ママのためのHappy Kids
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New York/New Jersey/Connecticut(Tri-State)地域在住の日本人を対象とした生活情報
誌「ENJOY! えんジョーい」(※JapanAmerica Communications Corp. 発行、隔月
刊、無料)に掲載された「ママのためのHappy Kids」です。
なお「ENJOY! えんジョーい」誌は日系食料品店などでピックアップできます。
※2005年9月現在、発行元はTrimedia Communications, Inc.となっております。

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<1999年5/6月号 p.22>
憧れのNY生活!  でも小さい子どもがいる家庭にとって、それは「異国での育児」
という重荷の日々の始まりです。ちょっとした時に頼れる実家も親戚もなく、日本語で
すぐに相談ができる相手もなく、夫が育児に協力的でなければすべてを母親一人でする
しかなく運良くベビーシッターが見つかっても、子どもが母親から離れてくれなければ
お願いする訳にもいかず・・・。ああ、何がNYよ!  こんなの日本にいるのと何ら
変わらないじゃない。いいえ日本よりもっと事態は深刻だわ。夫を単身赴任させて子ど
もと実家にいた方がよっぽど楽だったかも。
そう思っているあなた、でもやはり日本には帰れないというあなた、どうせなら一緒に
何か始めてみませんか?
みんなで愚痴をこぼしたり、悩みを話しあったり、情報を交換したり、気の合う友達を
見つけたりする会を開いてみませんか?
そうそうウエストチェスター地区には「Happy Kids」という会もありますよ!
という訳で「Happy Kids物語」を掲載させていただくことになりました。
「Happy Kids」はウエストチェスター在住のママたちが自主的に運営してお
り、「出産・育児についての集い」を毎月1回開催しています。NYのすべての地区で
こんなサークルが誕生し、そして集いが開かれればと願いつつ、これまでのサークルの
歩みをご紹介します。
ご記憶の方もいらっしゃると思います。1995年11月にデトロイトで駐在員の妻が
生後3週間の息子を溺死させる事件がありました。彼女は息子を早産したことや上手に
育児ができないことについて自責の念に駆られており「あなたは何も悪くないのよ」と
一言日本語で育児についてのアドバイスが受けられれば防ぐことができたかもしれない
事件でした。二度とこのようなことがニューヨーク・ウエストチェスター地区でも起こ
らないようにと、日本語で出産・育児についての悩みを話し合ったり、情報交換する集
いがボランティア有志(4名)によって企画され、1996年7月11日 第1回
「ニューヨークでの出産・育児についての集い」としてハーツデール駅そばのヒッチコ
ック教会(Hitchcock Presbyterian Church)にて開催されました。開催にあたってはヒッ
チコック教会に所属するユニオン日本語教会のご厚意で、会場を無料で提供して頂きま
した。また開催を知らせるチラシが約一ヶ月間にわたって日系食料品店の掲示板および
日系産婦人科の待合室に貼られ、誰でも気軽に参加して下さいと呼びかけていました。
当日は約25名プラス子どもたちの参加者で賑わいました。全体会の後、3つの小グル
ープに分かれて自己&子ども紹介・質問・意見交換が行われました。この集いの呼びか
けをした有志の1人が翌月帰国することになったので、以後運営に携わることのできる
人を参加者から募集しました。1ヶ月後、約10名のボランティアが集合し、話し合い
をしました。とりあえず定期的に集いを開催する方針が決まり、1996年11月には
会に「Happy Kids」という名前もつけられました。
「Happy Kids」が会員制の「育児サークル」ではなく、いつでも誰でも予約
なしで参加できる非会員制の「出産・育児支援サークル」と紹介されている背景には、
会発足にあたって以上のような経緯があったからです。
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<1999年7/8月号 p.22>
Happy Kids デビュー
「オムツかえて、ミルクあげて、汚れた衣類の洗濯をして・・・、夜中も授乳でろくに
