めったに泣かない次男の鳴き声がして、子供部屋に飛んでいった。
号泣する次男の横で、困惑気味の長男がふくれている。
ときどき彼らはこんな風に兄弟げんかをしては、甘えん坊の次男が泣いてしまう。
怪我をしていないのを確かめた後、
何があったのか順を追ってに聞いていく。
『どうして泣いているの?』
『お兄ちゃんがみのちゃんの遊戯王カード齧ったから。』
ん?たしか次男は遊戯王カードは持っていないはず・・。
確かめると、たった今長男からもらったと言う、
それなのにくれたカードを齧ったのぉ、とまた泣きべそ。
『どうして弟にカードをあげたの?』
『みのりが僕の遊戯王カードを齧ったから、
いらなくなってあげたんだ。』
『みのりはなんでお兄ちゃんのカードを齧ったの?』
『だって、ハンバーグだったから。』
???
話をよくよく聞くと、
2人でお店やさんごっこをして、次男がハンバーグを注文したところ、
長男は、自分の遊戯王カードを一枚出して、
『はい、ハンバーグ』と渡したそうで。
次男は、渡されたハンバーグ(カード)をいただきますと口に運び、
ぱくりと齧った。
まさか齧られると思っていなかった長男は怒って、
齧られたカードなんてもういらないと渡したら、
次男が喜んだ。
そこで腹の虫が収まらなくて、
つい、歯型がつくまで、今は次男のものになったカードを、カプリと齧ってしまったのだ。
もう、笑いそうだった。
おかしさがこみ上げて、齧っちゃったんだって、笑いそうなのをこらえつつ、
お話を続けた。
どれが悪いことなのか、本人たちに聞いてみた。
まず、ハンバーグとして差し出されたカードを齧ったこと、
これはどお?
長男はふくれたまま黙っている。
次男は、だってハンバーグだもんと答える。
そうだよね、ハンバーグだから齧ってもいいって思うよね。
お母さんだって『はい、ハンバーグ』って渡されたら、
あむって齧るかもしれない。
ただ、お兄ちゃんの宝物だから、齧る前に
齧ってもいい?って聞いてみてもよかったよね?
そして、弟の遊戯王カードを齧ったことは?
長男は、咳払いしてひとこと『悪いと思う』と言った。
そうだよね、気持ちはわかるよ、悔しいよね。
齧られた挙句に喜ばれちゃあ、
齧り逃げされた気持ちになっちゃうよね。
でもね、人のものを齧っちゃいけないよね。
それはもう、ハンバーグじゃないもんね。
弟の遊戯王カードなんだもんね。
じゃあどうすればいい?と聞くと、
長男が次男に齧ったことを謝った。
次男も『大事なカード齧ってごめんなさい』と言ったところで仲直り。
別に介入しなくてもよかったなーなんて思いつつ、
泣き顔で、お店屋さんごっこの続きをする2人をあとにしたのでした。
01年3月15日 記
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