
第54回厚労省交渉質問及び要望書
午前
T.診療情報公開問題
1.カルテ開示問題
(1)現状の国立病院のカルテ開示ガイドラインでは、遺族への開示を認めている。しかし、国立循環器病センターの非開示決定は、医療機関の独自判断が優先され、根拠なく開示が拒否され得ることが明らかとなった。遺族へのカルテ開示は、医療機関の独自判断でなく、無条件に開示すべくガイドラインを改正されたい。
(2)厚労省はカルテ開示に関する新たな検討会を立ち上げた。現時点において、これまで検討会で収集したカルテ開示関連情報を、全て明らかにされたい。又、関連情報の一つとして、国立病院における開示請求件数、開示拒否件数、開示拒否理由については、特に詳細に明らかにされたい。
(3)「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会」の今後の審議日程、審議内容の予定を明らかにされたい。
(4)カルテの保存期間について、前回の交渉でも、現行の5年では実態にそぐわないことが明らかとなった。至急、カルテ保存期間延長に向けた検討に着手されたい。
(5)カルテの保存義務違反の時効が3年である法的不備の問題について、前回交渉において法務省と調整して検討するとのことであった。どのような解決策となったのか、明らかにされたい。
2.レセプト開示問題
(1)
社会保険庁と保険局保険課、保険局国民健康保険課等は、今年6月に小泉首相が約束した「遺族へのレセプト開示後に、保険者がその旨を医療機関に伝える手続きを取りやめる」件について、至急、全国の保険者に周知徹底されたい。又、その際の通知文なども示されたい。
(2)
兵庫県社会保険事務局は、監査や個別指導によって保険者に返還された内容を示す「返還内訳書」を、当該本人には開示することを拒否している。その根拠は何によるのか。又、被保険者がその内訳を知る権利についても見解を求めたい。
U.医療ミス多発問題
1.前回「異状死届け出ガイドライン」作成の予定について伺った。検討段階にあるとの回答であったが、その後の進捗状況を明らかにされたい。
2.医療事故については、何より事故を未然に防ぐ努力が第一である。そのための一つとして「インシデント事例」収集があると思われるが、この収集は法律に基づくものとはなっていない。今後この収集をどのようにシステム化していくつもりであるのか。法制化を含めて収集から予防へどのようにつなげて行くのか見解を伺いたい。
3.医療事故は人が医療行為を行なう以上、可能性としてはありうることである。従って「医療事故」の収集をどのように考えているのか。又、医療事故を発生させた医師に対して刑事罰が課せられない場合、何らかの行政措置が必要と思われるが、いかがか。
4.前回交渉で回答された「患者相談窓口」の設置について以下、伺いたい。
(1)
特定機能病院あるいは県単位でこれを設置する予定と回答された。この窓口の機能は、医師との調整機能やオンブズマン的機能が求められると思われるが、一定の権限付与が必要と思われる。この権限付与をどのように担保するつもりであるか。法律の中で位置付けることは考えていないのか、明らかにされたい。
(2) この担当者の人選はどのような職種として、どのようなところで考えるのか。
5.「医療事故」が発生した場合の被害者救済について、裁判が全てとは思われない。裁判とは別に新たな「保険制度」(各医療機関の保険料支払いによる公的保険システムを意味する)による補償システムを構築すべきと考えるがいかがか。この場合、十分参考になるのは「労災補償」のシステムである。労災制度では、各労働基準監督署の中に、補償担当の労災補償課と事故の発生届(会社が行なう)を受け付ける監督課があり、監督課の職員は事故の状況によって刑事告発出来る権限をもっている。このシステムは、「医療事故」においても参考にし、大枠において検討に値すると考えるがいかがか。
午後
V.陣痛促進剤と関連問題
1.陣痛促進剤問題
(1) 前回交渉以降に、陣痛促進剤を被疑薬とする副作用被害の報告があれば、報告いただきたい。
(2)
前回報告した副作用事例94〜97の調査結果を報告いただきたい。又、平成11年12月9日報告の事例77について「どういったコンタクトの仕方をしたのか企業に確認する」と約束したが、調査結果を報告いただきたい。尚、製薬企業が医療機関に調査に入り報告する期限は、重篤な副作用であるので、30日以内とするべきであると考えるが、いかがか。
(3)
交渉団が提出している「重篤な副作用被害」の確認調査の方法を前回提案したが、「我々なりに検討させていただきます」と言われた。どのように検討したのか伺いたい。