寝ていないからもうクタクタ、みんなどうやってこのストレスを解消しているの?」
「この子ミルクの飲みが悪くて、お医者さんからもっと飲ませなさいって言われている
の。でも、上手くいかなくて・・・、こんなときどうしたらいいの?」
「子どもが生まれるのでベビー用品を揃えているけれどどの『ベビーバス』を買えばい
いのかしら。日本のマタニティ雑誌にのっているのはこちらで売っている物と違うし、
お店で見てもいろいろな種類があってどれが良いのかまったく分からないし・・・、
使い勝手の良かったものを教えてくれませんか?」
「日本のように、アメリカにはベビー用品のレンタルってないのかしら? もうすぐ出
産なので誰かクリブ(ベビーベッド)を譲ってくれませんか?」
「なかなかお友達ができなくって・・・、どこの公園にいけば日本人親子がいるの?」
「日本から引っ越してきたばかりでナーサリー・スクールを探しているんだけど、なか
なか情報が集まらなくって・・・、NYの日本語ガイドブックに書いてあるのは学齢期の
子の学校ばかり。どうすればいいの?」
「夫の帰りは毎晩遅いし、週末はゴルフに行ってしまうし・・・毎日子どもと一緒に切
れまくっている私を誰か助けて!」
始めての出産・育児には不安がつきものです。これが「異国」であれば、たとえ日本で
出産・育児の経験があっても不安は避けられません。さまざまな不安や悩み、そして出
産や育児についての疑問をお互いに出し合い、日本語で意見交換・情報交換する会が
「Happy Kids」です。
月1回開かれる「出産、育児についての集い」では、会の前半、テーマに沿った体験談
やお話が先輩ママより披露され、会の後半「座談会」と呼ばれる時間が設けられます。
そこでは冒頭に挙げたような疑問が参加者から次々と出されます。これに答えるのもも
ちろん参加者である先輩ママ。そうです、この会はママたちがお互いに支え合って成り
立っているのです!
日本では「公園」がこんな情報交換の場です。でもウエストチェスターの公園にいるの
は毎回違う顔ぶれの親、ベビーシッター、子どもばかり。
「どうして? 日本にいた時は子どもの多い公園に行きさえすればすぐ友達ができて、
情報交換できたのに?」
公園に通いつめても全然友達ができないとぼやく私に誰かが親切に忠告してくれました
。「こちらの子は知っているお友達とあらかじめプレイデートの約束をして自宅のお庭
で遊ぶのよ」
そうか! お友達をまず作らないと駄目なのね。それならば日本の公園ですることを
「Happy Kids」でやってみよう!
まずは会に参加して、子どもの月齢の近そうな人に声をかけて、住所交換をして・・。
というわけで、ウエストチェスターではついに「公園デビュー」にかわる
「Happy Kidsデビュー」なる用語(意味:安定期に入った妊婦さんがお友達を
作るために「Happy Kids」初めて参加する時のことを指す)も登場したそうで
す。あなたも「Happy Kidsデビュー」してみませんか?
えっ? 冒頭の疑問の答え?
それならば妊婦さんでなくても一度集いにデビューして確かめてみてください。答えは
一つではないってこと、そしてみんな試行錯誤しながら出産・育児しているってことが
お解りになると思います。
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<1999年9/10月号 p.16>
親愛なるパパへのメッセージ
ウエストチェスター地区の出産・育児支援サークル「Happy Kids」の集いは毎
月1回、ウイークデイの午前もしくは午後、約1時間半にわたって行われます。199
6年7月に第1回目の集いが開催されて以来、企画しているボランティアのママたちが
徐々に経験を積み、ずっとこのスタイルを維持してきました。当初、サークルの運営に
関して話し合いがすすめられる中で「パパも参加できる週末にイベントを企画してはど
うか?」という意見も出されました。
しかし多数のママさんボランティアおよび毎回の集まりの後に行っている参加者アンケ
ートでも「ウイークデイに」という意見が多く、今日に至っています。
「どうしてウイークデイなの?」疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。試
しにウエストチェスター地区の日系食料品店を週末覗いてみてください。小さい子ども
を連れた家族で賑わっています。そうです、週末は一家総出による「まとめ買い」の日
なのです。重い米袋、1リットルサイズのしょうゆやみりん、赤ちゃん連れではとても
