障害を持つ観客への対応について

〜万全!のはずだけど…〜


障害を持つ人への対応一覧 (長野パラリンピック公式ホームページによる)

車椅子など ○車椅子用シャトルバスや雪上車の運行
○観戦しやすい場所への車椅子席の設置
○車椅子で利用可能なトイレ・通路の設置
○車椅子用防寒具の貸し出し
視覚障害など ○FM放送の実施及び受信機の貸し出し
聴覚障害など ○案内所での手話通訳の配置・大会要員は筆談用メモ所持
○観客席への磁気ループ席の設置及び誘導コイル付補聴器の貸し出し
○開閉会式で観客席への手話通訳の配置
これを見た時、「けっこう考えているな」と思えました。
でも…実際に出掛けてみてがっかりした、というのが本音でしょうか。
少し、感想をまとめてみます。
(聴覚障害者向け対応については私自身が感じたことですが、
他については一緒に行動した他の障害者の意見も含まれています)

アルペン会場

車椅子用の雪上車など、とてもいいアイディアだと思いました。
シャトルバス降り場から観戦席まで距離があり、その道のりの困難なこと!
車椅子でなくても足が悪い人、お年寄り、視覚障害者は周りの人にしがみつくようにして
歩いていました。しかも同じ通路を選手も観客もそして一般スキーヤーも板をはめたまま
滑っていきます。
交通整理をしている係員はいましたが、聞こえない私は周りの様子を伺いながら進むだけ。
とても恐い思いをしながら観客席を目指しました。
観客席をもっと駐車場から便利なところに!
歩きやすい専用の通路を作っては?
競技開催時だけは一般スキーヤーの通行を制限しては?
(一般スキーヤーには申し訳ないけど)

車椅子トイレ

車椅子用トイレはいつも列を作っていました。
車椅子利用者の中には、特別な車椅子用のトイレでなくても用を足せる人がいます。
でも、一般のトイレは入り口やドアが狭くて入れないため、仕方なく、
車椅子用トイレに並ぶことになり、その結果、車椅子トイレでなければならない人が
長く待つことになってしまいます。(排泄困難な方もいるのに…)
一般トイレをもう数cm広くするだけで、利用できる人が増えるのです。
そうすれば、子供を連れた母親や杖をついた人etc…皆使いやすくなる!
「専用」を作ることだけがサービスではない、という発想の転換を!

手話通訳

その会場の案内所でも「手話ボランティア」のバッチを着けた人を見つけられた。
バッチ着用によって、聴障者側から気軽に声をかけられてGood!
(開会式は分からないが)閉会式では手話通訳がなかった。
あったのかもしれないが、チケットによって決められた私の席では気が付かなかったし、
案内所でも手話で話したが教えられなかった。
もしかしたら、磁気ループ設置席に配置されていたのかも…
手話通訳が付かなかったのだとしたら、それが一番の問題。
付いていたとしたら…
  • 誰からでも見える場所に配置するのがベスト
  • 限られた場所に配置するなら、聴覚障害者をその席に誘導すべき。
    (配置席についての案内があるべき)

車椅子用観客席

車椅子用の観客席が設置されていました。といってもほとんどが狭い通路を区切っただけ…。
通る人はちょっと通りにくそう、車椅子の人も申し分けなさそう…でした。
通行の人に押されたりして、危険だし。
また、手すりが車椅子の人の目の高さに…背伸びしないと見づらい様子でした。
そして車椅子席の前の観客席では立ったままの人、旗を振る人、バナーを広げる人…
やっぱり、見づらいみたい。同行のSさんは苦心してたどり着いた一般席で車椅子を
たたんで座りました。でも、これが不可能な人は、見づらい席でガマン?
どうせ設置するなら、通路でなく、フラットなスペースを割り当てて!
手すりの高さ…当たり前のことなのに!考えた人は車椅子に乗ってみた?
車椅子席の前の観客席にはあらかじめ配慮を呼びかけるチラシを置いたらいかが?
(試合中など、マイクで呼びかけても、興奮のさ中ではあまり効果ないです)

オーロラビジョンの活用

ホッケー会場のアクアウィングでも閉会式のエム・ウェイブでも有効に活用しているとは言えなかった。
  • ホッケー決勝戦の後、ベスト6が選ばれたが、その表彰の際も選手名はアナウンスだけ、
    その後のメダル授与でもアナウンスだけのため、誰が誰だか…
  • 閉会式ではテレビ用の画面?が流れました。
    選手入場の案内やプログラムはテロップに流れず、次に何をやるのか、誰が出てくるのか、
    まったく分からず、スーザン・オズボーンさんの歌にいたっては、大きな彼女が歩いているのを
    見ただけ、手元のプログラムで、「上を向いて歩こう」だったことを知りました。
  • 式典では日本人の挨拶に英語、IPC会長の挨拶に日本語のテロップが流れました。
    (つまり単なる外国語通訳のみ)公用語であるフランス語はなし。
たとえ手話通訳をつけたとしても、手話の分からない聴障者もいるし、
耳の遠いお年寄り、周りの騒音で聞き取れない人etc…のためにも、
会場で流れるアナウンスはテロップで流すべき。
挨拶、歌の歌詞、その他も、公用語である英語・フランス語、そして日本語での
テロップを流すべき…
そして視覚障害者のためのFM放送も多国語で行う、そうすれば、会場のすべての人が
参加できる大会になるのに…

その他

オリンピックのために建設された会場、つまり、最近の建造物にもかかわらず、非常時の対策が
疎かだったように思いました。
パラリンピックでは移動に障害を持つ人が多いことを考えると、あの狭い出入り口、通路…
どうやって避難するのでしょうね。
聴覚障害者用の非常ベルと連動のランプももちろんありませんでした。
美音と一緒の私は大丈夫かもしれないけど、他の人は…?
大会後、一般施設として存続するにしても、これらの構造・設備に配慮があったら、使いやすいのに…



<ま と め>

全体を通して感じたのは、「障害者対応」を検討する場に、果たして障害者が入っていたのか、ということでした。車椅子席の目線の高さ、トイレ、テロップの重要性…当たり前のことが考慮されていなかったように思いました。
障害者の生活には、健常者には見えない、たくさんのバリアーがあります。そのバリアーを少しでも減らす対策を練る時に欠かせないのは、当事者の声ではないでしょうか?


表紙へ][観戦して][障害者対応][ボランティア][長野の街][不満はどこへ][パラリンピック私見