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食物アレルギー関連情報


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産学官の研究開発

 林水産技術会議の研究成果349(2000年1月発行)にいくつかおもしろい研究結果が載っていましたので、紹介します。
○まず、四国農業試験場ですが、いろいろな食物(約100種類の農産物等)の抗アレルギー成分(アラキドン酸代謝酵素のリポキシゲナーゼを阻害する成分)の研究をしています。それによると、活性の強いのは、ほうれん草、オリーブ、ふき、たまねぎ、茶の葉、のり、昆布、グリンピース、しし唐、オクラ、白みそ、ひじきなどだそうです。茶の葉や海藻に強い活性があるようです。
○次に名古屋大学ですが、アレルギー感作マウスを用いて食べ方(どんな頻度で食べれば発症しないか、アレルゲン性の食材と同時に何を食べると抑制するか)の基礎研究をしています。
それによると、卵白とカゼイン(牛乳)を同時に摂取するとカゼインに対する応答が抑制されました。要は、複数の危ないものを食べると、相乗効果ではなく、強い抗原が弱い抗原を抑制するということです。現実には、ある食材でひどいアレルギーが出ているときは、それ以外の弱いアレルゲンを食べてもあまり症状に関係ないということでしょうか。
○卵白と大麦麦芽成分の同時摂取では、卵白に対する応答が抑制され、カゼインと大麦麦芽でもカゼインの応答が抑制されました。これはIgG・IgE抗体のどちらも抑制されています。今後、大麦麦芽に期待しましょう。
○アスパラサス・リネアリス(アスパラリネア、ルイボスティのこと)の長期摂取の影響も調べています。これはちょっと意外だったのですが、4ヶ月水替わりに投与した結果、摂取した卵白のみならず、オボムコイドとリゾチームにまでIgG抗体ができてしまいました。もちろん、アスパラリネアそのものでは抗体ができないので、抗体ができるのを促進しているわけです。やっぱり豆科だからでしょうか?いいと思って飲んでいたのですが、どうしましょうか。
○異なる量の卵白摂取の試験では、10%までは反応せず、20%以上で反応しました。消化管内で一定の値以上になると免疫系を刺激するわけです。これは予想どおりですね。
○おもしろいのは、4週間に1日、3日、7日、14日卵白を摂取したらどうなるか、という試験です。月に1度では反応がなく、3日では2回目の摂取の1週間後に反応し、7日では1回目の10日後以降に反応した後反応が増強されました。ところが、14日摂取では1回目の10日以降で反応したのですが、2回目・3回目では血清抗体価がゆるやかに下降しました。つまり、アナフィラキシーを起こさないことを確認している食材ならば、月1回程度なら食べてもいいかな?それから逆に2日に1回のようにしょっちゅう食べると免疫寛容が誘導されて量の割には症状が楽になるということですね。
○こんな実験もしています。4週間に1週間だけカゼインを断続的に食べ続けるとどうなるでしょうか。いわば回転食ですね。どのマウスも2〜3回目の摂取後に反応したのですが、中には「食べない時期にIgEが低下し、その後に食べても上がらないマウスの例」もありました。個体差があるのでしょうが、反応を抑えられる食べ方もあるということです。
この研究報告は平成5〜10年度のまとめなのですが、その後も同様の研究が行われていると思います。情報を入手したらアップしたいと思います。


藻のフコイダンがIgE増殖を抑制するそうです。12年3月の日本農芸学会からの情報です。


畿大学の久保教授の研究によれば、ミカンの中に含まれるヘスペリジンという物質に強力な抗アレルギー作用があるとのこと。以下平成11年11月18日の新聞記事からです。本当だとすれば、おもしろい研究結果です。ただ、この効果はステロイド同様抗ヒスタミン作用であり、根本的にアレルギーが治癒する訳ではないことに注意が必要でしょう。詳しくは解説のページでどうぞ。


 の畜産試験場が日本ハム中央研究所と協力でアレルゲン性の低いソーセージを開発しています。通常のソーセージはつなぎに卵白等を用いておりアレルゲンがあるので、つなぎに馬鈴薯でんぷんを使ったりして作っています。また、原料肉にウサギやシチメンチョウを使ったものも揃え、重篤な患児が選択できるようにした点も評価できます。医師の指導で牛乳に感受性があれば牛肉を、鶏卵に感受性があれば鶏肉を避けている例(うちもそうです)がありますが、畜産試験場の研究では成り立たない例のほうが多いことを示しています。このことは他の研究結果でもいわれています。ただ、実際の加工現場では混入しうる環境にあるので、HACCP的に管理しているところ以外のものは避けるのがよいでしょう。このソーセージはアピライトシリーズとして市販されており、アレルゲン性がないし、うまいです。ただ、加工上仕方がないのはわかるのですが、添加物であるリン酸塩を使っているのが個人的には気になります。水産加工の分野ではリン酸塩の代わりに糖類であるトレハロースを用いたすり身加工品も開発されてきているので、もう少しすれば状況は変わるでしょう。リンク集から日ハムのページで購入できます。