買いにいけません。日本のように近くのコンビニですぐ手に入れることができるならば
何回かに分けて買い物をすることもできますが、車を走らせて買い物に行かなければな
らない環境にあっては「この機会にこれも買っておこう」と荷物は山のように増えるば
かり。子ども2人以上になるとさらに事態は深刻になります。抱っこをせがむ子を連れ
ては買い物カートすら押せません。また日本のように「ママ買い物に行くからちょっと
お留守番しててね」とか「もうお兄ちゃんなんだからおつかいしてきてね」とか「車で
スヤスヤ寝ているから少しの間子どもをそのままにして買い物しよう」なんてアメリカ
でしてしまったら最後、「子どもを危険にさらした罪」でママは逮捕され、ローカルニ
ュースのネタにされてしまいます。かくしてパパの登場です。パパがお店で子どもを抱
っこしてくれたら、また家で子どもをみてくれたらゆっくり買い物もできます。ゆっく
り買い物ができれば、賞味期限を大幅に過ぎた物を買ってしまう心配もありません。家
族の健康にもプラスです。買い物の後、パパが家で子どもを抱っこしてくれたらゆっく
り食事の支度もできます。ゆっくり食事の支度ができれば、生焼けの肉を食べさせられ
る心配もありません。O−157対策にもプラスです。そして食事時間、パパが食後に
子どもを抱っこしてくれたらママはゆっくり食事をすることができます。たまにはきち
んと食事がとれれば、ママがスタミナ不足で倒れる心配もありません。家庭の円満にも
プラスです。
このように小さな子どもがいる家庭では、週末もパパは「家族サービスをする人」にと
どまらず「家庭の戦力の一部」となります。けれども貴重な戦力が他陣営に寝返れば家
庭も崩壊の危機に直面します。なにしろここNYには実家という外堀もありません。
ですから「Happy Kids」はこれまで「週末は家族単位で過ごす」ことを重視
し、あえてウイークデイを集いの日としてきたのです。
さてこれをお読みのパパ、週末にゴルフ陣営・パソコン陣営・スポーツ陣営等に参加す
る前に、一度足元の陣営をチェックされてはいかがでしょうか?
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1999年11/12月号 p.14>
ウエストチェスター出産・育児便利帳
子どもの幼稚園を探しているけれど、どうすればよいのかしら? 幼稚園もフルデーと
かハーフとか週2日のクラスから週5日のクラスまで日本と違っていろいろ選択肢があ
るみたいだし。シティホールで聞いてもイエローページで調べなさいと言われるし。何
か「情報」はないかしら?
あれれ、妊娠してしまったみたい。産婦人科って英語でなんて言うのかしら? 日本の
ようにいきなり病院に行っても診てくれるのかしら? 費用はどうなのかしら? 何か
「情報」はないかしら?
マンハッタンに出かけた時、オムツ替えってどこですればいいのかしら? 日本ならデ
パートには必ず授乳室とオムツ替えの台が設置されているのに、こちらではほとんど見
かけないし。みなさん外出先でどうしているのかしら? 何か「情報」はないかしら?
NYに引っ越して来たばかりのころ、妊娠して不安な日々を送っていたころ、慣れない
異国での子育てにパニックになっていたころ、私自身とにかく「情報」を求めて右往左
往していました。学齢期の子どもを持つママならば、引っ越してきてもすぐに学校を通
じてコミュニティとの接点ができ、いろいろな情報を集めることができますが、未就学
児のみの家庭ではそんな機会もありません。ようやく自分と同じ立場の友人がみつかっ
ても、お互いわからないことだらけ。先輩ママと知り合うチャンスはまったくなく、相
談する人もいない状況で途方にくれたことが何度かありました。また、日本であれば行
政による「子育て支援事業」の恩恵をうけられるのでしょうが、ここNYでそれを望む
ことはできません。
「右往左往するのは私達だけで十分。後に続く人達のためにもこの状況を何とかしなけ
れば!」こんな思いを抱いたウエストチェスター地区の妊婦・新米ママが自主的に集ま
り、「Happy Kids」は1996年7月に活動を始めたのです。
第1回「ニューヨークでの出産、育児についての集い(出産の体験談および座談会)」
を皮切りに、同年9月「公園(Harbor Island Park,Mamaro
neck)での集い」、12月「子どもの月齢別座談会」、翌年1月「離乳食の紹介と
