『バリアン占い体験記』1

 バリ・ヒンドゥーの世界は、高僧ブタンダ、寺守のプマンクそして神や先祖の媒介役バリアンの3つのレベルで調和している。その中のバリアンは人々から相談される様々な問題・・・誰の生まれ変わりなのか?病気を引き起こした原因は何か?魂に占領された場所は?etc・・・これらの答えを神や先祖達がトランス状態にあるバリアンの口を通して話すと言われている。バリアンといってもいろんなバリアンがいる。心身の病で悩む人の原因を究明して治癒したり、実際に薬を処方する呪医、前世や未来を見ることができたり、はたまた人を陥れるブラックマジックを操る人、それをホワイトマジックで守る人もいる。みんなバリアンと呼ばれている。

 前々からこのバリアンと呼ばれる人に一度会ってみたいと思っていたところ、バリへ行く前にタイミングよくインターネットでバリアンツアーを随時行っているところを見つけたので早速申し込んだ。バリアンによる霊感占いを体験できるとのこと。

 当日、連れのEちゃんと一緒に正装したガイドのWayan Sutamaさんに連れられて車でUbudからBangliへ40分ほどかけて行く。Bangliに近づくにしたがって、車も少なく、景色ものどかに、空気も涼しくて気持ちいい。バリアンの家は静かで簡素な小さい村の中にあった。家の門をくぐる時、すぐ右側に祭壇をまつったバレがあり、そこで観るらしく先客のバリ人男性が祭壇の前に座って観てもらっていた。家に着くまでは何にも考えず、観光気分で来たのだけど、家に着いてから急に緊張してきた。自分の中で何かがピンと張り詰めてくる。

 敷地の中や家の佇まいはバリでよく見かけるバリ様式の家。鶏が中庭を横切っていく。テラスに通されてそこで待つことになった。ここのバリアンはガイドの友人の家族だそうだ。飲み物と出来立てホヤホヤの揚げ菓子を頂く。胡麻風味のドーナツみたいでおいしい。
 テラスにはこの家のお嫁さんらしき人が市場で売る為のチャナンを作っていた。大きな籠の中にチャナンが沢山並べて入っていた。待ち時間が思ったより長いので、女の人に「チャナン好き〜」と言ったらチャナンの作り方を教えてくれたので、自分でヤシの葉で箱の形を作るところからやってみた。これが結構難しい。ぶわっとした、だらしのない箱を作り、その中に赤・紫・橙色の花を入れて、最後にヤシの葉をカッターで不思議な形を作ったもの(神様を表す)を上に乗せて出来上がり。なんかいつも見かけるチャナンと違う。変だ。全体的に締りがない感じ。

 前の人が終わったので呼ばれる。最初に私が行くことにした。自分で作ったチャナンを持っていきなさいと言われて「こんな出来損ないでもいいのか?」なんて考えながら、バリアンのいるバレへガイドと一緒に歩いていく。それまでは気持ちも平常のままでいたのに、急にドキドキしてきた。何か思いもよらない恐ろしい事とか言われたらどうしようと思ったり、もっと真剣な心構えで臨むべきだったと後悔してきた。こんなに緊張するのも久し振り。

 祭壇の前に60歳くらいのおばさんが座っていた。この人がバリアンのJero Dasarさんだ。凄く厳しい眼差しで私の顔をじっと見ているので、私の緊張と恐怖感はますます強くなる。自作のチャナンを渡すと、バリアンがそれを祭壇に供えて、線香に火をつけた。バリアンの頭の形がすごく気になる。アップにして頭のてっぺんにお団子2つも乗せてる。この不思議なヘアスタイルでさらに緊張する。左手にはタバコを持ち、丁子の香りがあたりに漂っている。「将来・恋愛・仕事・人生・悩み事相談」のうち2つの項目を占ってくれるというので、「将来と仕事」を観てもらうことにする。バリアンは相変わらず厳しい眼差しで私を見ている。

 バリアンはまず左の手の平で私のおでこをグリグリと力強くなすり付けてきた。タバコを深く吸った後、おでこをなすりつけた左の手の平を真剣な表情でじっと見つめ、バリ語で勢いよくガーっと喋り出した。通訳がバリアンの言うことを急いでノートに書き写して、それを日本語で話し出したが、すぐに英語の方が話しやすいというので英語で話してもらうことにした。バリアンはずっと左の手の平を見ながら、喋っている。手の平に私のいろいろが映っているみたいだが、バリアンと至近距離にいて、彼女の手の平も見えるのだけど、そこには何も見えない。不思議だ。バリ語で自分の事を話されているのに、内容がわからないからすごく不安になる。

以下バリアンとの会話。バ=バリアン ガ=ガイド 
バ 「あなたは両親いますか?」
私 「母はいますが、父は2年前に他界しました。」
バ 「結婚しているの?」
私 「はい。」
バ 「病気は?」
私 「特にないです。」

 再び、じっと手の平を見つめるバリアンが話し始める。 →Next

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