 

同 じく国レベルの研究ですが、野菜・茶業試験場では抗アレルギー性の評価のための指標細胞として、培養可能な「融合パートナー細胞」を作製し、アレルギー予防食品の開発に利用しようとしています。産業界からの働きかけを容易にするこうした基礎技術を、厚生省ではなく一次産業側の研究機関が開発することに大きな意義があります。

 

京 都大食糧科学研究所の報告例ですが、傷つけて収穫するほどアレルゲン性が高まる(アレルゲンが感染防御や自家受粉抑制タンパクと同じあるいは近い構造を持つということ)といったおもしろい報告事例がありました。ゴムや花粉のアレルギーが果物や野菜に対してのアレルギーも起こすことがあるというのです。魚も即殺するほうが鮮度が持つのですから、野菜も同じでしょうね。ゴムのアレルギー(ラテックスアレルギー)については、国立医薬品食品衛生研究所療品部のページが詳しいです。

 

 産加工品の低アレルギー食品開発ができないか、考えてみたのですが、魚肉中のアレルゲン画分を持っている塩溶性タンパク質は同時にカマボコ形成能の主体なので、アレルゲン画分を取り除くと加工特性が著しく低下すると考えられます。また、分解を進めてペプチド化しても同じです。では、例えばエクストルーダーを使って高温・高圧で蛋白の溶融をさせた場合、アレルゲンペプチドはどうなるのでしょうか。誰か試しませんか?

 

 えばうちで使っていたアレルギー用ミルクのニューMA1(森永)も、分子量が小さいので酸で凝集せず、MA1でチーズは作れませんでした。それにしても、ミルクのペプチド化は大きく技術進歩しています。単純に低分子化するとアルカリ性アミノ酸の苦味がでて、おいしくありませんでしたが、ニューMA1は前のよりおいしいかも。複数の酵素処理を調整し、すっかり分解するのではなく、かといって大きすぎないペプチドを作ることは技術的に大変難しかったと思います。これにある程度成功したことはすばらしいことだと思います。ですが、まだ完全においしいとはいえないです。ウチの子もはじめはすごい嫌がってました。

 

 後製菓のAカットライスも助かりました。Aカットライス販売担当部署は研究開発部門だったのが確か平成10年に事業部門に格上げされたようで、いろいろ質問にも答えてもらい、ずいぶんお世話になりました。アレルゲンをカットするのに酵素処理ではなく高圧処理をしています(どちらでもできるのですが)。高圧処理はバッチシステムなので自動化が困難でコストがかかるのですが、そのほうがおいしい。石川島播磨重工との共同開発品です。米のパンといっても小麦グルテンや大豆由来のバイタルグルテンを使っているものが多いのですが、グルテンを使わずアレルゲンの少ない米品種「ユキヒカリ」を用いたパン「ボナール」や「ブライス」(混入によるアナフィラキシー事故がありました)も市販されています。

 

 層水はなぜ効くか。高知大でアトピー治療が行われています。無菌の塩水である深層水がきちんと皮膚洗浄するのだと思います。超酸性水と同様の効果ということでしょう。まあ、きちんと皮膚をきれいにしていればいいということなのですが、洗い過ぎにも気を付けましょう。ウチでも外洋に面したきれいな浜で海水浴をさせたいです。


 oc対策を建設省の官民共同研究事業で行っており、室内を高温で長時間加熱する「ベークアウト」(35℃7時間ー換気のサイクルを8〜9回繰り返す)が有効との中間報告が出されました。以下平成11年10月29日河北新報からの抜粋です。
VOCつまり揮発性有機化学物質は40〜80%に抑制され、ホルムアルデヒドは67〜133%であったが、ベークアウトと加湿を併用するとホルムアルデヒドもほぼ半減したということです。欧米では慣習としてやっているとのことで、日本でも普及するといいですね。
具体的なベークアウトの方法は、@建具のそりを避けるため、温度は上げすぎないA扇風機で温度を一様にするBすすが出ない電気ストーブを使うC加湿器を併用するD一回半日以上、一定日数繰り返す、というものです。共働きで留守にすることの多い家では、手軽に実践可能かもしれません。
先日、シックハウス研究の第一人者、東北文化学園大学の野崎淳夫助教授の話を聞いて来ました。ベークアウト試験の具体的な結果が示されました。また、空気清浄機ですが、機器の差はかなりあるようです。発生抑制のために壁紙等の上に塗る植物性自然塗料の安全性も、今調べているとのことです。
その他の情報として、平成12年6月26日シックハウス問題に関する検討会中間報告では、揮発性有機化合物別に室内濃度指針値が定められています(例えばホルムアルデヒドは0.08ppm)。新築される場合の消費者向けと工務店向けのガイドブック(チラシ?)がそろそろ(12年度中)に出されるそうです。その中での健康住宅の定義とは、@換気通風システムA建材の選定B施工方法の厳選Cベイクアウトをしたもの、ということになるようです。
ところで、「シックハウス」は和製英語で、正式にはシックビルディングシンドロームというそうな。後ろから排気しない掃除機はダニの糞を撒き散らさないのでいいけど、T社以外は2割ほど排気が出てしまうそうです。