試食会」、4月「手遊び歌と座談会」、6月「ナーサリー・スクールについて」といっ
た企画が実施されました。また集いのない月はボランティアのママたちが集まり、会の
運営についての話し合いをすすめました。この中で「現在いるボランティアの子どもた
ちの為の育児サークルにするのではなく、出産・育児についてのサポートができるよう
な開かれた会にしていこう」との方針が決まりました。従って、会は会員制にせず、運
営にたずさわるボランティアの入れ替わりも自由な形態にしました。
集いの回数を重ねるうちに、出産・育児に関心のある先輩ママの参加も増え、現地のナ
ーサリー・スクールで先生をしているママ、日本で専門家として働いていたママ、子育
てのベテランママなどがアドバイスをしてくれる機会も設けられました。
以上のような集いと並行して、Happy Kidsでは1997年3月に『ウエスト
チェスター出産・育児便利帳』を作成し、広く配布することにしました。その当時、ニ
ューヨーク地区の日本語ガイドブックはいろいろあっても出産・育児について書かれた
ものはほとんどありませんでした。また、苦労して1人1人が集めた情報も、それをス
トックしておく手段がなかったため、帰国などにより情報は闇に葬り去られ、新しくこ
ちらに来た人や出産したばかりの人は、いちから始めなければならないという状況でも
ありました。そこで、ボランティア・ママの手元にある口コミ情報を集約し、集いに来
られない人にも情報提供できるよう冊子を作ることにしたのです。
初版作成から約3年、この冊子の情報もずいぶん変わりました。現在、改訂作業をすす
てめいます。何か耳寄りな情報をお持ちの方、特に「子連れ歓迎のお店(『ウイークデ
イのみ』とか『ウイークエンドのみ』とかでも結構です)がありましたら「えんジョー
い」編集部経由でご一報下さい。そして改訂版完成のあかつきには、ひとりでも多くの
人に必要な「情報」が行き渡ることを願っています。
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<2000年1/2月号 p.26>
子供を持つということ
最近、新聞やホームページの掲示板で「いつか子どもを産んで育てたいと思うのだけ
ど、本当にやっていけるのかしら」とか「子どもを産むタイミングについて悩んでいま
す」といった投稿を目にします。初めての体験、それも海外での出産・育児ということ
であれば想像もつかない人が多いのではないでしょうか?
そんな疑問に応えるため、「Happy Kids」では1999年11月の集いに参加して下
さったママを対象にアンケートを実施し、本音を集めてみました(有効回答数 20)
質問1  現在の子どもの数     1人 16  2人 4
質問2  理想とする子どもの数   1人 1  2人 16  3人 3
(Happy Kids参加者は第一子を育てているママが圧倒的に多いのですが、理想は「2
人」つまり「あと1人は欲しい」ということになります)

質問3  ウエストチェスターは子育てしやすいところだと思いますか?
本当にそう思う・そう思う 18  そうは思わない・まったくそうは思わない 0
わからない 2
(なんと9割もの人が子育て環境に満足しています。ちなみにこちらに来る直前の居住地
は日本 17 海外 3 ですが、どの地域に比べても子育てしやすいということがわか
ります)
質問4  アメリカは出産しやすい条件のととのった国だと思いますか?
本当にそう思う・そう思う 14  そうは思わない・まったくそうは思わない 0
わからない 6
(「わからない」という方は「こちらで出産したことがないので」という理由の方が多
いようです。しかし、出産経験のある方で否定的な印象を持った方はいないようです)

質問5  子どもを持ってからあなたは人生を楽しめるようになりましたか?
本当にそう思う・そう思う 15  そうは思わない・まったくそうは思わない 0
わからない 5
質問6  子どもを持ってから夫婦の絆は強くなりましたか?
本当にそう思う・そう思う 17  そうは思わない・まったくそうは思わない 1
わからない 1  その他 1
(子どもという存在がママの人生にいかに大きな影響を与えているのかがよくわかりま
す。海外では頼れる親や親戚が身近にいないため必然的に「子育ては夫婦で」という状
況になります。ですから夫婦の絆も強くなるということでしょう)

質問7  子どもを持つ前と後とで、子育ての理想と現実とのギャップに悩んだことは
ありますか?
