美少女改造基地・首長族の村

 私は旅行に行くときは、いつも純粋な「バカンス」のつもりで出かけるのですが、ほとんどの場合、帰ってきてからそれをネタになんか書いたりして、結果的に仕事になってしまいます。だからどこかの村に観光に行っても、つい「村の人口は何人か?」とか「民族別の構成比率は?」とか、果ては「政府の実質的な統治下に入ったのはいつからか?」などと、ワケのわからないことを訊ねたりします。
 しかし、この首長族の村へ行った時は、結局仕事になりませんでした。旅行中もそんな予感がしたので、写真もロクに撮ってません…、という言い訳を、まず書いておきます(笑)。

 首長族の村は、タイ西北部のミャンマーとの国境沿いにあり、そこを訪れたのは94年の秋でした。「首長族」だなんて書いていますが、正式には「パダウン族」と言うそうです。しかし、日本ではもう首長族で通ってしまってますね。念のため、首長族は「くびながぞく」と読みます。

 まずチェンマイから飛行機でメーホンソンに飛びました。辺境地帯の入口といった感じの町で、空港を取り囲んで小さな市街地が広がっています。チェンマイからバスでも行けますが、8時間くらいかかるので大変です。メーホンソンで軽トラックをチャーターし、いよいよ首長族の村へと向かいます。レンタバイクを使って自分で行くという手もありますが、その場合、村の入口で高額な「入村料」を取られてしまうので、苦労する割にはあまり安くつきません。

  

 途中、いくつかの観光地に寄ります。つり橋とか滝とか…。しかし首長族の対面を前に、どうでもいいという気持ちで、アリバイ的に写真を撮っただけでした。

 他の少数民族の村にも寄りました。恐らくモン族(メオ族=ミャオ族=苗族)だと思うのですが、心はすでに首長族でしたので、ちゃんとメモしてきませんでした。

  

 少数民族らしからぬ民家。よく見れば玄関の両側に漢字が書いてある…、ということは中国人?この一帯には、かつて人民解放軍に追われて雲南省から逃げ込んだ、国民党軍の「落人村」が散在しています。詳しくは別章で書きますが、今ではアヘンは作っておらず、農業などで地道に暮らしています。ちなみに落人村のことを、タイの地図ではKMTと表記してますが、「こくみんとう」の略でしょう(笑)。

 学校もありました。校舎は台湾政府の援助で建てられ、漢字で「蜜窩村青華小学校」と読めました。しかしタイ政府の完全な支配下に入った現在では、この学校は廃校となり、子供たちはタイ文部省公認の学校に通って、タイ語による教育を受けています…、というのはあくまで建前で、夕方になるとこの廃校に集まり、中国語の授業を受けているようでした。

 首長族の村の入口には川が流れていて、橋はかかっていません。どうするのかと思えば、車は浅瀬を選んでそのまま突っ込んで渡ってしまいます。あっ、象だ!

    

 半日がかりでたどり着き、ようやく首長族に遇うことができました。パダウン族の女性は幼いときから首に真鍮の棒を輪のように巻き付け、それを徐々に増やしていって、首を伸ばしてしまうのです。右側に立っている女性は日本人観光客ですが、同じくらいの背格好なので、肩と顎の位置を比べてみるとわかりやすいでしょう。

 首にはめた輪はそう簡単には取れません。1年に何回か、輪を継ぎ足すためにはずすくらいだそうです。となると、首のまわりにアカが貯まって、結構キタナそうですね。かがんだりするのも大変ですが、セックスは…。ガチャガチャ音がうるさそうです(笑)。

 あれ、写真はこれだけ? おかしいなぁ、小学生くらいの美少女がたくさんいたので、もっと撮ったはずなのに…。見つかり次第アップしますね。

・・・ということで、家の中を掃除してたら小学生くらいの子の写真がめでたく1枚出て来たので、2年半ぶりに追加しておきますね(苦笑)。頬に白い泥を付けてますが、これはミャンマーの女性がやってるお化粧で、「タナカ」と言うんじゃなかったかな?隣の日本人観光客が手にしてる金属を首に巻き付けるわけです。

 ところで、村をひとまわりして疑問に思ったのですが、ふつうこういう伝統的な風習って、老人はしっかり守っていても、現代文明と接触しながら育った世代では、だんだんすたれて行くものでしょう。
 しかし首長族の場合、首を伸ばしている老女や中年女性はそんなに多くないのに、若い女性、特に子供はみんな輪っかをはめているんですよね。その辺の疑問をガイドに質したところ、もともと首に輪をはめなくてはならないのは、パダウン族の間で悪いと信じられている特定の月の満ち欠けの日(満月か新月か忘れました…)に生まれた女性だけで、生まれた日が悪いから「厄除け」のような意味で首を長くするのだそうです。
 つまり、村の女性のうち首を長くしているのは、ほんの限られた人だけのハズなのが、観光客が来るようになってから、「首長女性」のいる家は、土産物がよく売れたり、写真のモデル料が稼げるので豊かになったため、今では生まれた日に関係なく、女の子にみんな片っ端から輪っかをはめて、首長に「改造」してしまうのが流行っているとか
 そういえば、この首長族はもともとミャンマー側に住んでいたのですが、当時ミャンマーは外国人観光客に開放されていなかったため、「タイに住んだ方がもうかる」と国境を越えて集団移住してきたそうです。
「最初、タイ側に連れ去られて見せ物にされた女性が、儲けているのを見てうらやましくなり、他の首長族たちも続々とやって来た」だなんてウワサもあります。

 首に輪をはめた美少女たちが、やがて大きくなって結婚し子供を生む頃、タイ西北部の辺境の地もそれなりに豊かになって、もう自分の子供の首には輪っかをはめなくても済むようになればいいですね。私のようなミーハーな観光客としては、とても残念なことでもあるけど…。

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