イギリスの小学校教育事情


「イギリスは小学教育が早い」

日本に比べて2年早く始まります。こちらの学校は9月に始まるため、特に4
月から8月生まれの子供は3年も(!)早く始まる事になってしまいます。
ですから日本で年中の幼児園児がイギリスに来て、スペリングの課題なんて宿
題を持って来られたりしたら、日本人の感覚ではびっくりしてしまいます。
一応、義務教育は5才からとなっていますが、普通は3才になった9月から、
無料の公立 Nursery に通い始めます。ただ義務教育ではないため属する地方
自治体によって定員数、半日か全日かなど大きな違いがあります。
そして、4才になった9月から基本的に Primary School に通いはじめます。
制服を着て(ない学校もある)朝9時〜3時20分頃までの長い時間、お勉強
をすることになる訳です。イギリスはこのように教育が早いうちから行われる
ものの、教育レベルはEU最低と言われています。実際、教員不足は大きな社
会問題になっており、なんと数年で4割の教師が教職を離れてしまうらしいの
です。よりアカデミックな内容になる程、それを教えられる人は少なくなり、
そのせいで週4日しか開けられない学校が出るなど、問題はより深刻化してい
ます。


「SATs とは?」

「Standard Assesment Test」の略です。 Year2,Year6,Year9 のそれぞ
れの学年末(5月頃)に行われる全国統一テストの事です。イギリスのカリキュ
ラムは、3〜4年毎に学習内容を区切る Key Stage に分かれており、それぞ
れの Key Stage の終了時に行われるこのテストで、その Key Stage の習熟
度を計ります。Key Stage1を Reception〜Year2で学び、 Key Stage2は
Year3 〜 Year6 、 Key Stage3 が Year7〜Year9の子供達を対象にし
ています。
科目は Key Stage1のテストは「英、算」の2科目、Key Stage2 以降は
「英、算、理」の3科目あります。
その結果は Level で示されます。Year2 では Level2、Year6 は Level4
以上が合格です。
この合格点に何%の児童が達したかが学校毎にデータ化されるので、学校側と
してはこのテストの結果に大変神経を使います。 学区に関係なく親が学校を
自由に選べるので、このテスト結果が学校の評価に直結するのです。
学校を序列化する事で、学校間の競争意識を持たせようという意図があり、教
育改革の中でも成果があったものとされています。
難があるとすれば「League Table」と呼ばれるこのテストの結果を順位化し た
表に、親がとらわれ過ぎてしまう事。自分の住む自治体のトップから最下位 ま
での学校がわかるのですから、誰でも順位の高い学校へ入れさせたいと思う も
の。当然人気校は全員希望者を受け入れられませんから、独自の学区制を持 ち
出してくるようになります。そうすると人気校の学区の住宅価格が高騰した り
など意外な弊害も起こっています。
またこの5月にやった SATsの全国試験の結果が発表されています。教育
相としては目標のターゲットに及ばず辞任? 男の子の英語のライティングが
大きく足を引っ張った結果らしいです。うちのもライティングが一番苦手なの
で耳の痛いところです。


「それぞれのステージで何をどの位理解できていたらいい?」

何歳でどんな事を学ぶのか説明だけじゃよく分からないから、実際の問題を見た
い!と思われる向きにはこちらをどうぞ。特にlearn.co.ukのサイトはそれぞれ
の教科内容の全域をカバーしているのでとても役に立つのですが、低学年向きは
載っておらずいまひとつ資料不足になっている事をご了承ください。