2.陣痛促進剤・マイリスの添付文書改訂問題
(1)
陣痛促進剤の添付文書の内容について、どのような検討結果になったか報告いただきたい。私達は「分娩監視装置を連続して用い、十分な監視をすること」とするよう要望する。
(2)
プロステロン酸ナトリウムの添付文書について、どのような検討結果になったか、報告いただきたい。私達は、本剤を投与する前から、投与後、一定時間胎児の心拍を監視する必要があることを記載するよう要望する。
(3)
帝切既往者に陣痛促進剤を使用することを禁忌とすることを要望し続けているが、聞き入れられていない。禁忌としないで「慎重投与」で良いとするならば、「ちょっと注意深く」などと曖昧なことを言わないで、厳しい使用方法の改訂を求める。
3.母子健康手帳の副読本の改正について
10月初め、母子衛生研究会に要望書を郵送したが、母子保健課がどのような口添えをしていただいたのか伺いたい。又、現在、どのような方向で話しが進んでいるのかも伺いたい。
4.産科看護師問題
(1) 産科看護研修学院の運営について、調査結果に対する回答は届いているのか。届いていないとすれば一番新しい催促はいつであったか。
(2) 平成14年度の「医療法に基づく立ち入り検査」の通知は、出されたのかどうか。出されたのであれば、その書面を提出されたい。
(3) 定期的な立ち入り検査や、通報後の立ち入り検査をしても、助産師以外の者が助産行為をしているかどうか、一切判明していない。
これでは、立ち入り検査は全く用を成していない。日本産婦人科医会が、全く調査しようという姿勢を見せず、厚労省も調査できないのであれば、このまま放置できないので、「特別立入検査」の実施を強く要望する。
(4) 厚労省は、鹿児島の「レディース寿クリニック」で行なわれた保 助看法違反行為を鹿児島地検に告訴せよ。
5.分娩介助料について
(1) 厚労省は、国が管轄する医療機関の分娩介助料の料金内訳を調査 し、報告されたい。その料金の妥当性について見解を伺いたい。
(2)
山形県立中央病院の「帝切時分娩介助料」の徴収問題について、「ちゃんと説明できるように連絡する」と約束されたが、どのように指導したのか、書面で報告いただきたい。
(3) 「入院助産」扱いで分娩する人の分娩介助料は、いくらか。料金の内訳についても,伺いたい。
W.脳死・臓器移植問題
1.東京女子医大は、医療ミスを理由として特定機能病院を返上した。これに伴い、心臓移植の指定病院をも返上することとなった。これに代わって、埼玉医大、東大が心臓移植病院として指定を受けた。しかし、埼玉医大も抗がん剤の大量投与ミスを行う等,決して信頼を置ける病院とはいい難い。新たに心臓移植医療機関を指定するにあたり、どのような判断基準に基づいて指定したのか、明らかにされたい。
2.前回交渉でも確認したが、8月に行なわれたはずの「日本臓器移植ネットワーク」への会計検査院の検査でどのような指摘を受け、それにどのように対処されたのか明らかにされたい。
3.前回提出いただいた「日本臓器移植ネットワーク」の平成13年度収支計算報告書について伺いたい。
(1)
これによれば、当初予算467760000円を平成13年11月14日に交付決定したが、直ちには支払われず、2日後に交付変更し35319000円減額決定した上で12月21日に支払ったとされる。2日後の3千5百万円の減額とは何を指すのか。
(2)
この決算は当然平成13年4月1日から平成14年3月31日までのはずであるが、支給日が12月21日であるとすれば、4月1日からどのような資金繰りをしていたのか。
(3) 仮に前渡金で対応していたとすれば、「日本臓器移植ネットワーク」に前渡金が行なえるとした根拠法を提出いただきたい。
(4)
毎年ブロックセンター長(顧問医師)に対する人件費を年間で支払っているようであるが、各ブロックセンター長は何をするために顧問でいるのか。又、その勤務実態はどのようなものか。
(5)
毎年各ブロックセンターでは、HLA検査技師の人件費として支払っているが、これは何に対する支払いか。又、HLAの検査料14000円は、移植を求める人に支払いを求めているのか否か。
4.脳死・臓器移植法の改正が取り沙汰されている。そこで伺いたい。厚労省は、ドナー範囲の拡大として小児からの臓器提供を法改正する意志をもっているのか。意志があるとすれば、それはどのような内容を想定しているのか。又、仮に議員立法で求められた場合の厚労省としての基本姿勢は?
2002年11月2日
薬害・医療被害をなくすための厚生省交渉実行委員会
事務局 風間 進