INDEXMENURETURNBACK



  ■  兄弟げんか  ■

 


めったに泣かない次男の鳴き声がして、子供部屋に飛んでいった。
号泣する次男の横で、困惑気味の長男がふくれている。
ときどき彼らはこんな風に兄弟げんかをしては、甘えん坊の次男が泣いてしまう。

怪我をしていないのを確かめた後、 何があったのか順を追ってに聞いていく。

『どうして泣いているの?』
『お兄ちゃんがみのちゃんの遊戯王カード齧ったから。』

ん?たしか次男は遊戯王カードは持っていないはず・・。
確かめると、たった今長男からもらったと言う、 それなのにくれたカードを齧ったのぉ、とまた泣きべそ。

『どうして弟にカードをあげたの?』
『みのりが僕の遊戯王カードを齧ったから、 いらなくなってあげたんだ。』

『みのりはなんでお兄ちゃんのカードを齧ったの?』
『だって、ハンバーグだったから。』

???

話をよくよく聞くと、 2人でお店やさんごっこをして、次男がハンバーグを注文したところ、 長男は、自分の遊戯王カードを一枚出して、 『はい、ハンバーグ』と渡したそうで。
次男は、渡されたハンバーグ(カード)をいただきますと口に運び、 ぱくりと齧った。
まさか齧られると思っていなかった長男は怒って、 齧られたカードなんてもういらないと渡したら、 次男が喜んだ。
そこで腹の虫が収まらなくて、 つい、歯型がつくまで、今は次男のものになったカードを、カプリと齧ってしまったのだ。

もう、笑いそうだった。
おかしさがこみ上げて、齧っちゃったんだって、笑いそうなのをこらえつつ、 お話を続けた。

どれが悪いことなのか、本人たちに聞いてみた。
まず、ハンバーグとして差し出されたカードを齧ったこと、 これはどお?

長男はふくれたまま黙っている。
次男は、だってハンバーグだもんと答える。

そうだよね、ハンバーグだから齧ってもいいって思うよね。
お母さんだって『はい、ハンバーグ』って渡されたら、 あむって齧るかもしれない。
ただ、お兄ちゃんの宝物だから、齧る前に 齧ってもいい?って聞いてみてもよかったよね?

そして、弟の遊戯王カードを齧ったことは?

長男は、咳払いしてひとこと『悪いと思う』と言った。

そうだよね、気持ちはわかるよ、悔しいよね。
齧られた挙句に喜ばれちゃあ、 齧り逃げされた気持ちになっちゃうよね。
でもね、人のものを齧っちゃいけないよね。
それはもう、ハンバーグじゃないもんね。
弟の遊戯王カードなんだもんね。

じゃあどうすればいい?と聞くと、 長男が次男に齧ったことを謝った。
次男も『大事なカード齧ってごめんなさい』と言ったところで仲直り。

別に介入しなくてもよかったなーなんて思いつつ、 泣き顔で、お店屋さんごっこの続きをする2人をあとにしたのでした。

                               01年3月15日 記




  <<BACK  *  INDEX *  NEXT>> 


*** Copyright 2000-2003 MIO YUZUKI All Rights Reserved. ***