よくある・ある 15  ない・まったくない 4  わからない 1
(子どもは欲しい、でもママの悩みは尽きません・・・)

質問8  子どもを持って一番よかったこと
「楽しみが増えた」「子どもの笑顔や成長に励まされること」「活発な子なのでダイエ
ットしなくても体重がキープできる」「子どもから学ぶことが多く、世界が広がった」
「自分以外(以上)に大切な存在を得たこと」「毎日新しい発見、幸せ、よろこびがあ
る」

質問9  子どもを持って一番後悔したこと
「レストラン、レジャー、旅行など大人だけの外出が思うようにいかない」「こんなに
大変ならもっと若いうちに産んでおけばよかった」「自分の時間がない」「ゆっくり寝
られない」「特になし」

番外  現役ママからのアドバイス
「子どもができる前に行きたいところへは十分行っておきましょう」「出産・育児はマ
ニュアル通りにはいきません。気長に自分流にやってください」「大変なことは多いけ
れど、なるべく楽観的に育児をしてください」

アンケート結果を見ると、大変だと思いつつも多くの人が子どもを持ったことについて
満足していることがわかります。またウエストチェスターは出産・育児の環境が整って
いると考える人が多いようです。事実、ウエストチェスターのアメリカ人ファミリーで
子どもが3人以上というのはちっとも珍しくありません。裏を返せば、現在の日本は少
子化が物語るように出産・育児に厳しい環境であるのかもしれません。こんな例があり
ます。パスポート申請の際、米国の場合は、地域の郵便局で受付をして後日郵送してく
れます。小さい赤ちゃんを連れていく必要はありません。しかし日本の場合は、どんな
に小さい赤ちゃんでも受領の時本人出頭が必要です。まだ首が座ったばかりの子を抱っ
こして、上の子の手を引いてメトロノースに乗ってマンハッタンまで行き、何とか日本
の総領事館にたどり着いてパスポートを受け取りました。しかし、領事館には母乳をや
るスペースも、同じフロアのトイレにオムツ替えの台もありません。仕方なく帰りのメ
トロノースの中で授乳したという苦い思い出があります。せめて「授乳スペース」「オ
ムツ替えコーナー」があれば、もしくは車で簡単に行くことができる「総領事館ウエス
トチェスター出張所」があればと切に思いました。
日本にせよ、アメリカにせよ、出産・育児をとりまく環境について皆がそれぞれ考え、
声をあげ、手を差し伸べることによって「子どもを持つということ」が容易にできる社
会をつくりあげることができればと考えています。
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<2000年3/4月号 p.26>
Happy Kidsのつくりかた
郷ひろみの著書『ダディ』(幻冬舎、1998年)にこんなくだりがある。「子供が生
まれたら日本で育てることをあらかじめきめていたぼくたちは、それ(註:長女誕生)
をきっかけに日本での本格的な生活を始めることにした」(p.79)ニューヨークでの新
婚生活に終わりを告げ、その後一家は二谷家の近所に新居を構えたのである。
そうよね、ママの実家が近いといろいろなサポートがあるから楽よね。何も異国で苦労
して子育てすることないんだから・・・。出産して、子どものアメリカ国籍を手に入れ
て、さっさとこの国からおさらばしちゃった方がいいわよね。日米の子育ての違いとか
子どもの日本語環境の確保で悩む必要もないし・・・なんて当時思いました。この本を
お読みになったことのあるあなた、どう思われましたか?
旅行者気分でなくNYで本格的な生活をする場合、出産・育児に関しては考えなければ
ならないことがたくさん出てきます。日本のマタニティ雑誌や育児書、さらにはおばあ
ちゃんのアドバイス通りにいかないこともいろいろあります。例えば、日本では出産時
「産後1ヶ月位は活字を見ない方がいいですよ」とのアドバイスを助産婦さんから受け
ました。ところが米国では出産したその日に、病院から新聞の差し入れがありました。
「日本の助産婦さんのあのアドバイスは何だったの?」と首をかしげることがこの他に
もいろいろありました。
「本当のことを知りたい」「友達がほしい」という欲求はこのような異文化に身を置い
た場合、特に切実に感じられます。『エンジョーイ』誌に出産・育児支援サークル
「Happy Kids」のことが取り上げられるようになってから、ウエストチェスタ
ーだけでなく、マンハッタン、クイーンズ、ロングアイランド、ニュージャージーとい
った地区の方からも「Happy Kidsのようなサークルがこちらにありませんか?
