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学童保育の関連法規から
(更新2003.02.27)

はじめて、学童保育に関わる方には、このページはやや取っつきにくいかと思いますので、「学童保育の実際」のページからご覧になることをおすすめします。
 このページで掲載しております挿絵は、出町書房「ちるどらんど」のイラストを画像処理して使用しています。

 学童保育は法的に様々な根拠を持っていますが、その代表的なものを見ていきます。また、関連法規に対する解説や評価はあくまで遊邑舎独自のものであることを考慮して下さるようお願いします。

日本国憲法

 1.日本国憲法前文からの抜粋

前 文 ・・・・・そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。・・・・・

 2.日本国憲法条文からの抜粋
第3章 国民の権利及び義務
第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

 3.日本国憲法と学童保育
 憲法前文は憲法の基本精神を表し、国民(「子ども」当然小学生を含む)に不利益な(福利に反する)一切の法規はあってはならないことを示しています。すなわち、保育を必要とする小学生に不利益となる法律CUT-母と子1 ・条例・制度などはあってはならないのです。また、条文を見てお分かりと思いますが、保育を必要とする小学生の、「幸福追求」(第13条)を果たしうるものや「健康で文化的な最低限度の生活を営む」(第25条)ためのものとして、学童保育が必要条件となることがその帰結として導き出されます。しかも、「国政上で最大の尊重を必要と」(第13条)され、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」(第25条)としています。このことは、現実の政府がとっている学童保育政策が、極めて不十分なものになっていることを浮き彫りにしています。

この章続く(2003.01.26現在 推敲中!)
子どもの権利条約

 1.子どもの権利条約(政府訳)からの抜粋
第1条 この条約の適用上、児童とは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、当該児童で、その者に適用される法律によりより早く成年に達したものを除く。

第18条 1.締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。

2.締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとし、また、児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保する。

3.締約国は、父母が働いている児童が利用する資格を有する児童の養護のための役務の提供及び設備からその児童が便益を受ける権利を有することを確保するためのすべての適当な措置をとる。

 2.子どもの権利条約(国際教育法研究会訳)からの抜粋・引用
第1条 この条約の適用上、子どもとは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、子どもに適用される法律の下でより早く成年に達する場合は、この限りでない。

第18条 (親の第一次的養育責任と国の援助)
1.締約国は、親双方が子どもの養育および発達に対する共通の責任を有するという原則の承認を確保するために最善の努力を払う。親または場合によって法定保護者は、子どもの養育および発達に対する第一次的責任を有する。子どもの最善の利益が、親または法定保護者の基本的関心となる。

2.この条約に掲げる権利の保障および促進のために、締約国は、親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適当な援助を与え、かつ、子どものケアのための機関、施設およびサービスの発展を確保する。

3.締約国は、働く親をもつ子どもが、受ける資格のある保育サービスおよび保育施設から利益を得る権利を有することを確保するためにあらゆる適当な措置をとる。  

 3.子どもの権利条約について
 同じ条約であるにも関わらず、何故違う訳語があるのでしょう。そこには、今の政府の保育や子育てに関する考え方が反映されていると思われます。訳語の違いでまず気付くのが「児童」と「子ども」の違いです。第1条を見る限り、どちらでもいいと思われますが、政府が「児童」にこだわるのは児童福祉法などの国内法規との整合性を考慮しているからだと思われます。

 次に、気付くのが第18条の3項にある「養護」と「保育」との違いです。この違いは、政府の保育の考え方を如実に表しています。そもそも、この条約の原文(英語)でそれに当たる語は「child-care」となっており、英和辞書の多くは「保育」を代表的な訳にしています。それにも関わらず、政府は何故別の訳をあてているのでしょうか。これもまた、児童福祉法との整合性を考慮したからであろうと考えられます。 

 児童福祉法の第24条では、「保育」の対象が原則として乳児と幼児に限られており、これでは子どもの権利条約そのままの精神である、「子ども」は年齢で差別されず「保育」をうける権利があることに抵触するおそれがあるからだと思われます。しかし、政府のこの配慮は子ども達には何らの益をもたらさないというより、不利益をもたらすと断定していいと思います。せっかく、子ども達のために作られた条約です。政府が、一刻も早く条約そのままの精神に立つことが望まれます。また、そのためのあらゆる活動は、条約締結国の国民としての責務でもあります。

児童憲章

 児童憲章の全文
CUT-けん玉1 われわれは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい概念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。

