職人の技を眺めて暮らす

 私たちは日本に住んでいる。そこの風土を楽しむ権利がある。月を愛で、草木を愛し、風を楽しみむ知恵がある。
 しかし現実は、夜はいつまでたっても明るく、外来のきらびやかな花が店先を飾り、暑いときは冷風が心地よいと感じる自分がいる。
 私は一体何者か?どこから来て、どこへ行こうとしているのか?
 唯一分かることと言えば、その国の歴史を、もう少し露骨に言うと血を背負って、今という時代の最先端に位置していることだけは確かであろう。 

 まずは古典を学ばなければなるまい。そして最先端の情報にも耳を傾けねばなるまい。この相反する内容を、家を作るということで融合させようとした試みのページが、この「職人の技を眺めて暮らす」である。
 職人という伝統の技術を持った者と、最先端の情報を持った者が、お互いに相手の立場を尊重しつつ、その接点を見いだした上で、作品は作られなければならない。
 金払いよい施主だけが、よい施主ではない。職人の技を引き出すべく努力をすることこそが、本当によい施主足りうる者と思う。逆に言うと、職人のもてる技術を使わさない施主は、施主としては失格である。古来本物のパトロンとは、洋の東西を問わずそういう存在であったはずだ。
 利便性や機能性ばかりを追求し、経済性と功利主義で「住まい」を考えてはいけない。そこに人が住まうということは、そこで生を営み、やがてその地で土に帰るということであろう。
 「ただ閑かなるを望みとし、憂へなきを楽しみとす(方丈記)」ることができる住まい。そこに一握りの(職人の技という)歴史が感じられれば、もうこの上ない喜びである。

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平成13年3月創設