
TEXTS
cgi
boyでレンタルしている日記の「勝手にコラム」に投稿した作品です。
読み返すと駄作ぽっい気もしますが・・・。
1ワルツ・フォー・デビイ
2奥さん、今はいてるパンティーください!!
3金縛りのときに見る夢は・・・
4究極の幸せ
5究探偵ファイナル!?
6冬のぞくりはぞくりの3乗
ワルツ・フォー・デビイ
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車のスピーカーから流れてくるのは「ワルツ・フォー・デビイ」。ビル・エバンスのピアノが心を和らげる。このアルバムはビレッジ・バンガードでのライブ録音なので、ときおり客の会話やグラスの触れ合う音が聞こえてくる。いつもは耳障りに感じていたその音が、今は心地よく感じる。 次の信号を右折し、300メートルほど行けば、そこが彼女のマンションだ。出張に行くと聞いて、そこならアレを買ってきてと言われ、買ってきたお土産が無造作に助手席に乗っかっている。同じ包装のものがふたつ。
マンションの前で車を停め、お土産をひとつだけ持ち、雨の中を走った。エントランスのインターホンで彼女の部屋番号を押し、応答を待つ。 「俺だけど・・・」 「おかえり」 そこで待ってて、という彼女に従い待つ。 「おみやげ」 俺は感ずいている。彼女は感ずかれているのを承知している。 やはり付き合った10年という年月は重過ぎる。 「じゃ、また」 二人でまるで符号のような言葉を交わす。
会社の同僚の子に、もうひとつの包みを渡すために。 その子にとっては、ただ、待ち合わせ場所のジャズ・バーに一度いってみたかったというだけなのだろう。 駐車場に車を停め、雪の結晶が混じりだした雨の中を、また走る。 暖房が効いた店内に入ると、その子が振り返る。 「これ、おいしいんですよね」 ラガヴリンのストレートを喉に流し込んだ時、「ワルツ・フォー・デビイ」の最初の曲マイ・フーリッシュ・ハートが流れ出した。酒と音楽が同時に心に染みていく。 その子は、ジリ・リッキーを飲みながら、出張の成果を聞いてよこす。ぼちぼち、と言葉を濁す。 次の曲、アルバム・タイトル曲でもある、ワルツ・フォー・デビイが流れ出す。今日はこれで、二度目だ。 悲しげな、それでいて力強いメロディーを頭の中で追いかけてみる。昂ぶった心がクールダウンしていく。
何もかもが、うまくいきそうな、一日の終わりに思えた。 とりあえず今すべきことは、目の前に置かれた、マルガリータを飲み干すことだけだ。
その後、その子とわずか3ケ月後に結婚し、今は二人の子供がいる。二人とも女の子だ。 この子たちと出会えたことを、ワルツ・フォー・デビイという曲に感謝しよう。 |
奥さん、今はいてるパンティーください!! |
クリスマス・イブのその日、何の予定もなく一人寂しく仕事場からパチ屋に直行して、コテンパンに負けた夜の話である。 突然の電話のコール音で、コタツから出てしぶしぶ受話器をとった。 フルネームを知っているのは不思議だが、こんな女は知らないと確信し言ってみた。 体が震えてきた。廊下においてある電話で話していたので寒さもあるが、それ以上にこの展開のために。 しばらくは、俺も興奮して言葉を返していたが、ふと気付いた。 しかし、録音と交番の話は気になる。 事情を話すと、警官は苦笑いしながら「ああ、あの奥さんですね」と言った。 とてつもなく長く感じた20分が過ぎ、警官からの電話がかかってきた。 結婚と同時に妊娠・出産したその女は、出産直後にダンナの勤務する会社のかなり大きな社宅に引越しした。 |
金縛りのときに見る夢は・・・
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この間、新聞を読んでたら載っていた記事。
レム睡眠(浅い眠り)の時にしか夢を見ないと言われていたが、実験の結果、ノンレム睡眠(深い眠り)の時にも夢を見ているという結果が出たそうです。
以下のテキストは、多分レム睡眠時に見る夢の話です。
私が始めて金縛りにあったのは、中学生の頃。
それ以来、ちょくちょくかかるようになり、恐怖の時代が続いていったのです。
なにが怖いかというと、このまま寝ていると金縛りになるというのが分かる瞬間と、金縛り中に踏ん張って、何とか体を動かして、部屋の明かりをつけたと思ったら、それが夢で、金縛りが続いているという状態ですね。
しかし、あまりに頻繁になっていると、いくらか客観的に分析できるようになりました。
明け方まで起きていて、体は疲れているのに、頭(脳)の方は、興奮状態で眠れずにいてる状態の時や、運動した日などに、体が疲れまくりの状態で寝ようとした時など、明らかに「体は眠っているけど脳が寝てない」時に金縛りになることが。
原因が分かると、それ以降は金縛りを楽しむ余裕も出てきました。
しかし、20歳頃でしょうか、それまでの金縛り(ただ、体が動かない)とは違うパターンの金縛りが、出現してきたのです。
まず一つ目は、誰かにかなり激しくつねられていて、かなり激しい痛みをを感じるもの。
二つ目は、なにかとてつもなく大きなパワーで、体が部屋中を縦、横にスクロールし、激しく壁にぶつかり、これまた痛みが激しく襲うパターン。
そして三つ目は、金縛り中に目が開くと、目の前に見知らぬ人が立っているパターン。
さすがに、見ず知らずの人が立っていたのにはビックリしました。
夢なら既知の人しか出てこないんじゃないか?