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食物アレルギーの研究について

 業および園芸第74巻第1号(1999新年号)に東大の上野川氏らの論文が掲載されています。「アレルギーとは」から始まってパースペクティブな紹介をしています。対策や予防法については私も同感です。以下概略。
  • 発症の機序として特に注目する点は、応答する場が全身免疫系とは別の腸管粘膜特有の局所免疫系があり、IEL(小腸上皮内リンパ球)と呼ばれるT細胞がある。この役割がまだ不明であるが、症状形成に大きく関わっている。
  • 食物タンパクの過剰侵入を防ぐ生体防御機構としては、消化酵素による低分子化、粘液と蠕動による外界への輸送、経口免疫寛容と呼ばれる異種タンパクへの慣化があり、これらの防御システムの綻びが食物アレルギーである。
  • アレルゲンになりやすいのはヒトに対する異種性が高く、摂取量が多いもの。例えば母乳には全くない牛乳のカゼインとラクトグロブリン。胃酸に強い卵のオボアルブミン、消化酵素に強い米アレルゲン、消化され低分子化されて逆にアレルゲン性を発揮する小麦グルテン。
  • 予防法は、まずアレルゲン性の高い食物の摂取に慎重になること。例えばアレルギー家系の乳児には卵は生後7〜8ヶ月頃まで与えないほうがよく、母親も妊娠中に食べ過ぎない。新生児・乳児には母乳栄養が望ましい。多種類の食品のバランスよい食生活。不要な添加物を避ける。
  • 治療法は、除去食を行いながら、子供の消化能力と腸管の局所免疫能の成熟を待つ。一見消極的だが、食物アレルギーがダニアレルギーなどへ移行するのをかなり高い頻度で食い止める。
  • 低アレルゲン食品は今後ますます重要になる。食味と価格の負担が大きく、研究が望まれる。
    クロモグリク酸ナトリウム経口薬(インタールのこと)やフマル酸ケトチフェンが有効。前者は消化管での抗原吸収抑制、後者は抗ヒスタミン効果あり。
  • 抗アレルギー効果のある食品としては、魚油やシソ油(えごまの油)に含まれるn−3多価不飽和脂肪酸(αリノレン酸、EPA、DHA)があり、炎症メディエーターであるプロスタグランジンやロイコトリエンの生合成拮抗阻害、サイトカイン産生抑制、抗原提示や接着因子発現抑制、IgE抗体産生抑制などの効果があり、臨床的に効果が認められている。
  • 将来的には、ステロイドや免疫抑制剤を使わないアレルゲン特異的T細胞のみの抑制が必要であり、その手法としては、IgE抗体と結合する部位を持たないT細胞抗原決定基を含むペプチドの経口投与による免疫寛容、あるいはT細胞抗原決定基を含むペプチドの1アミノ酸残基置換体によるT細胞応答抑制が考えられている。