Key Stage 1(7才)Key Stage 2(11才) Key Stage 3(14才)
算数
英語


算数
英語
理科


算数
英語
理科




小学算数カリキュラム日英比較


日本 (新学習指導要領)
イギリス
4、5才
年中/Reception
該当せず 10までの暗唱、
+1と−1、
円、三角、四角の特徴
5、6才
年長/Year1
該当せず 20までの数、倍と半分の意味、
長さ量の大小、身近な形から立体的
な形までがわかる。
6、7才
小1/Year2
1から100までの数の表し方と意味、
一桁の足し算と引き算、
基本的な物の形やその特徴
100までの数、奇数と偶数、
2倍と1/2、cm、2の段と10の段
立方体
7、8才
小2/Year3
二桁までの足し算と引き算、
一桁同士のかけ算、四桁までの数、
九九、長さの単位(m,cm,mm)
1000までの数、分数を使って数や形を
分ける、繰り上がり下がりのある
足し算と引き算、5の段と×100、
時間、直角、左右対称、表とグラフ
8、9才
小3/Year4
3桁の足し算の引き算、重さ、
2桁×2桁のかけ算、時間の単位、
除数が一桁の割り算、 あまり、
正方形と長方形、直角三角形
不等号、四捨五入、分母が同じ
分数の足し算と引き算、3桁の筆算、
九九3の段と4の段、余りのある
割り算、長さ、量の計算、多角形
9才、10才
小4/Year5
億と兆、概数、正方形と長方形の面積、
折れ線グラフ、 3桁÷2桁の割り算、
小数点以下第一位までの少数、角度、
分数の基礎 、円の基礎、四捨五入
÷10と÷100、少数第二位までの意味、
分数と少数の関係、4桁の筆算、
九九の完成、二桁のかけ算と割り算、
面積の計算、平行
10才、11才
小5/Year6
偶数と奇数、少数のかけ算、割り算 、
分母が同じ分数の足し算、引き算 、
三角形、平行四辺形、円の面積、
円周率、百分率、円グラフ、帯グラフ
少数×100÷100、約数、分数と整数の
計算、%、四則計算、九九を使った
割り算の暗算、3桁×2桁、角度、
三角形の面積、グラフとチャート
11才、12才
小6/Year7
約数と倍数、最大公約数と最小公倍数、
分母が異なる分数の加減乗除、
立方体と直方体の体積、速さ 、
比、比例の表やグラフ、平均
Secondary School(中学)



日英のカリキュラムを比べてみて

イギリスでは、教科書は学校で借りるので手元に無く詳しく比較はできません
が、小学校高学年ともなると、日本の方が1〜2年進度が進んでいる様に思わ
れます。
なぜイギリスの方が2年も早く教わり始めるのにこんなに差が出てしまうので
しょう。理由の一つに「基礎計算を甘く見ている」のがあると思います。
引き算を教えるのに、「引く数が元の数になるまで数字を足していく」妙なや
り方をするし、さすがに最近の指導要領では無くなった様ですが、低学年に電
卓を与える事もありました。それと「『九九』が無いため中高学年の計算問題
の幅が広がらない」のも問題です。
日本のカリキュラムでは、2年生で習う「九九」を完全にマスターしない限
り、とても先には進めない様になっていますが、イギリスでは、最初に×2を
教えた後、1/2と分数の概念に早くも踏み込んで行きます。
高学年になると、集合、割合、比例などびっくりする様な進んだ宿題を持って
きたと思えば、日本で1年生がするような足し算引き算の問題をやっていたり
もするのです。もちろん掛け算割り算が完全でない状態で進んだ概念だけを習
うのですから、できる内容は限られたものになってしまうでしょうね。
改めて日本の「九九」の偉大さを実感しました。




イギリスの学校参考リンク

「イギリス現地校情報!」 英語環境に慣れない場合は、こちらの現地校体験談をどうぞ。

「小学生からのイギリス留学」ボーディングスクールへの留学を成功させた貴重な体験記。

「BBCの算数ゲーム」11〜14才向け(Stage3)の算数オンラインゲーム。日本のお友達も挑戦してみて!

DfES (Department for Education and Skills) 気になる全国の小中学校リーグテーブルはこちら。

「National Curriculum: Maths」イギリス教育指導要領の算数のページ。他の教科へも飛べます。

「schoolsnet.com」イギリス全国の学校の情報を網羅。学校によっては政府機関によるレポートも。

「BBC Education」 さすがニュースのサイトだけあって情報の更新が早い!

「Education Guardian」 大手新聞社の過去の教育記事も検索できる。

「英国公立学校話」中学校の教師から見た生の現場の様子はこちら。

「イギリス生活ガイド」ここの教育欄にイギリスの学校システムについての大まかな解説あり。