やはり幽霊か?と。
金縛りは霊現象じゃないと思い始めていたのに、逆戻り状態・・・。
おまけに、よくよく考えると、同一パターンの金縛りは、同一の場所で起こる可能性が高いのです。
当時は、宿直のある仕事をしていたのですが、宿直室と自宅では、パターンがまるっきり違うのです。
これは霊現象に違いないと思うようになったある日、ふと、妙なことに気づきました。
私の視力は、0.01以下。寝る時は、もちろんメガネをはずします。
ところが、金縛り中にでてくる人の姿は、暗闇であるのにもかかわらず、顔から服装から、はっきりと認識できるのです。
普通なら、メガネがないと、色と輪郭程度しか分からないはずなのに・・・。
そう気づくと、また、金縛りは一種の睡眠時のトラブルだと思うようになり楽しめるようになりました。今では夢を見ながら、夢を見ていると認識できる時もあり、思うようにストーリーを進められることもあります。
ちなみに、私は一度だけ金縛り中に、意識が体を抜けられそうだ、という感覚を味わったことがあります。しかし、その時は、自信を持って金縛りは霊現象ではない、と思っていなかった時期だったので、このまま体を抜け出したら、戻れなくなるんじゃないかと思い、好奇心を何とか抑えたのですが・・・。
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もし、永遠の命を手に入れたら私は幸せだろうか? その日、午後はずっと会議だった。 一次会が終わる前に一人で抜け出し、その店のある狭い通りからタクシーの拾える大きな通りへ歩く。 ふと、開店から間もないような外装の店が目に付いた。 中に入ると、店内は10席ほどのカウンターだけのこじんまりした店だった。 そして、私はフリーズした。 目の前にいるバーテンダーは、高校生の頃に一緒のクラスにいた女の子だった。 「どうかいたしましたか」と聞いてくるので、「いえいえ、あまりにカクテルが美味しかったのでびっくりして」と答え、平静を取り戻す。いや実際、カクテルは飛び切りの味だった。 それから、ジン・リッキー、ホワイト・レディー、バラライカ、XYZと飲み続けた。そうするうちに緊張が解けて、高校生の頃の同級生に瓜二つだということ、事件のこと、その女の子が学校で際立った存在で人気が高く、私も密かに思いを寄せていたことなどを話すと、そのバーテンダーは心地よい相槌を打ちつつ、微笑しながら聞いてくれていた。 「もしかしたら、実は君は私の同級生で、魔女やドラキュラの類で年をとらないというオチだったりして・・・」 自分の中で一度否定した「同級生?」という考えを反芻していると、 それからは、好きな音楽の話とかカクテルの話とかで終始し、心地よい時間が過ぎていった。 勘定を払おうとした段階になって、一次会の会場にコートを忘れていることに気付いた。財布をコートのポケツトに入れていた。今の時間ならま、だその店は開いているので、すぐ取りに行って戻って来ると言うと、「次にお見えになった時でいいですよ」と言ってくれた。
昼過ぎに起き出し、ぼーっとしながら夜を待ち、カクテルバー・らせんのあった場所に行ってみた。財布を忘れ、飲み代も払っていなかったし・・・。 強く吹き出した冬の風を受けながら、昨日コートを忘れた店に向かって歩き出すこと以外、なす術はなかった。
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探偵ファイナル!? |
「2004年6月1日、12時20分。バイクで勤務先から外出。尾行開始」
ボイスレコーダーに記録を残し、私もバイクで対象者の後を追う。 私は探偵である。地味で低収入な、しがない探偵である。
マーロウやスペンサーのように、ハードボイルドでもなければ、
工藤ちゃんや濱マイクのようにストイックでもない。
目の前の仕事を単純にこなし、日々の糧を得るだけだ。
仕事の主なものは浮気調査や家出人の捜索。
最近では、ストーカーや結婚詐欺師と思われる人物の身元調査も増えてきた。
長い張り込み時間の地味さに比例して、収入も地味だ。
宝くじやトトで大金をゲットすれば、今にでも辞めてしまいたい職業である。
