マスコミ
報道されたものを
紹介します



「朝日新聞」2000年6月17日付
くらしの欄
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
新築マンション買ったら

騒音や内装・・・トラブル絶えず

業者と争いの現場を見る
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


まくら元でモーター音

 引っ越しがすんで数日後、夜寝ていると、どこからかグィーンという低いモーター音が聞こえてきた。未明にはまくら元と天井からゴトッゴトッと連続音。「なんの音だろう」。それから神奈川県の湘南に住む主婦○○○○さん夫婦の初めてのマイホーム生活は一変した。
 ○○さんは、1994年10月、三井不動産が販売した3LDKの新築マンションを○○○○万円で購入し、12月、入居した。道路に面した玄関ホールの真上だったが、「夫は朝早くて帰宅が遅く、階下の人に物音で気を使わなくてすむと思った」という。
 調べてみると、寝室の真下にあるポンプ室の稼動音や未明の郵便受けに新聞を入れる音だった。
 ほかにも正面玄関のオートロックドアの開閉音、エントランスホールを歩く足音、自転車置き場の2段式機械を上下する音、そして自動車の騒音。様々な音が、窓を閉め切っても室内に飛び込んでくる。
 同じような構造のマンションの友人に状況を聞いたり、他社のモデルルームを訪ねて質問したりしたが「それは建物がおかしいと言われました」。
 パンフレットには、上下階からの生活音を防ぐため配慮した構造と書いてあった。「階下にエントランスや共用施設があるのは分かっていましたが、筒抜けに音が居室内に入ってくるのが当たり前などとは考えても見ませんでした」と○○さんは訴える。
 管理会社は、オートロックの錠前を取り換え、郵便受けの扉にゴム製のクッションを張り、エントランスホールにマットを敷くなど対策を講じた。しかし、効果はほとんどなかった。○○さんは管理組合理事長に頼んで、出入りの音に気をつけるようお願いする掲示も出した。
 だが事態は変わらず、○○さんは居間のソファで耳栓をして寝るようになり、体調を崩した。「騒音による睡眠不足とストレスから来る自律神経失調症」と診断された。
 ○○さんは、98年7月、東京地裁に事業主の三井不動産を相手取り「人が居住する建物として遮音性能において著しく欠けている欠陥建物」として、売買代金の返還を求める訴えを起こした。
 三井不動産は、騒音の程度は「通常の人が静穏な生活を送りうる範囲内にあり、受任限度内のものというべきである」との答弁書を提出していて、広報部は「係争中なのでコメントは差し控えたい」という。

『日経ビジネス』2000年10月2日号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
シリーズ
リスク極小化の経営『会社が壊れる』
他人事ではない腐敗自滅の構図
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

法制度の欠陥がリスクを助長する
『供給者』に甘い構造、米国見習い『消費者』主権の確立を

 神奈川県茅ヶ崎市内のマンションに住む専業主婦、○○○○さんは、専門医の元を定期訪問しなければならないほど精神的に疲弊している。朝から晩まで共用ホールや自転車置き場、ポンプ室からの雑音に悩まされ、満足に寝ることもできない環境にいるためだ。
 ○○さんは6年前にこのマンションを購入し、入居後間もなく欠陥住宅だと思うようになった。騒音に苦しみ、サラリーマンの夫と相談のうえ、2年前に購入先の三井不動産を相手に訴訟を起こした。三井不動産が「受忍限度内」との主張を譲らなかったからだ。
 訴訟を起こすに際し、○○夫妻は多大な出費を強いられた。弁護士への着手金が150万円、裁判所による鑑定に100万円、裁判所への印紙代35万円、証拠収集に伴う調査費用20万円などだ。
 ○○さんは、「一消費者が大企業を相手に戦うのは非常な努力がいる。制度的な欠陥が根本にあると思う」と話す。担当弁護士の○○○○氏も「立証責任が消費者側にあるから、一般的には裁判で勝つのは大変」とみる。
       * * *
 「消費者」対「供給者」で見た場合、日本には大企業など「供給者」を優遇する仕組みがあちらこちらにある。それだけに、○○さんのように泣き寝入りしないで立ち上がる消費者は少数派だ。逆に言えば、立場の弱い一般消費者や投資家、従業員の利益を顧みなくても平然としていられるなど、リスク不感症になる傾向がある。

 「供給者」有利を象徴するのが、骨抜きにされた製造物責任(PL)訴訟制度や葬り去られたクラスアクション訴訟(集団訴訟)制度だ。
 欠陥商品から消費者を守ることを狙いにPL訴訟制度は1995年に導入されたが、「供給者」の倫理を振りかざす経団連などの圧力で、立証責任を主に消費者に負わせる仕組みでスタートした。この結果、注目に値する訴訟は起きていない。