大ピンチ 入院編

外国で手術!!!
 「万里ごめんね。こんな知らないところで手術を受けることになって。」
きんきんに張ったおっぱいを絞り捨てながら涙が止まらなかった。「お母さん、万里ちゃん大丈夫?」心配そうに亜希も聞いてくる。だめだ、私が泣くとこの子も不安になる。
 2歳3ヶ月の亜希、6ヶ月の万里を連れてニュージーランド子連れ短期留学に来た私は、一応それなりの覚悟はしてきたつもりだった。でもまさか入院して手術を受けるようになるとは夢にも思わなかった。

嘔吐と血便が出た!
 私の学校と子どもたちの保育所通いが3週目に入った朝、万里が保育所で何度も吐いていると電話がかかってきた。慌てて迎えに行き、ちょうど数日前に決めたホームドクターのところへ連れて行くと、ウイルス性の風邪の一種だろうから様子を看なさいといわれた。
 家に帰ってから万里は吐きつづけた。おっぱいもほかの水分もすべてだめで、どうしてよいのかわからなくなる。夜になって血便が出た。真っ赤な紙おむつをみて、ホストマザーが慌てて救急医を呼んでくれたが。でも若い女性のその医者は眠っている万里を見て、インフルエンザだろうと言った。でも翌朝まで吐いたり、血便が出て私は一睡もせず泣きながら朝を迎えた。どうして急にこんなことになってしまったんだろう。いつもは本当に丈夫で元気な万里なのに。
 情けない話だが、第2子だというのに私は腸重積のことはあまり知らなかった。もしちゃんとした知識があれば、血便が出た段階で大きな病院に運んでいただろう。帰国して育児書で腸重積のことを調べなおしたとき、「母親が早く気づくかどうかに赤ちゃんの運命がかかっている」とあるのを見て本当に後悔した。

腸重積かもしれない!
 朝、もう1度ホームドクターの所へ連れて行った。ドクターは血便のついたオムツを見て、お腹のあたりを触り、こう言われた。「チルドレンホスピタル(オークランド病院の一部である子ども専門病院)へ行きなさい。もしかすると腸重積かもしれない」。それがどんな病気かを説明してもらい、もしそうなら手術の必要があると言われたとき、体が震えて涙が溢れた。でもとにかく行かなくては。
 チルドレンホスピタルでは検査後、まず高圧浣腸をした。けれども、それはうまくいかず、手術を受けることになった。
 痛々しい姿で手術室のドアの中に消えていく万里を見ながら、さすがにつれてきたことを後悔した。涙が溢れてきてとまらない。でも泣いてなどいられない。入院の準備、私の学校や保育所への連絡、そして何よりも日本にいる夫にこのことを説明しなければ。
 手術は無事終わった。部屋に戻った万里は、私の顔を見るとすぐ泣き出したが、ぐったりして手も伸ばしてこない。小さな足に点滴が痛々しい。その日は4人部屋しかなく、亜希と私はパイプベッドに折り重なるようにして眠った。子どもたちの静かな寝息を聞きながら、不安と万里への申しわけなさで涙が出るのをこらえながら夜明けを迎えた。

快適な入院生活
 翌朝万里はずいぶん元気な表情になり、その上、個室に移れたため、ホテルにいるような快適な生活になった。
 手術から丸1日たって、万里はやっと白湯を飲むことを許された。その後、様子を見ながら少しずつおっぱいを飲ませた。3日目には食べることを許され、順調に便も出て、万里は驚くほど元気になり、5日目には退院した。
 退院後にはみるみるうちに元気になり、1週間目に抜糸。そして再び子どもたちは保育所へ、私は学校へ元通りの生活に戻った。 


手術直後の万里 何も飲めないので、おしゃぶりでがまん


病院で借りたパジャマにご機嫌の亜希 なぜか亜希の食事までもらってしまいました
前日に2,3種類のメニューの中から選び、さめない
容器に入れて配られます


ボランティアの人たちが「おもちゃ図書館」で回ってきて
貸してくれました
お世話になったホームドクターのシモンズ先生
ふつうの家の部屋のような診察室でした


中庭には滑り台や木馬もありミニ遊園地のようです    元気になり退院する万里