今回の依頼人はごく普通の専業主婦。
「自宅で食事を全く摂らない」と依頼人の夫である、
対象者の挙動不審を疑っていた。
口には出さないが浮気を心配しているようだ。
「直接ご主人に聞いたらどうですか?」という言葉を飲み込み、
依頼を受けた。不景気な昨今、ばかばかしい小さな仕事でもこなして行かなければ、明日にでも餓死しそうな経済状態なのだから・・・。
対象者は程なく、ラーメン屋に入っていった。
「東洋軒」という屋号のその店に私も入る。
対象者はカウンターの一番奥に座っている。
私はカウンターの一番手前に。
対象者はラーメンと小ごはんを注文。私はラーメンのみ。
数分後に出来てきたラーメンを目前にしても、対象者はすぐには食べなかった。
携帯とデジカメで何枚も写真を撮っている。
中年のオヤジが、ラーメン店でバチバチとラーメン画像を撮る。
なんとも滑稽な絵面である。
ラーメンはさほど好きではない私は、出されたラーメンを見ながら、
ちゃんぽんにした方が良かったかなと後悔した。
というのも、なんとも薄味でガツンと来るものがない、
凡庸なラーメンだったからである。
スープの色も、豚骨なら茶褐色系だろうという私の概念を覆すような、
乳白色である。麺も軟麺でなんとも表現しがたい食感である。
佐賀ラーメンと言うのだろうか??
この味は私には許容しがたい。
これならシコシコと2DKの事務所兼自宅のマンションで、
「うまかっちゃん」でも食っていたほうがマシだと心底思った。
私がラーメンを半分ほど食べた頃に、対象者はラーメンと小ごはんをたいらげ、
勘定をしだした。
おいおい、なんという早食いだ。
これでは依頼人は、対象者の浮気より食生活を心配すべきではないか?
という疑問がふつふつと湧き上がる。
塩分過多のスープまで全て飲み干しているようなので、
間違いなく三大成人病予備軍である。
「いい大人が・・・」と突っ込んでやりたい心境だ。
仕方なく私も、食べかけのラーメンを残し店を出る。
対象者は全く私の方には視線をよこさない。
ラーメンに取り付かれているかのように、
ラーメン店を目指し走り、ラーメン画像を撮り、ラーメンを早食いする。
まさに一心不乱である。
ここまで来ると探偵失格であるが、少しは尾行に気づけと言いたくなる。
対象者はバイクで職場に戻った。
これから夕方の退社時間まで、長い退屈な張り込みを戸外で続けることになる。
依頼者からの情報によると、今日は上の娘がバレエの発表会の練習のために、
依頼者が下の娘も連れて、送迎をする予定らしい。
それで対象者は今晩一人で、フリーな時間が持てるとのこと。
今晩は「しっぽ」を捕まえる、絶好のチャンスなのである。
18時過ぎに対象者が職場から出てきて、帰途についた。
どうやら、寄り道をせずに自宅へ帰る模様である。
こじんまりとした社宅の通路で部屋の様子をうかがっていると、
対象者がすぐに着替えて出てきた。
今度はバイクではなく自動車で移動するようだ。
いよいよかと思い、私は心を引き締めた。
追跡中の信号待ちの間に、証拠写真をとるためのデジカメのスタンバイを確認する。よく、記録用のデバイスをパソコンのスロットに挿入したままで、
出かけてしまうことがあるからだ。大丈夫だ。
対象者の車は西部環状線を東に走ったあと、空港道路入り口交差点で右折し、
南下した。佐賀空港へ続くこの道は、
両サイドが田んぼで、なんとものどかな風景である。
ちょうど沈みかけた太陽が西の空にぽつねんと浮かび、
雲を茜色に染めている。
対象者の車は、高架を渡りきったところに位置する交差店を左折した。
バイクでかなりの距離を取って追跡しているが、
決して見失うことがないくらい、交通量は少ない。
かえって、少なすぎて追跡を悟られないかと心配な程である。
しばらくして対象者の車が、とある建物の駐車場に停まった。
なにやらプレハブの建物のようである。
怪しげにパトライトが回転している。
その下には、「スナック・ハッピー」と「ラーメン・いちげん」
と書かれた看板がある。問題はその看板である。
ピンクとブルーという配色といいデザインといい、
ダサうまの極地のような看板である。