児童は、人として尊ばれる。
児童は、社会の一員として重んぜられる。
児童は、よい環境のなかで育てられる。

1 すべての児童は、心身ともに健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。

2 すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童にはこれにかわる環境が与えられる。

3 すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害からまもられる。

4 すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を自主的に果たすように、みちびかれる。

5 すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。

6 すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整った教育の施設を用意される。

7 すべての児童は、職業訓練を受ける機会が与えられる。

8 すべての児童は、その労働において、心身の発達が阻害されず、教育を受ける機会を失われず、また、児童としての生活がさまたげられないように、十分保護される。

9 すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、わるい環境から守られる。

10 すべての児童は、虐待・酷使・放任その他不当な取扱いからまもられる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。

11 すべての児童は、身体が不自由な場合または、精神の機能が不十分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。

12 すべての児童は、愛とまことによって結ばれ、よい国民として人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。

 児童憲章について
 児童憲章は、憲法の精神を児童福祉政策により具体化させた根本法規です。当然、次に掲げる児童福祉法は、憲法とこの児童憲章をさらに具体化したものでなければなりません。この様に、児童憲章は子どもに関わる様々な政策や取り組みなどを論ずる上で大変重要な意味を持っています。しかし、現状は少し影が薄いかのような印象をかもしだしていると思います。

 条文は、比較的分かりやすい言葉で書かれており、解説を必要とはしません。だから、現在行われている保育を必要とする小学生のためのあらゆる施策、たとえそれが「児童一般の健全育成事業」であれ呼称が「学童保育」であれ、児童憲章に合致したものであるかの吟味は簡単だと思います。しかし、ローテーションなどでころころ変わる指導員や指導者のもとでの施策(事業)などは、児童憲章通りの「児童育成」が条件的に難しいと思われるのに、財源が無いなどの理由によりいとも簡単に実施されています。この様に児童憲章が全うされ得ずにいるケースが全国各地に多くあります。児童憲章を試金石として、国や自治体の「学童保育」施策を見直してみるのも大切なことだと思います。(2003.02.12.初掲)

児童福祉法

 児童福祉法は、学童保育にとって具体的で身近な法律で関連条文も多いので、幾つかに分けて考えていきます。(条文の分析・評価については、準備中で後日掲載いたします。2003.02.27)

 児童福祉法の抜粋(その1)
第一条 すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
2 すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。

第二条 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。

第三条 前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。

 児童福祉法の抜粋(その2)
第四条 この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。
 一 乳児 満一歳に満たない者
 二 幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
 三 少年 小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者

 児童福祉法の抜粋(その3)
第六条の二
7 この法律で、放課後児童健全育成事業とは、小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、政令で定める基準に従い、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。

 児童福祉法の抜粋(その4)
第七条 この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童厚生施設、児童養護施設、知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。

 児童福祉法の抜粋(その5)
第二十一条の十一 市町村は、児童の健全な育成に資するため、第六条の二第七項に規定する児童の放課後児童健全育成事業の利用に関し相談に応じ、及び助言を行い、並びに地域の実情に応じた放課後児童健全育成事業を行うとともに、当該市町村以外の放課後児童健全育成事業を行う者との連携を図る等により、当該児童の放課後児童健全育成事業の利用の促進に努めなければならない。

 児童福祉法の抜粋(その6)
第二十四条 市町村は、保護者の労働又は疾病その他の政令で定める基準に従い条例で定める事由により、その監護すべき乳児、幼児又は第三十九条第二項に規定する児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申込みがあつたときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない。ただし、付近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護をしなければならない。

 児童福祉法の抜粋(その7)
第三十四条の七 市町村、社会福祉法人その他の者は、社会福祉法の定めるところにより、放課後児童健全育成事業を行うことができる。

 児童福祉法の抜粋(その8)
第三十九条 保育所は、日日保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設とする。
2 保育所は、前項の規定にかかわらず、特に必要があるときは、日日保護者の委託を受けて、保育に欠けるその他の児童を保育することができる。

 児童福祉法の抜粋(その9)
第四十条 児童厚生施設は、児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする施設とする。

 児童福祉法の抜粋(その10)
第四十九条 この法律で定めるもののほか、児童居宅生活支援事業及び放課後児童健全育成事業並びに児童福祉施設の職員その他児童福祉施設に関し必要な事項は、命令で定める。

 児童福祉法の抜粋(その11)
第五十六条の六 2 児童居宅生活支援事業又は放課後児童健全育成事業を行う者及び児童福祉施設の設置者は、その事業を行い、又はその施設を運営するに当たつては、相互に連携を図りつつ、児童及びその家庭からの相談に応ずることその他の地域の実情に応じた積極的な支援を行うように努めなければならない。

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