 の中で日本脂質栄養学会による「油脂(あぶら)とアレルギー」を紹介します。中身は必ずしも新しい話ではないのですが、n-3系の油、シソ油のαーリノレン酸、魚油のEPAやDHAがアレルギーに効くという話が中心です。n-3系の油が効くというのはこれまでもあるし、伝統食に多く含まれていたn-3系の油摂取が減って現代食のn-6系の油の摂取が多くなったことがアレルギーがここまで多くなった原因としているのは私も同感です。
  豊富な実例と試験結果、それから多動性障害AD/HDの行動異常との油の関与、うつ病と低コレステロール食の相関といったところが実におもしろいです。特に、ハードな除去食を迫られる母乳育児中の母親については、この低コレステロールによって誘起されるうつ症状に十分注意する必要があるでしょう。除去食のストレスは、経験上かなりのものです。しかもいっこうに改善しない症状と、授乳の他に痒がって夜も起こされる、等の悪条件がこれに加わるわけです。単なる低コレステロール食患者よりもうつ病化しないはずがない!セロトニン機能の低下との関連で衝動的行動の抑制が困難になるのではという仮説も挙げられています。厚生労働省でも低コレステロール、ビタミンD・葉酸不足によるうつ病の危険性についてやっと(遅過ぎ!)パンフレットを作成して警告しています。魚の消費量の多い国はうつ病の有病率が低く、その相関はr=0.84と非常に高いようです。具体的な頻度として1週間に2回以上食べる人はそれ以下に比べてうつ病の症候が31%低いという結果(アメリカ精神医学協会での最近の別の報告)もあります。魚を食べてみんなでハイになりましょう(!!!)。
  私は魚油を勧めたいのですが、環境ホルモンやダイオキシンの蓄積を心配する医師もいることでしょう。であれば、食物連鎖が低位で回遊性のイワシ・サバがいいでしょう。環境ホルモンについては、相対的には沿岸魚のほうが危ないわけですが、ヒスタミンのことを考えると、沿岸魚の高鮮度のものがいいでしょう。消費者も高鮮度のものを強く要望しましょう。
  除去食がなんらかの原因で困難な場合には、精製魚油とエゴマ油を主原料とした粉末製剤イパオール(三和化学研究所)が効くと書いてあります。しかし抜本的治療のためには多少困難でも除去食を勧めます。伝統的和食は文化としてもいいことだし、他の成人病のことを考えても、これからの日本の明るい農村のためにもよいでしょう。
  別の本によれば、セロトニンの原料となるトリプトファンも不可欠です。このトリプトファンが脳内に優先的に入るには、さらにインシュリンも不可欠です。ということは、ブドウ糖が必要ということを意味します。うつ症状の抑止のためには肉や炭水化物もバランスよく必要なのです。

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日本環境学会について

 1年7月3・4日に仙台で日本環境学会が開催されました。生協が音頭を取っている環境保護団体MERONの委員長である尚絅短大の北條祥子氏(すぐ母乳のダイオキシンに話が行ってしまう)が宮城県における児童の健康調査(児童のアレルギー疾患と大気・室内空気環境)の報告を行っています。ちょっと地方の調査対象が少ない(地方市部は古川・石巻・白石から1校ずつ)のが気になりますが、結果そのものはおおむねそうかなという感じです。以下概略です。
  • 調査方法 宮城県内の20の小学校に在学する5年生の児童1,410名を対象に、県内を5つの地域に分け、そこから3〜5校選び、学校を通じて保護者に配布・回答を求めた。
  • 調査の質問票は環境庁の質問票に室内環境に関する項目を付け加えたものとのこと。
  • 結果:花粉症の有症率:平均44.0%だが、男児の方が女児より有症率が高い。地域別には仙台市内の児童の有症率が高い。
  • 喘息様症状の有症率:平均8%だが、男児の方が女児より高く、仙台市内と地方都市が高い。
  • アレルギー疾患の有症率:平均56.1%で、男女差や地域差があるが、清浄地域がなぜか高い。
  • 喘鳴の有症率:平均3.3%で男女差と地域差はない。
  • 持続性せき・痰の有症率:平均1.7%で、男児のほうが高く、地域差では仙台市内と地方市部が高い。
  • 気道過敏症の有症率:平均11.5%で、男児のほうが高いが、地域差はない。
  • 喘息様症状関連因子:統計処理を行った結果、男児・仙台及び地方市部・木造集合住宅・母親の喫煙が関連する。
  • アレルギー関連因子:統計処理を行った結果、男児・仙台及び仙台市郊外・鉄筋鉄骨一戸建て・非排気型暖房器具が関連し、家族の喫煙やペット飼育は関連しない。
  • 家屋構造については住宅の機密性に関連するらしい。    
  • 同じく環境学会からですが、国立医薬品食品衛生研究所の関沢純氏が「環境ホルモン問題とリスクコミュニケーション」という論題の本題とは別の部分で、人の精子数の減少の要因の一つとして、唾液分泌との関連について言及しています。これは、唾液腺を切除したマウスで精子数の減少、精子運動率の低下、不妊が観察されたというおもしろい記述がありました。(ほんとかあ?)

 

 台市主催の「ダニアレルギー対策に関する講演会」が平成11年11月12日にあり、仙台市が9〜11年度に行ったダニを原因とした喘息症状のある幼児のいる家庭15世帯の2ヶ月毎のほこりの調査(市職員が訪問し、掃除機でサンプリング)結果を発表しています。常識的な結果ですが、以下新聞記事からの抜粋です。
  • ダニの抗原量(ほこりに含まれるダニのフンや死骸など)は床よりも寝具類に多い。
  • 季節的には6〜8月に増える。
  • 床の材質はカーペットの抗原量が多く、次いで畳、フローリングの順。
  • その他、ダニ対策体験の発表、掃除の回数とダニの量の関係など。

 除去はHACCP、さらにPACCPによるアトピー対策

毒物誤飲時の対応

歯垢除去剤(カラーテスター)の安全性

その他

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