ダサイのかクールなのか判断しかねるようなブツである。
私は思わず、今朝のテレビで見た、あの庵野監督が作る
キューティーハニーでのサトエリの変身シーンを思い出してしまった。
どちらもなかなかのサイケデリック具合である。
私は道路の対面にあるコンビニにバイクを停めた。
対象者は多分、スナックのほうに入るんだろう。
昼食もラーメンだったのだから、またラーメンを食べるなんてことは
到底考えられない。もしそうなら人間失格である。
少なくても分別のある大人のとる行動ではない。
スナックで女性と待ち合わせか?だとすれば少々困った展開だ。
こんな田舎のスナックである。特に今の時間には、客が何人もいるわけがない。
私もスナックに客を装い潜入し、証拠写真を撮るというのはかなり難儀だ。
となれば、一緒に出て来るところをツーショットでいうことになるが、
フラツシュを焚かなければならない時間帯になるだろうし・・・。
今日は暗視撮影用の準備がないのだ。
しかし、私の心配は苦慮に終わった。
なんと対象者はラーメン店の暖簾をくぐったのだ。
「そな、あほな」と一人ツッコミをしている場合ではない。
バイクをコンビニに置いたまま、メッツのキャップと度なしメガネという
安直な変装で、ラーメン店に入ることにする。
道路を渡っている時点で、豚骨の獣臭が漂ってきた。
「オーマイガッッ!」私はひとり愚痴る。
どうせラーメンなら、「塩」か「醤油」という嗜好の私には、
この匂いだけで、意識が南回帰線あたりまでひいてしまう。
対象者はL字型のカウンターの長辺側の中ほどに座っていた。
私は短辺側の一番奥、壁際に座る。
「ラーメンね」対象者がオーダーする。
ビールでも飲みながら待ち合わせかと、一縷の望みを抱いていたが、
その望みは、海辺の砂の城のように跡形もなく消え去った。
仕方なく私もラーメンをオーダー。
本当はコーラあたりにしたいのだが、怪しまれないためにはこうするしかない。
ラーメンが出来上がると、またぞろ対象者は例の「儀式」を始めた。
携帯とデジカメでの写真撮影だ。
アングルが気に入らないのか、途中で椅子から立ちあがり、
俯瞰の構図で収めている。私はいたたまれない心持ちになってしまう。
こんな奴と同じ場所で同じ時間を共有するなんて反吐が出そうだ。
私のラーメンも出来てくる。
昼間の店と違って、私のイメージどおりの豚骨ラーメンの色をしている。
店外に漂っていた、妙に鼻を突く獣臭もそれほど気にならない。
スープを飲むと、旨みが凝縮された味の奥行きが感じられる。
豚骨もいいのでは、と一瞬考えてしまった。
対象者は「今日もなかなかだね」と、茶髪の店主に話しかけている。
どうやら常連のようである。
尾行そのものは簡単すぎるくらい簡単なのだが、
なんとも精神的なストレスの溜まる尾行である。
対象者のような人種を「ラーメンオタク」とでも言うのだろうか・・・。
はたから眺めていると、爽やかなものではない。
対象者の車は、そのラーメン店から出た後、
自宅を通り越して行った。「いよいよか」と期待が膨らむ。
佐賀大学の交差点を右折してすぐの、「マンガ倉庫」という
中古コミックを主に販売している店の、駐車場に車は停まった。
対象者は「マンガ倉庫」の入り口には向かわずに、
駐車場のフェンスを飛び越えて敷地外に出た。
「今度こそ、近所の居酒屋あたりで待ち合わせか?」
と思った刹那、対象者は「池田屋」と書かれた幟が掲げられた店に消えた。
おいおい、ここは「ちゃんぽん屋」だぞ。
さっきラーメンを食ったばかりではないか。
見るからに狭そうなその店内に、意を決して入ることにする。
対象者は三席ほどの小さいカウンター席に、
私は入り口に一番近いテープル席に陣取った。
「蒸し麺でちゃんぽん」
ここでも本当に食べるつもりらしい。
メニューを眺めると、カレーがある。心底助かったという心境である。
もう麺は御免だ。私はカレーをオーダーする。
このカレーが意に反して旨かった。甘味と辛味が微妙なユニゾンを奏でる。
こんなところにこんな店があるとは。ささやかな今日の収穫である。
対象者はその後、コンビニに立ち寄り「白波」と「ピスタチオ」を買い込んだ。
