今日は朝から営業でまわっていた。
俺の仕事は雑誌の仕事。

でも、前は夜の仕事をしていた。
名古屋のジェラシーという店。

高い車に乗って
高いスーツを着て
ブランドな時計・・

今、考えれば
それはそれで楽しかったな。

でも今は、、それほど高くはない給料で
こうやって一日中働いてる。
こういうのもいいものだ。
若い時は考えもしなかったけどさ。

さっさと病院へ行って
検査をしたほうがいいとはわかっていても

恐いんだ。

だから、結局、病院へ行ったのは夜の診療が終わる20分前。
かかりつけの病院へ行った。
病院へ行く途中嫁から携帯が入る。
「病院、行ってきた?」
やっぱり心配なんだろうな。

待合室は、薬の受取待ちな患者だけで
直ぐに、俺は診察室へ呼ばれた。

  「どうされましたか?」
  「食欲がないんです。咳も少し出てます。」
  「他には?」
  「胸が、、こう肺のあたりがちくちくするんですよ」
  「じゃぁ、レントゲンを撮ってみましょうね」

数分後、もう一度、診察室へ呼ばれた。
レントゲンがはってあった。
そこには、あるはずのない黒い大きな影が
しっかりとうつっていた。

俺は不安をかき消すように明るく振る舞った。
  「先生〜、こんなのあったらダメですよねぇ」
でも、医者の表情は固まっていた。
  「これ、なんですか?」
  「さ・・さぁ・・・」

若い医者だからか、上手に言えない医者なのか
俺の質問に「さあ?」って・・・
明らかに返答に困っているようだ。

 「紹介状を書きますので、八事日赤に行ってください。」

その後は、、なにをどうして
病院を出たのかは、あまり覚えていない。
ただ、

  うそだろ?
  こわい・・・
  イヤだ・・・

そういう気持ちの交錯だけだったように思う。
家に電話をする。
  「病院、行って来た」
  「先生は何だって?」
  「俺なぁ、アカンかもしれんぞ」
  「なんでそんなこというの?」
  「影があった。拳ぐらいの。」
  「・・・でも、ほら、良性って言うことだってあるから」
  「そうかな・・?」
  「そうだよっ。大丈夫。」

嫁は明るい声で俺に話しかけてきた。
そう話してるけど、きっと心ん中じゃ
思いっきりへこんでいると思う。

家につくと息子がまだ起きて俺を待っていた。
  「パパ、おかえりなさーい」
こいつは無邪気だな。 こいつの為にも
俺が病気になるわけがないよな。
一生懸命、幼稚園での出来事を俺に聞かせてくれる。
こいつの為に、あれほど吸っていたタバコをやめたんだ。
もう2年たつんだ。

体を鍛える為に毎日、走ってもいれば筋トレもしてる。
こいつが成長して、
一緒にスキーへ行ったり海へ行ったりしたいんだ。
その時、オヤジになって体力がないようじゃ格好悪いと思うから
俺は俺なりに鍛えてきたんだ。

こんな俺が病気になるわけがないっ。

嫁が、俺に何か食べる?と聞いてきた。
やっぱり食べる気にはなれない。

明日、八事日赤へ行くように言われた事を
嫁に伝える。
  「一緒に行く」
そう言ってくれたが明日は息子の遠足だった。
俺は1人でも大丈夫だから子供についていくように言う。

本当は、恐い。
でも、子供が自分だけ母親が一緒ではない
遠足を体験するのは、可哀想だ。

明日か。
神様なんて信じちゃいないけど
こういう時は何故か、神様にお願いをしてしまうな。

本当に、、
まだ俺をそっちの世界へ連れて行かないで欲しい。

明日は、仕事を休まないと病院へ行けないな。。