く
徳島新聞・徳島歌壇掲載
駐車場にかわってしまえばその前は
忘れてしまって夕やけ小やけ
松波武夫選
斎藤祥郎選評「明るく表しながら悲しい。
忘れられない懐かしさを逆にこのように歌い、結句が広がり響く。」
徳島新聞・短歌選評掲載
斎藤祥郎選評「時代相と「私」の駐車場にかわって(中略)が印象深い。」

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