」とか「同じような集いをこちらでもしてもらえませんか?」といった問い合わせを受
けるようになりました。
しかし「Happy Kids」はウエストチェスターというコミュニティに根ざしたま
ったくのボランティア団体です。運営も幼い子どもを抱えたママ達がすべておこなって
います。自前のオフィスも会場もありません。ボランティアは自宅から電話をして会場
の教会に集いの予約を入れます。また、集いで配布する資料を子どもが寝静まった後、
せっせと作成しています。家事や育児の合間にサークル活動をしているのです。したが
って「お声がかかればどこへでも行きます。どこでも集いを開きます」という訳にはい
きません。けれどもウエストチェスター以外でもこのようなサークルを必要としている
方に、何とか手を差し伸べたいと考えました。そこで、ここでは私達の経験から「Ha
ppy Kidsのつくりかた」についてお話しします。
� あなたの他にもう一人、励ましあってサークルを運営することができる仲間を見つ
けましょう。思いきって、近所の日系食料品店に「Happy Kidsのような出産・
育児支援サークルをこの地区でも作りませんか?」というチラシを貼ってみてはいかが
でしょうか?運良く数名のボランティアが集まったら、サークルの名前を決めるのもい
いですね。
� 季節の良い時(5月−9月)は「・・公園に集合」という集いを計画し、チラシを
貼りましょう。もちろん雨天中止で構いません。また自分の子どもの体調が悪い時には
心おきなく欠席できるよう、仲間と密に打ち合わせをしておきましょう。
� 出産・育児については誰もが不安に思うものです。ですから、会員制にせず、参加
したい人は誰でも歓迎というスタンスをとりましょう。
� 屋外での集いが難しい時期(10月−4月)は、会場を借りる必要があります。
「Happy Kids」は、現在「ニューヨーク日本語教会」および「メトロポリタ
ン・ジャパニーズ・ミニストリー(セント・ジェームズ・ザ・レス教会内)」に会場の
提供を受けています。これは、ボランティアが足を運び、サークルの趣旨をご理解いた
だいた上ではじまったものです。まず、サークルの骨子を固め、地区で理解していただ
けそうな場所を探してみましょう。
� あなた自身にいろいろなバックグラウンドや思いがあっても、集いの中で商売した
り、布教したり、参加者名簿を流用したりしてはいけません。パンフレットを机上に置
いたりすることは「Happy Kids」でもおこなっていますが、「これは
Happy Kidsの活動とは関係ありません」との但し書きをつけています。そのパ
ンフレットを取る・取らないは参加者の判断にゆだねています。集いはあくまでも「情
報提供」と「お友達づくり」のためにあるのです。情報は惜しみなく出しますが、それ
をどう活用するかはすべて参加者の手中にあります。
� あなた自身が帰国したり、子どもが成長したりしてボランティアを卒業する時のた
めに、後継者を見つける必要があります。集いの参加者の中から活動に協力してくれる
人を探しましょう。この方法で、スタート以来のべ37名のボランティアが「Happ
y Kids」の運営に関わってきました。
ここまで来れば後はもう大丈夫です。それぞれの地区のオリジナリティを生かした
Happy Kidsが誕生すること間違いありません。すべての地区で、だれもが必要
な情報とお友達を得ることができる日もそう遠くはないでしょう。
ちなみに、郷ひろみ一家も結婚当初のままNYで本格的な生活をし、一家団結して異文
化の中で支え合い、また他の方をも支えて暮して来たならば、今ごろは違った展開にな
っていたかもしれない・・・なんて思うのですが。
最後になりましたが、私、このたび帰国することになりました。1年間「ママのための
Happy Kids」をご愛読いただき本当にありがとうございました。私はボランテ
ィアを卒業しますが、「Happy Kids」は頼もしい後継者たちによって今後も続
けられます。これからも日系食料品店のチラシやホームページでご案内をさせていただ
きます。また、サークルを必要としている方が身近におられましたら「Happy Ki
dsってサークルをのぞいてみたら?」とお教えいただけると嬉しく思います。それで
は皆様お元気で!
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「ENJOY! えんジョーい」誌についてのお問い合わせは、発行元まで直接お願い
致します。 「Happy Kids」では対応できません。
Trimedia Communications, Inc.
529 Central Ave., Suite #207, Scarsdale, NY 10583
Tel:(914)725-5136
Fax:(914)725-4632
E-mail:nyenjoy@optonline.net
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