そして、自宅へ戻ってしまう。
いやはや、今日の一日は何だったんだ。
これが対象者の日常であろうか。
ただの「麺馬鹿」というだけではないか。
依頼者に追加調査を提案するのは、全く馬鹿げている。
それは、私がどんなファクターを考慮してもダービーを獲れない
というのと同じくらい確かだ。
今日の救いは、調査に要した必要経費がラーメン二杯とカレーという
小額で済んで、依頼者から感謝されるくらいのものだ。
「逆ハードボイルド」な探偵業務は、なんともツライ。 【最終調査報告書】 浮気ではない。完全無欠な本気です。「Fall in love with 麺.」 対象者は、あまりにも小さな刹那の「“しあわせ〜”を感じる瞬間」に走りすぎて、「しあわせ」の本質が見えていません。 かけがえのない、「家族」というプレシャスな「しあわせ」の尊さが理解できていません。 ただ、手遅れではないかも・・・。
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冬のぞくりはぞくりの3乗
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毎年、12月になると思い出す話を。 そいつとは会社の同僚だったんですが、その当時は配属場所が違い、めったに顔をあわせる機会が無かったんで、久しぶりに会ったんですよ、パチ屋で。
パチンコで二人とも勝ったこともあり、飲みに行くことにしました。
焼き鳥を食べた後、スナックに行こうと歩いていると突然、そいつは、飲み屋街の道端によくいる占いのおばさんに「占ってもらう」と言い出したのです。
占いを信じるようなタイプでは、まったくないし、
どちらかというと私と同じような、「金をドブに捨てるようなもの」と、考えるようなやつだったんです。
いぶかしがり、さっさと行こうと言っても、聞きません。
仕方なく数分の間、待つことにしました。
占いのおばさんは手相を見てたんですが、当たり障りの無い、誰にでも当てはまりそうな話でお茶を濁しています。
数千円を払いそいつは、満足そうな表情を浮かべていました。
それから数ヵ月後、残業をしてたら電話がかかってきました。
対面に座っている女性がその電話を取ったんですが、
その女性の表情が、一瞬にして曇ったんで「すわっ、何事か」と電話の応対に聞き耳を立てました。
あいつが飛び降り自殺をした、ビルの6階から。
この間、一緒に楽しく飲んだあいつが。
その後の家族の話でも、自殺の原因となるようなことは、何も心当たりが無い、という話でした。
何が、彼を自殺に追い込んだのか、
結局、全ては藪の中で何一つ分かりませんでした。
それから一年後、会社の忘年会の会場に向かうためタクシーに乗ってる時に、ふと、あいつのことを思い出しました。
というのも、あの時二人で歩いた同じ通りを、タクシーは走っていたからです。
あれからもう一年か、と思っていると、忘年会シーズンという事もあってタクシーの空車が多く、飲み屋街だから前が詰まってしまい、乗ってるタクシーが進みません。
何気に外の風景を見ると、ちょうど真横に占いのおばさんが営業してました。
「あれっ、あいつが占ってもらったおばさんだ」
なぜか、顔を良く覚えていました。
次の瞬間、一つのフレーズがフラッシュ・バックしながら記憶に蘇ってきました。
あいつが一年前に、このおばさんに言われたフレーズが。
「来年はいい年ですよ。でも、新聞に載るようなこととか、警察沙汰とかには気をつけてくださいね」
血の気が引くような感覚でした。
占いが図らずも当たってしまったということも、そうなんですが、渋々待っていて、先を急ごうとしていた私が、なんでそのフレーズだけを鮮明に覚えているのか?
このおばさんの顔を何故こんなに明確に覚えているのか?
あいつが自殺したということを聞いたときにさえも、
思い出ださなかったことを、何故今、思い出すのか?
その日は、いくら酒を飲んでも酔えませんでした。
占いなんて、所詮インチキだといくら自分に言い聞かせても・・・。
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